第一話 「交換屋」
ここは・・・どこだ?
僕が目を覚ました時、僕は変な場所にいた。
ただひたすら白くて、でもどこかくらい場所に僕はいた。
僕はどうなったんだ?
僕はあの世界から消えることができたのか?それともまだ消えていないのか?
あの日いったい何があったんだ。
・・・・・わからない。
あの日僕は何をしたんだっけ?
「あのもしもし~起きてますか?」
突然誰かの声がした。
・・・・誰だ?
「あっ起きてますね、よかった~目開けたまま死んでるのかと思いましたよ。」
目の前に見えたのは、白い服を着た男だった。
男は全身真っ白な服を着ていて、左手に何かのリストを持っていた。
「こんなところにいるということはあなたであってるのかな?」
男は僕の顔をジロジロ見ながら、左手に持っているリストと比べていた。
こいつは一体誰なんだ?何で僕の顔をジロジロ見るんだ。
「あのー出来れば確認のために、お名前と年齢と血液型と好きな食べ物などを教えていただけるとうれしいのですが・・・。」
なぜそんなことを見ず知らずの男に教えなければならない!!
それに確認っていったいなんだ?
「・・・あなたは誰だ?」
僕は今一番聞きたいことをその男に聞いた。
「えっ私ですか?私はワタシブネと申します。」
ワタシブネ?
「えっとー趣味は昼寝で好きな食べ物はチョコレートで夢は遊んで暮らせる人生を送ることです!」
そんな個人情報なんて聞いていないんだが。
それに僕が一番聞きたいのは・・・・。
「ここは一体どこだ、それにあなたは・・・・もしかして死神?」
男は僕の唐突な質問にポカンとしていた。
それもそうだろう、急にあなたは死神ですか?なんて聞いて呆けないほうがおかしい。
でも、もし死神なら僕がこんな変なところにいるのも納得がいく。
ここは黄泉の世界か何かで僕は完全にあの世界から消えたことになるだったら僕は・・・。
「そんな違いますよ!ここは黄泉の世界でもないし、それに私が死神なんてたいそうな仕事就けるわけがない!」
・・・・やっぱりか、少し期待はしていたんだが。
「それにこんな白い格好した死神なんていると思います?」
確かにどちらかというと黒い格好をして鎌を持っているイメージがある・・・。
「そりゃー私だって死神になってみたいですよ!死神になれたらどれだけ良い暮らしが送れるか・・・。」
そんなに死神はお金がもらえる仕事なのか。
「毎日カップラーメンの生活は送らず済むし、毎日上司のわがままにつき合わされないし、それにどれだけ女子にモテるか・・・・そんな生活一度くらい送ってみたいですよ。」
そういうと男はため息ついて落ち込んでいた。
そんなに落ち込まれても、困るのは僕なんだが。
でも、死神じゃないんだとしたら・・・。
「じゃあ、あなたは一体何なんだ。」
僕がそういうと男は少し考え込んだ。
「そうですね・・・・。」
男は少し考えた後、僕に笑ってこう言った。
「魂を導く交換屋とでも申しましょうか。」
交換屋・・・・?
この交換屋との出会いにより――――
僕の人生の歯車は少しずつ狂っていくのだった。