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第12話 ライバルとの競演


 朝の光が街を包み、

 アイラは小さく伸びをした。


 昨日のダンジョンで、

 ライバルのライラと協力して

 大型ゴブリンを倒したことが胸に残る。


「……今日も、頑張ろう」


 長剣を背中に背負い、

 探索者カードを手に取る。


 視聴者は昨日より増え、

 三百五十人を超えていた。


 数字の多さに緊張しつつも、

 胸の奥には小さな喜びが芽生える。


 街を歩きながら、

 今日のダンジョンを思い描く。


 掲示板には中規模ダンジョンの依頼。

 危険度は中。

 報酬は少し高めだ。


 カードを提出し、許可を受ける。

 通行証を手に、階段を降りる。


 薄暗い通路。

 湿った床を踏むたびに水滴が跳ねる。

 壁には淡く光る結晶が埋め込まれていた。


 胸元の端末を確認し、配信を開始する。


「こんにちは、探索者のアイラです」


 視聴者は三百五十人を超え、

 コメントも次々と流れる。


「見てくれて、ありがとうございます」


 通路を進むと、

 小型の魔物が現れる。


 スライムとゴブリンの混合型。

 素早く、攻撃パターンは複雑だ。


「……焦らずに」


 一歩下がり、距離を取りながら観察する。

 隙を見て斬撃を入れる。


 ――コメント:

 「安定してる!」

 ――コメント:

 「見てて安心」


 胸の奥が温かくなる。

 誰かが、確かに見守ってくれている。


 進むと、通路は分岐していた。


 右は狭く、暗い。

 左は広く、明るい。


「……どっちに行こう」


 配信画面に向かって説明する。


「右は魔物が少ないですが、

 逃げ場がありません」


「左は戦いやすいですが、

 数が多くなります」


 ――コメント:

 「左だ!」

 ――コメント:

 「右は危険」


「じゃあ、左にします」


 剣を握り直し、慎重に一歩踏み出す。


 広い通路にはゴブリン三体。

 一体は盾、二体は棍棒。


「……少し強い」


 間合いを取り、突進を受け流す。

 横から斬りつけ、一体ずつ倒す。


 ――コメント:

 「落ち着いてる!」

 ――コメント:

 「判断いいね」


 奥に進むと、影が揺れる。


 大型ゴブリン。

 牙と爪が光り、一撃が重い。


「……来たか」


 剣を握り直し、距離を取る。

 一撃を受け流し、隙を狙う。


 ――コメント:

 「危険!」

 ――コメント:

 「頑張れ!」


 斬撃を決め、大型ゴブリンを倒すと、

 視聴者は四百五十人を超え、

 コメントが流れ続ける。


 通路を進むと、前方に人影。


「……また、ライラ?」


 鋭い眼差しの少女が立っていた。

 長剣を背負い、軽装鎧。

 戦闘に慣れた雰囲気が漂う。


「こんにちは、アイラ」

「やあ、ライラ」


 互いにうなずき、無言の緊張が通路に流れる。


 突然、小型ゴブリンの群れが襲いかかる。

 二人は剣を抜き、連携して斬る。


 魔物が倒れ、静寂が戻る。


 視聴者のコメントが増える。


 ――「二人組、かっこいい!」

 ――「協力プレイ最高!」


 胸が温かくなる。

 誰かと戦う楽しさ、

 伝わる興奮。


 奥からさらに大型の魔物が現れ、

 牙と爪で威圧してくる。


「……一緒に戦おう!」


 二人で距離を保ちつつ戦う。

 一撃を受け流し、隙を狙う。


 連続斬撃で倒すと、

 視聴者は五百五十人に増えた。


 街に戻る途中、

 アイラは端末を見つめる。


「……もっと、頑張ろう」


 一方、ギルド長室。


 男はモニターを見つめ、低く呟く。


「ライラか……

 娘にいい刺激を与えるな」


 警戒と期待が混ざる。

 遠くで守る父、

 近くで戦う娘。


 その距離は短く、

 危険を孕む。


 こうして、

 小さな剣士アイラは、

 ライバルとの協力戦を通じて

 新たな成長を遂げ、

 冒険の世界はますます広がっていった。


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