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オオカミ課長の恋煩い  作者: 佳乃こはる
第二章 オオカミさんの恋わずらい

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大人なデートの誘い方とはいかなるべきか

「と、時に赤野」

「? はい」


 俺は、既にドアノブに手をかけ、早々に部屋から立ち去ろうとしている彼女を呼び止めた。


「あ~、明後日の退社後のことだが……何か予定が入っているか?」


 さりげなく言ったつもりだったが、不覚にも声がうわずってしまった。


「明後日……ですか、えーっと」


 天井を見上げ、少しだけ考えている風の彼女は、はたと思いついたように手を打って、それから自信たっぷりに答えた。


「ああ! 明日後って確か、クリスマス・イブでしたよね?」


 ぎくっ。

「そ、そうだったかな? べ、別に日にちに深い意味はないんだが。ここんとこ忙しかったからな~。()()()()()は意識してなかったな〜」


 焦りながら言い訳する俺に、きょとんと首を傾げた赤野だが、次の瞬間には元気に言い放った。


勿論(もっちろん)ガラ空きですけど?」


 何て哀れな奴。

 でも……良かったぁ〜!


「そそそ、そうか。ならばその日は予定を空けておけ。その~、アレだ。今回の件もあったことだし、社会人の何たるかを俺がたっぷりと教示してやろう」


「えー……、プラスでお説教ってことですか……」

 沈んだ声と表情に、俺は慌てて前言を訂正した。

「いや違くて! 堅苦しいヤツじゃなくってその……日頃の慰労というか、腹を割った男と女の……じゃなくて。あれだ、プライベート感覚の、ちょっと気軽な1on1ミーティングみたいなものだ」


 う、ヤバい。何だかしどろもどろになってしまった。

 疑わしい目でじっと俺を窺っていた赤野だが、少しすると、きゅっと顔を引き締めた。 

 そして。

「え……ええっと、は、はいぃっ、分っかりました!」

「ふっ、そ、そうか。店は俺が抑えておくから……か、覚悟しておけよ」


「イエス、サー!」


 謎にピシッと背筋を伸ばし、敬礼の姿勢とった。


「では、失礼いたします!」

 それから、俺のずぶ濡れスーツをシワが寄るほど握りしめ、やけに神妙な顔つきで部屋を出ていった。


「ふ、ふふ、ふははははっ」


 やったぞ俺。

 少しもたつきはしたたものの、とうとう赤野を誘えたじゃないか。

 ここまできたら、ヤッたも同然。


 そうさ。

 経験豊富なこの俺様が、たっぷりと教えてやろう『社会人』。


 ただし、ベッドの上でな——。

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