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オオカミ課長の恋煩い  作者: 佳乃こはる
第二章 オオカミさんの恋わずらい

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真夜中のオフィスにて

 ガタァンッッ。

 静まり返った真夜中のオフィスに、大きな音が響きわたった。


「きゃああっ、大神課長、一体何を!?」

「あ、赤野君っ。俺はもう我慢できないッ」

 デスクの上に強い力で押しつけているのは、部下の赤野燈子。

 去年まで、直属の係員だった新人だ。


 散らばった書類にパソコンのキーボード。オフィスの執務環境に、艶めかしい彼女の姿はいかにも不似合いだった。


 いつもコッソリ盗み見ている年齢不相応な童顔。いつもは笑顔の絶えないその顔が今は恐怖に青ざめ、大きな瞳には涙すら浮かべている。

「嫌だやめて……私、怖い」


 すまない。どうやら恐がらせてしまったようだな。

 だが俺は、その怯えた表情(かお)の中に孕んだ期待の色を見逃さない。

 だって君はさっきから、やめて怖いと口では言いながら、俺の腕を振りほどこうとも、伸し掛かる身体から逃れようともしていないじゃないか。


 ああ可愛い。君は一体、どこまで俺の(サド)心を擽るんだ!

 堪らず彼女の頬へ唇を寄せた時だった。


「ダメ、待って課長」

「ど、どうしたんだ?」

 強い口調に怯んだ俺が顔を上げると、彼女は決意したように、小さく薄桃色の薔薇のような愛らしい唇を開いた。


「大神課長、何もこんなことをしなくっても。……私、ずっと前から課長のこと」

「ば、ばか、何を言い出すんだ赤野」

 恥じらいながらも熱っぽい視線を投げかける彼女に、俺は思わずたじろいだ。

「本当です!……私、あの日課長にキスされた時からずっと身体が疼いていて……もうガマンできなくて」


 はあ、何てことだ!

 まさか彼女も、俺と同じ気持ちでいたなんて。

「あ、赤野。ならば俺が今からシようとしていることには、最早何の問題もないと。そういうコトでいいのだな?」

「は……はい」

 堪らねえ。

「そ、そうか。ならば……」


 イッタダッキマーース。


 がっつこうとした俺に、しかし彼女は掌を押し付けてガードした。

「だ、ダメよダメダメ。ここはオフィス。見回りの守衛さんに見つかったらどうするの?」

「フッ、何だそんなことか。それならば安心したまえ。わが社は100%セ○ム管理、守衛は見回りをしないんだ。オマエも事務職ならば覚えて置くといい」


 言い終えるなり、待ちきれないとばかりに白い首筋にキスを落とす。

「ひゃうっ」

 鋭敏にそれを捉えた彼女の肢体は、大きくピクンと跳ねた。

 くっくっく。

 想像どおり、彼女はかなり感じやすい体質のようだ。


「で、でもでも! やっぱり今日はダメだわ」

「バカ言うな。ここまできて止められるわけがないだろう」

 目を細め、口の端に笑みをつくって蠱惑的に視線を流す。

 得意の誘い顔にも乗らず、彼女は振り払うように懸命に首を横に振った。


「ううん、ううん。だって私、今夜課長とこんなことになれるなんて思わなかったから……下着が」

「くっくっ、何だそんなことか。可愛い奴だ。いいか赤野、勝負下着など神話にすぎない。俺は君が何を着けていようと、例えグ◯ゼだろうとユニ◯ロだろうと構わない」

 個人的には、ヒラヒラレースの清純タイプが似合うと思っているが……。

 結果、剥がすんだから何であろうと一緒だ。

 アホな想像を膨らませながら、ブラウスのボタンを素早く外してゆく。


 が。

「! ま、まさか」

 その時、俺は少なからぬショックを受けた。

「そんな…まさかオマエ、『ノーブラ』だなんて」

「忘れちゃって」

 てへっと舌を覗かせる赤野。

 そうか、だからあんなに躊躇ったのか。


「ノ、ノーブラで出社とは……ふざけるのも程がある!」

 俺の心に、怒りにも似た火がついた。他の男に見られたらどうする。特にどこかのストーカー男。


「フ、フフ。赤野はなんて悪いコだ。そんなフザけた社員には、エッチなお仕置きが必要だな」

「そ、そんな嬉し……じゃなくて、怖いぃっ」


 そうか、イイのか。

 唇を一嘗めすると、おもむろにオーダーメイド・ブランドのスーツを脱ぎ捨てた。

 怯えながらも、どこか期待を秘めた表情が、一層の嗜虐心を誘う。

 俺は、恥ずかしがっている彼女の大きめの胸元をじっと視姦した。

 それから既に固く尖りきった先端を指でピンと軽く弾いてやる。


「やっ」

 彼女の肢体が強ばった。

「い、痛くしないで?」

 きゅるん。

 甘えた声と身をかばう仕草に、途端に愛おしさがこみ上げた。

「当然だ、任せておけ」


 俺はすぐに手を変えると、胸を優しく愛撫した。掌に柔らかく白い乳房を包むと、それは指間に溢れて動かすたびに揺れていた。

「やん課長、気持いいっ」


 熱っぽい身体に口付けしながら、俺はせっかちに手を進める。

 彼女が蕩けだすと、待ちきれないとばかりに日頃短すぎるのが気になっているミニのフレアースカートに手を入れた。


「ああっ、課長そんなッ、まだ」

「赤野、俺ははやく君と一つに……ん?」


 奇妙な違和感を感じる。

 俺はピタリと手を止めて、よがる彼女の内腿を確認すべくまさぐった。

 何か……奇妙なモノが生えて……。


「な、まさかそんな! 赤野お前……」


 そんな。

 そんなバカな。


「男、だったのかーーーーーー!!」

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