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第8話 暗黒大陸の探索

 襲撃のショックから立ち直った軍団は、メルヴィアを中心とする魔術師団を頭脳として、暗黒大陸の調査を続行していた。


 探索には5つのチームが組まれている。

 そのうち4つは騎士10人から構成された調査隊であり、残りひとつは冒険者の一団だ。

 騎士たちの4つの調査隊は、魔術師団が練り上げた探索計画に沿って、ベースキャンプを中心とした東西南北の4方向を探索している。

 一方、冒険者は彼らの裁量で自由に探索を行っている。


 探索の主目的は、新たな「ゲート」の発見である。そのほかにも、食料源の発見や危険な生物の分布を明らかにすることが重要な任務となっている。


 「ゲート」からは異世界から送り込まれる生物が湧き出してくるため、その周辺では未知の生物が溢れているはずだ。

 そこで、変わった生物を探して周辺を調査したが、どこに行っても出会うのは見たこともない生物ばかりだった。


 観測された生物の傾向を分析した魔術師団は、周辺に「ゲート」が存在していると確信していた。

 いまは、生物の分布から「ゲート」の位置を予測するために、日々持ち帰られる目撃情報を元に、魔術師団が総力を挙げて分析を進めている。


 食料源については、シアたちが元々いた大陸とは少し異なるが、似たような動物が広範囲に分布していることを確認できていた。

 そのほかにも、可食性の植物やキノコなどを発見できており、持ち運んだ食料と合わせれば、ここでの探索を持続可能にするための十分な食料が確保できていた。

 

 問題は危険な生物の存在である。この大陸では、すでにいくつかの危険生物が確認されていた。

 危険生物はその危険度に応じて4段階に分類されている。


 最も危険なAランクは、軍団の総力をもってしても立ち向かうことが困難な生物である。

 戦闘はもちろん、遭遇そのものを避けるべき存在だ。

 シアがハヤトに話したように、Aランクの危険生物はすでに4種確認されており、探索はそれらの生息域を大きく迂回する形で進められている。


 Bランクは、調査隊、すなわち騎士10人の戦力でも相手をするには危険な生物である。

 これまでの調査隊の戦闘では死者こそ出ていないが、ひとつ間違えれば全滅の危険もあるとされている。

 これまでに13種が確認されている。

 

 Cランクは、騎士が単独で戦うには危険な生物であり、調査隊の戦力であれば十分に圧倒できる相手だ。

 とはいえ、調査隊は可能な限り戦闘を回避しており、たとえCランクの相手でも無闇に戦うことは避けている。

 これまでに26種が確認されている。

 

 Dランクは、一般兵士が単独で戦うには危険な生物であり、騎士ひとり、あるいは複数の兵士がいれば十分に倒せる相手だ。

 Dランクは、ベースキャンプ周辺で食料調達を行う兵士たちが単独で戦いを避けるべき相手として用いられている指標でもある。

 現在、40種以上が確認されている。


 以上が、4段階の危険生物の分類だ。

 なお、Aランクが特に危険とされるのは、その全てが群れをなして行動していることが一因である。

 少数個体であれば、BランクやCランクの生物のほうが、むしろ危険度が高い場合もある。


 たとえば、魔術師たちが「フロッカー」と呼称するAランクの三つ目の狼は、個体としての戦闘力は兵士よりも低い。

 しかし、調査隊のこれまでの「フロッカー」との遭遇では、単独行動しているように見える場合でも、必ず近くに群れが存在していた。

 そのため、一匹と戦闘になるとすぐに集団に包囲され、調査隊は敗走を余儀なくされている。


 逆に、Bランクの危険生物には、個体戦闘力がどのAランク生物よりも高い「アベラント」という存在がいる。

 常に黒い霧で覆われているのが特徴だ。この黒い霧は、触れたものを徐々に消滅させる効果を持つ。

 剣や鎧が霧に包まれると、その部分が徐々に視覚的に薄れていき、まるで現実から消えてしまったかのように見える。

 完全に消失する前に霧から離れれば元に戻るが、離脱が遅れ、身体ごと消滅してしまった兵士もいた。

 幸い、「アベラント」は移動が遅いため、接触を避けることは可能である。

 

 魔術師団は、最初の「ゲート」の位置を特定するのに最短で2週間、長くとも1ヶ月と見積もっていた。

 しかし、当初の予想以上に多くの生物が歪な形で分布していることがわかり、現在では早くても1ヶ月、長ければ3ヶ月はかかると見ている。

 長期間にわたる調査は、それだけ犠牲者が増える可能性を高める。

 魔術師団は、効率的な探索計画を日々精査し、できるだけ短期間で「ゲート」の位置を特定することに全力を尽くしていた。


 調査が長期間に及ぶことによるもうひとつの懸念は、食料の確保である。

 しかし、幸いにも兵士団を中心に実行されている食料収集計画は順調であり、兵站の問題はないように思われた。

 収集される食料は、小動物や中型動物、果物、野草、キノコなど、驚くほど豊富であり、その調理方法についてはメイド団を大いに悩ませていた。

 

 魔術師団は、兵士たちが収集した食料についても分析を行っていた。

 その結果わかったことは、動物や植物類もまた、「ゲート」により異世界から送られてきた可能性が高いということだった。


 現在、調査結果と最も整合性のある仮説は、このベースキャンプ周辺には複数の「ゲート」が存在しているというものだ。

 これはすなわち、ベースキャンプが極めて危険な場所に位置していることを意味していた。

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