表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
165/202

おまけ ミエルの一日

 朝、ぼくは王さまと一緒に起きる。

 王さまの枕の横で、んー、と伸びをすると、王さまが頭を撫でてくれる。


「おはよう、ミエル」

 おはよう、王さま!

 

 まだ夜が明けたばかりの時間に起きて、王さまは毎日、剣の稽古をするんだ。

 ぼくは、寝心地のいい窓辺のソファで、刀を振るう王さまを見守る。


 えい、やあ、って刀を振る王さまは、すごくかっこいいんだよ!

 だから、本当はもっと近くで見たいんだけど、ぼくはおうちの中。


 危ないから近付いちゃダメだよ、という王さまの言いつけを守る、ぼくは賢いネコなんだ。でも、朝が早くて、いっつも途中で眠っちゃうんだけどね。


 目が覚めたら、王さまが遊んでくれるんだよ。

 王さまがおもちゃをフリフリすると、ぼくはウズウズして、一生懸命追いかけちゃうんだ!


 それでおもちゃの羽を捕まえると、王さまが「ミエルすごいね!」って、褒めてくれるんだよ。

 ぼくはすごいんだ! えっへん!


 いっぱい遊んだら、今度はごはんの時間。

 初めはなんだろうって思ったんだけど、王さまが食べてごらんって言うから食べてみたら、ごはんってすっごく美味しんだ!

 ぼく、びっくりしちゃった。


 ごはんを食べてお腹いっぱいになったら、今度はおうちの中をパトロール。危険なところはないか、悪い奴がいないか、調べないといけないからね。

 王さまの安全は、ぼくが守らなくちゃ。


 そしておうちの中に異常がないことを確認してから、王さまのところへ。

「にゃあ」

 小さく鳴いたら、王さまはぼくをお膝に乗せてくれる。

 

 お仕事をしている王さまは、時々ぼくをなでなでしてくれるんだけど、それが気持ちよくて、またうとうとしちゃう。


 たまに目が覚めてテーブルの上に登ると、紙がいっぱい!

 王さまがその紙になにか書いてるんだけど、ぼくがそこに寝転がれば、王さまは紙なんかじゃなくて、ぼくをなでなでしてくれるんだ。

「もー、ミエルはしょうがないなー」

 なんて言いながら、笑ってる。


 やっぱり王さまは、こんな紙なんかより、ぼくのほうが大好きなんだ。

 えへへ、いいでしょ?


 でも、カイが怒るんだ。

「ミエル、ロワ様の仕事の邪魔をしないでください」

 王さまだって、仕事よりぼくのほうが好きなのに、なんでそんなことを言うんだろう。


 それに、カイはいっつもぼくに言うんだよ。

「私が、ロワ様の側近筆頭ですからね」

 そっきんひっとーっていうのは、王さまの配下で一番偉いんだって。


 でも、ぼく知ってるんだ。

 カイは王さまになでなでしてもらってないこと。

 それに、ぼくみたいに抱っこもしてもらってないし、いい子だねって褒めてももらってない。


 だから可哀想なカイのために、ぼくはどいてあげるんだ。

 お昼なら、大王さまがソファにいる。大王さまはいつも忙しそうだけど、この時間だけはゆっくりしてる。


 ソファに座ったり寝転がって本を読んでる大王さまの上で、ぼくもお昼寝。


 あ、大王さまっていうはね、王さまの「おとーさん」なんだって。

「おとーさん」がなにか、ぼくにはわかんないけどね。

 王さまは、大王さまが大好きなんだ。


 ぼくも大王さまは好きだけど……大王さまは、ぼくのことをチビ助って呼ぶんだ。

 ぼくの名前はミエルって言うのに。

 プンプン!


 ひょっとして大王さまはぼくの名前、知らないのかな?


 お昼寝から起きると、お仕事の終わった王さまが遊んでくれる。外はすっかり夜だ。

 ソファに座ってお外を眺めていると、王さまがぼくを呼ぶ。

「ミエル、おいで」


 ぼくは王さまに呼ばて嬉しくて、急ぎ足で王さまのところに行くと、王さまが抱っこしてくれる。

「さ、もう寝ようか」


 そうして王さまと一緒にベッドに入る。

 王さまは、ぼくが眠るまでなでなでしてくれる。


 優しい王さまが、ぼくは大好きなんだ。

 王さまになでなでしてもらうと嬉しい。

 抱っこをしてもらうと嬉しい。

 名前を呼んでもらうと嬉しい。

 ぼくを見てくれると嬉しい。

 遊んでもらうと嬉しい。


 えへへ。

 ぼくは王さまが大好き。


「おやすみ、ミエル」

 おやすみなさい、王さま!



 

 ❖ お知らせ ❖


 読んでくださり、ありがとうございます!


 皇八島について は3/21(金)の夜、22時30分頃に投稿を予定しています。

 次回は「やさしい魔法使いの起こしかた」の舞台となる皇八島の簡単な設定集となります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ