第5話 誕生日パーティー①
「うむぅ……」
僕は複雑な気持ちで、メイドさん達に囲まれている。
「まあ! シルバー殿下、大変お似合いですわ!」
「本当に! 正しく本日のシルバー殿下の、お祝いの場に相応しい装いです!」
褒めてくれいることは嬉しいが、銀色のフリルがふんだんに使われた衣装は少し恥ずかしい。今日は僕の一歳の誕生を祝して、お城で誕生日パーティーがあるそうだ。城に招待した人達への僕のお披露目会も兼ねているらしい。その為、両親は勿論。メイドさん達も凄く熱心に僕の準備をしてくれているのだ。
因みに夜だと僕が寝てしまう可能性が高い為、お昼からの誕生日パーティーとなっている。主役の僕が招待客に挨拶も無しに寝てしまうのは失礼だと思うので、その配慮は有り難い。
部屋には沢山の誕生日プレゼントが置かれている。これでもほんの一部だとメイドさん達が話していた。僕は第二皇子なので、まだまだ沢山のプレゼントが届くらしい。
「失礼する」
「うぁ!」
待ちわびた声が響き、僕の視線は入り口の扉へと向かう。
「迎えに来たぞ、シルバー」
「…………」
入り口には大好き兄様がこちらに歩いてくるのが見える。大好きな兄様に会えて嬉しいが、今日の装いがとてもかっこよくて思わず見とれてしまう。
兄様の黒髪と同じく漆黒の衣装に、細かい金糸が刺繡されている。そして左肩から右脇腹に赤いサッシュがあり、黒いマントの内側の黒い生地に銀色の刺繡が施されているようだ。黒い手袋もかっこいい。
更には正装に合わせて髪型も変えているようだ。何時もは下している前髪が、後方へと撫でつけられている。何時も知的でかっこいい兄様だが、普段と違う雰囲気によりカッコよさを感じるのだ。一言で言えばとても似合っていて、とてもかっこいいのである。
ゲーム内のブラックも漆黒を基調とした服装をしていた。色の効果もあり冷たく近寄りがたい雰囲気だったが、兄様は落ち着きと気品を感じる。
「シルバー? 大丈夫か?」
「……あ、あぅ! にぃ!」
暫く兄様のカッコ良さに見とれていると、目の前に兄様がしゃがみ僕の顔を覗き込む。如何やら僕が兄様の格好に見とれていて反応をしなかった為、体調が悪いと思われたようである。優しい兄様に変な誤解をさせてしまうのは申し訳ない。僕は元気だとアピールしつつ、兄様に抱きつく。
「体調は悪くないようだな」
「ふぇ、あい!」
兄様は手袋を外すと、僕の頬に優しく指先が触れる。少し低い体温がひんやりとして気持ち良い。僕は元気よく返事をする。
「恐れながら、ブラック殿下。シルバー殿下はブラック殿下の、お姿に見とれていらっしゃったご様子です」
「はい。シルバー殿下はお元気ですので、ご安心下さいませ」
「あい!」
メイドさん達が僕の代わりに、反応が鈍かった理由を説明してくれた。赤ちゃんでまだ上手く喋ることが出来ない僕にとってはとても助かる。流石は王城に勤めるメイドさん達だ。
僕は彼女達の言葉を肯定する。
「そ……そうか……」
「にい?」
片手で顔を覆う兄様。耳が赤くなっているので、如何やら照れているようだ。容姿端麗な兄様もかっこいいと言われると照れるようである。
「……父上と母上がお待ちだ。そろそろ行こう」
「あぃ!」
手袋を嵌め、顔を上げた兄様に声をかけられる。兄様に向かって両手を上げると、優しく抱き上げられ部屋を後にした。