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闇夜の追撃  作者: マックス一郎
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表裏

ラザロとユダが初めて衝突する。

バチカン市国

サン・ピエトロ広場地下深く

バチカン市国情報局・超自然的存在対策本部

2025年3月末日 時間不明



ラザロ枢機卿が自分は椅子に深く座って、机に肘をかけていた。

近づいてくる大きな戦いの準備で頭を悩まされていた。


ワトソン重工の元監査官、ドリアン・グレイは教会側に寝返った。

闇の評議会の信長公、アーカード卿やノスフェラトゥ卿と一時的同盟を組んだ。

それでもあの大きな悪の組織であるワトソン重工にあの不可触民パリヤことイスカリオテのユダが関わっていた。


あの男と自分は同じコインの表裏の存在だったと言える。

同じ人物にそれぞれ違う使命を授かった。


「神よ、我を導きたまえ。」


静かにお祈りを上げた。


ラザロ枢機卿があの人物の遺産であるカトリック教会を守る使命。

イスカリオテのユダがあの人物の遺産及び人間ウォームを破壊する使命。

2000年経っても、あの人物と神のご真意がわからないと思った。

そして使命授かりの後、まだラザロに改名する前、まだ自分はエルアザルと呼ばれていた頃にユダことのイェフーダーとの最初の衝突を思い出した。



ローマ帝国・属国ユダヤ王国

ベタニア市近辺

約2000年前


エルアザルは1人で夜道を歩いていた。

最近獣が出没し、旅人を襲って殺していた。

行方不明者も多数出ており、ローマ帝国軍も手を焼いていた。


エルアザルは新しく手に入れた力を使いたかった。

守る使命を授かっている以上、ユダヤ人、サマリア人、ローマ人関係なく、

猛獣から救いと強く思った。

そして人間ウォームたちを襲っている例の猛獣が実はそうではないことも知っていた。


後ろから禍々しい気配を感じた。

ゆっくりと振り向き、若い男のシルエットが暗闇の中にはっきりと見えた。


「何者?」


エルアザルは尋ねた。


男が無言のまま、素早く近づいてきた。


「名乗れ!!神の名に命じて、名乗れ!!」


男が急に止まった。


「神の子に破壊を命じられた者だ。」


エルアザルは驚いた。


「神の子を語った嘘を言うな。貴様は何者?」


男は禍々しいオーラを放ち、赤い目でエルアザルを睨んだ。


「嘘ではない。」


怒り、憎悪の籠った声で男は答えた。


「私は神の子より使命を授かった者です。神の子が愛したい者を守る使命だ。」


赤い目の男は笑いだした。


「私は同じ人物から使命を授かった。愛した者を破壊する使命だ。」


エルアザルは信じられないような目で男を見た。


「名乗れ、貴様。」


男はまた笑った。どこか悲しみと怒りが漂う笑い声だった。


「イェフーダーだ。イスカリオテのイェフーダーだ。それでお前はエルアザルだろうな。」


「貴様はあの人物を裏切ったな!」


「命令されて裏切った。」


「でたらめ言うな。」


「本当だ、エルアザルよ。私が嘘は付かん。」


エルアザルは混乱していた。


「我々は相反するため、創られた者同士だ、エルアザルよ。」


「あの人物は神の子であった、我々を無用な戦いのために命令を授けたわけではない。」


「我々はあの人物の玩具だ。わからないのか?」


「貴様は神の敵の手により創られた者なのだろう、イェフーダー。」


「違うぞ、エルアザルよ。私は首を吊り、死んで、蘇った。その際、あの人物の声を頭の中に聞いた【イェフーダーよ、私が愛した者、私の遺産、そしてそれを守る者を含めて全て破壊せよ。】と命令を授かった。」


エルアザルは思い出した。あの人物は自分を蘇らせた時に聞いた言葉を思い出した。


【私が愛した者、私の遺産を全て守れ、恐るべき魔の手から全力で守れ。】


エルアザルは信じたくなかった。


「我々はあの人物とその上の存在の退屈しのぎ玩具だ。」


「貴様は神の心を知るわけがない!!」


「盲目的の狂信者め。まだわからんか?」


「神とその子は我に力を与えたまえ!!」


エルアザルはイェフーダーの腹部を蹴り、後ろへ飛ばした。


「我はお前を滅ぼす、覚悟がいいか、イェフーダーよ。」


「やれるものやってみろ、盲目な羊め!!」


イェフーダーはエルアザルの顔を右拳で殴り、腹部に膝蹴りを入れた。


「羊め、苦しめ。」


エルアザルはしゃがんでいたが、素早くジャンプし、イェフーダーの後ろへ飛び、

背中に蹴りを入れた。前へ飛ばされたイェフーダーは口から血を吐いた。


「あの人物の遺産を守るのは私の使命!!滅ぼしてやるぞ、裏切り者のイェフーダー!!」


エルアザルはイェフーダーの後頭部を殴ろうとしたが、イェフーダーは右裏拳でエルアザルの拳を逸らした後、振り向き、左の拳でエルアザルの顔面を殴った。殴られた衝撃で鼻と歯数本が折れたものの、瞬時に再生能力で元通りとなった。


「お前は我に勝てないぞ、盲目な羊め。」


イェフーダーは言い終えたところでエルアザルの顔面蹴りを受けて、飛ばされた。


2人の男は人間ウォームの目が絶対に追えない速さで戦い、傷付き、再生され、数時間連続で殴り合った。


夜明け前に彼らは一旦戦いを止めた。


「永遠に終わらない戦いは馬鹿馬鹿しい。」


イェフーダーは言いだした。


「それでもお前を滅ぼさねばならない、あの人物の遺産を守るため。」


「まだわからないのか?」


「何を?使命を全うするだけ。」


「馬鹿が、気つけ、羊よ。」


「断る。貴様が私の存在理由なのだ。守るため、お前を滅ぼすのみ!」


また2人が夢中になって殴り合った。その時、大勢の人間ウォームの足音が

夜明け前の静けさを切り裂いた。


「何だ?」


イェフーダーとエルアザルは同時につぶやいた。


ローマ帝国軍の重装歩兵百人と重装騎兵数十騎が太陽が昇る方向から音を立てながら

2人のいる場所へ向かっていた。


「邪魔が入ったな、排除しなきゃ。」


イェフーダーは苦痛が隠し切れない笑顔を浮かべて、大きなジャンプでエルアザルを飛び越えて、

軍団が来る方向へ猛スピードで向かっていった。


「やめろ!!」


エルアザルは叫んだが、遅かった。

イェフーダーは真正面から軍団を切り裂いた。

人間ウォームは悲鳴を上げ、反撃に出てものの、食物連鎖の上位的存在であるイェフーダーを止めることが出来なかった。


あっという間に人間ウォームと馬の死体の山になった。


「エルアザルよ、馬鹿な羊よ、私は破壊行が止められない。」


「神の名の元でお前を滅ぼす!!」


エルアザルは追いかけたが、イェフーダーは煙のような状態となり、消えた。


「疲れたので、しばらく眠るぞ、羊よ。お前が見つからない場所でね。」


消える前に皮肉、怒りと途轍もない悲しみがにじむ声でイェフーダーが言った。


エルアザルは残され、周りの惨状を見て、悲しみに打ち砕かれた。


「何故、神よ、何故だ。」


生き残ってた数人の人間ウォームの手当を始めた。

けが人、全員理性を失っていた。


エルアザルは頭の中に声が響いた。


「私の遺産を守れ。それだけがお前の存在する理由。忘れるな。」


声に対して質問したい衝動に駆られたが、黙って頷いた。


ローマ帝国軍の別の部隊の足音が聞こえてきたのでエルアザルは彼らが来る前に

急いでその場所から離れた。


「仲間を増やせ、その力も備わっている。全員で私の遺産を守れ、命を捧げろ。」


また声が響いた。


「神のご意志のままに。」


エルアザルは答えた。



同時刻

20キロ離れた場所。


イェフーダーは実体化し、目の前の洞窟に入った。


「何故私にこんな運命を。。」


怒りと絶望を痛感しながらつぶやいた。


「私の遺産を滅ぼせ。それだけお前の存在理由。忘れるな。」


あの憎たらしい声が頭の中に響いた。


「仲間を増やせ、その力も備わっている。全員で私の遺産を破壊しろ、命を捧げろ。」


またあの声が聞こえた。


「付き合ってやる、いつか必ずあんたが課した呪縛から逃げてやる。」


挑戦的にイェフーダーは声に対して答えた。


激しい痛みが全身を走ったが、それでもイェフーダー、のちのイスカリオテのユダが天に拳を上げて、怒りの視線を向けた。



現代

バチカン市国情報局・超自然的存在対策本部内


ラザロ枢機卿は短い祈りを捧げた後、自分の部屋を後にし、

更に地下深く下りて行った。


あの人物のご意志、神のご意志を理解せねばと改めて思った。

地下深くに50年前から幽閉している神の敵の一体と対面し、

何故神の敵のはずがこの世界に対してほとんど無関心であるのを確かめたかった。


何故人間ウォーム上がりの奇人、変人、吸血鬼やその他の亜人だけ暴れまくるのを

確認したかった。


厳重に警備された地下牢の前に着いた。


護衛の守護神鬼ガーゴイル3人は挨拶した。


「ラザロ枢機卿どの、どのご用でしょうか。」


リーダー格の神父は質問した。


「パズズに会いに来た。質問したいことがある。」


恐怖の表情を浮かべたリーダー格の神父は他の2人に命令し、地下牢の入り口を開けさせた。


「どうぞ。」


神父は震える声で案内した。


ラザロ枢機卿は無言に地下牢に入った。















































日本語未修正。

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― 新着の感想 ―
[一言] ラザロとユダに違う名が…?ググってしまいました。しかし、謎は謎のまま… 相反する命令とはちょっと神も意地が悪い…か、どちらかが詐欺られているのか…?続きが気になります!
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