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闇夜の追撃  作者: マックス一郎
38/44

歴然

ルスヴン卿とミスター・ハイドの戦いが始まる。

英国・ロンドン市郊外 南東48キロメートル

ヒーバー城 地下運動場

2025年3月某日 午前10時17分頃


ルスヴンはハイドの動きを鋭い目で見ていた。

エクスカリバーを抜き、防御の構えを取り、あのゴリラみたいな若い男の攻撃に備えていた。


「滅ぼしてやるぜ!!気取り屋め!!」


ハイドが下品な笑い方しながら両手に握っていた重いバルディッシュで切りかかった。

全身の力を込めて2つの戦斧をルスヴンの頭目掛けて、思い切り振り下ろした。


「甘い、ミスター・ハイド。君は本当に甘い。」


ルスヴンはハイドの力任せ攻撃を簡単にかわし、距離を取って、再び構えた。

攻撃をかわされたハイドが不機嫌になった。


「逃げんな、腐れ吸血鬼め!!」


「逃げてない、ミスター・ハイド。君には後2分30秒ぐらいの命しか残ってない。」


ルスヴンの言葉を聞いたハイド、怒りを爆発させた。


「灰もの残らないようにしてやるぜ!!」


「やれるものならやってみなさい、ミスター・ハイド。」


ハイドが怒り狂っていた。円卓同盟のメンバーとしてここで存在をアピールしなきゃと焦っていた。

ノートルダムにジキルと共にスカウトされ、一応用心棒もしていた。

ジキルは化学である程度功績を上げていた、自分には腕力しかなかった。

2人で1人の席に座り、2人で1人の扱いだった。

ハイドはわかっていた、自分は理性的なヘンリー・ジキル博士が抑圧していた薄黒い欲望の具現化だった。


「ルスヴン、腐れ吸血鬼め!!死ね!!!」


2つの大きなバルディッシュを全力で再び振り下ろし、焦り混じりの怒りで叫んだ。


「ミスター・ハイド、やはり君が話しにならない。」


ルスヴンは素早く、エクスカリバーでハイドの両腕を切り落とした。


「ルスヴン、てめえ!!」


反応する前に切られていたため、ハイドは悪態を吐くのは精いっぱいだった。


ルスヴンはハイドを哀れと軽蔑を入り交じった目で見ていた。

ハイドには哀れみな目に見られるのは耐え難かった。

毎回鏡で自分の顔を見る、心の底に眠っていたジキルに見られている気がしていた。

哀れみな目で。本人はジキル博士で副産物であり、独立した人格ですらなく、

ジキル本人の薄暗い欲望を形になったに過ぎなかった。


「ミスター・ハイド、君は1人の人間ウォームではない、君はただヘンリー・ジキルの影だ。」


ルスヴンは地声でハイドに話した。


「てめえは俺の何かわかると言うんだ!!」


ハイドが新しい腕が再生される間にぶっきらぼうに答えた。


「お前の本体、ジキル博士と話したい。影である君に用はない。」


ルスヴンは明確な軽蔑な眼差しでハイドに伝えた。


「俺と話せ、ルスヴン、俺が本当のジキルだ!!」


「君とジキルには後1分半の命しかない、事が切れる前に話したい。」


「嫌だ、俺が本当のジキルでメイン人格なんだ。」


ハイドが再生された腕を見た。弱弱しいジキルの腕だった。


「ちくしょう、そんなバカな!!」


ハイドが恐怖と驚きに満ちた叫び声を上げた。


「消えてくれ、ミスター・ハイド、大人の話し合いに子どもの出番がない。」


ハイドが気が遠くなるのは感じた。気づいたら意識の奥へ戻され、そこから遠目でルスヴンを見ていた。


「ヘンリー・ジキル博士、お久しぶりです。」


「お久しぶりです、ルスヴン卿。」


ジキルは悲しみと恐怖の目でルスヴンを見た。


「あなたに裁きを下す。」


「わかっている。」


「私の忠告を無視し、危険な薬を開発し、自分の恐ろしい欲望を具現化させた上、連続殺人鬼と強姦魔になり、わが国を恐怖に陥れた罪が大きい。」


「わかっている、ルスヴン卿。」


「後1分で全て終わる。」


死神族リーパーズになったので私は死ぬことができないけど。」


ジキルは数かな微笑みを浮かべて、ルスヴンを見た。


「エクスカリバーの魔力パワーではお前を滅ぼすことができる。」


ルスヴンは厳しい目でジキルを見た。


「そんなバカな、私はノートルダム会長、あの男に永遠の命、滅ぼされることがない命を授かったはずだ。」


ジキルが驚きと怒りが混じった声を上げた。


「普通の武器ならそうだろう。例え原爆だったにしても、お前とその分身は滅びないのだろう。このエクスカリバーはダ・ヴィンチの遺産以上の破壊力がある。」


ジキルは恐怖のあまりで尿を漏らしたが、ハイドにバトンタッチする前に考えたバックアップ計画を思い出した。ズボンのポケットにあった小型無線機を取り出した。

ルスヴンは彼を呆れた目で見た。


「私は死なない、滅ぼされない、今近くの待機している100名の転化人インヒューマン戦闘員と300の人間ウォームの戦闘員をここへ来させて、お前たちにダメージを与える。」


「呼べばいい。」


ルスヴンは言い放った。


「サトクリフ隊長、今すぐ攻撃を仕掛けろ!!ここのいる全員を滅ぼせ!!」


無線機に向かって、ジキルが叫んだ。


ピーター・ウィリアム・サトクリフ隊長はジキル博士の専属部隊の隊長で元連続殺人鬼だった。


「サトクリフ隊長、返答しろ!!何処にいるのかピーター?」


ジキルは焦りがにじむ声で応答を求めた。


「サトクリフはもう灰になっていますよ。」


若い女性の声が無線機から聞こえてきた。


「貴様は何者?ピーターに何かあった?」


「私は十字架の騎士団戦闘員、シスター・リーガン・マクニールだ。ジキル博士、あなたの部下全員が灰か捕虜になっていますよ。」


「そんなバカな!!」


ジキルが叫んだ。


「時間だ、ジキル博士。永遠に地獄を彷徨え。」


ルスヴンは台詞を言い終える前にエクスカリバーを振り下ろし、ジキル博士を頭のてっぺんから股間まで真っ二つに切った。

エクスカリバーの持っている魔力パワーで本来ならばすぐに急速再生の治癒能力が発動するはずが無効となり、ジキルの人体が悪臭の放つ液体になった。


液体となって、崩れていく一瞬でジキルは初めてハイドと向き合った。

お互い意識の奥で遠くから見つめるのでなく、真正面から。


「俺がてめえが大嫌いだ、老いぼれめ。」


ハイドが声ではない手段でジキルにそれを伝えた。


「お前は私だ、私はお前だ、ハイド。」


同じ声ではない手段でジキルがハイドに伝えた。


何処から湧いたかわからない大きな黒い手がジキルとハイドを掴み、冷たく、暗い場所へ

引っ張った。そこで全てが暗くなり、2人で1人の意識が途切れた。



ルスヴンはエクスカリバーを鞘に収めて、妻が待っているところへ戻った。



同時刻

ヒーバー城から1キロ離れたところ。


ジキルとハイドが滅ぼされたのを察知した後、リーガンは無線機を投げた。

周りに灰となった転化人インヒューマンの戦闘員と200名以上の遺体があった。

残りの約100名が降参して膝をついて、両手を頭の後ろに組んでいた。


「当局が来る。大人しくしていろ、ワトソン重工の犯罪者ども。」


リーガンが生き残った戦闘員に厳しい言葉をかけた。


彼女と組んでいる2人のシスターは戦闘員を監視していた。

リーガンはスマートフォンでメッセージを打った。


「任務完了、カラス神父。」


送信した後、遠くから警察隊のサイレンが聞こえてきた。




時は同じく。

タウレッド王国、首都・トレード市

カーサ・デル・レイ宮殿


ノートルダムは着替えていた。

感覚的にジキルとハイドが滅ぼされたことを感じた。


「席がまた空いた。やはりワトソンとモランだけが頼りになる。」


女性的な国王はノートルダムの肩を優しく触った。


「もう行くの、お父さん?」


ノートルダムは手を振り払った。


「急いでいる、また来るから。」


国王は頷き、悲しそうな目でノートルダムを見た。


自分の車に乗ったノートルダムはワトソン重工本社へ向かった。

宮殿から見えたが、本社ビルが煙を上げていた。


「派手にやったな、小島。」


わかっていたとはいえ、ノートルダムは少し腹が立った。




















日本語未修正。

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― 新着の感想 ―
[一言] ジキルは立派な人なんだろうなと思いきや、こちらもダメな人でしたね…ダメな人は分割してもダメなのでしょう… 久しぶりの小島さん、派手にやっちゃってーと次回への期待が高まります!
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