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闇夜の追撃  作者: マックス一郎
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兄者

ルデニャ兄弟の長兄とシャーロック・ホームズの一騎打ちが始まる。

英国・ロンドン市郊外 南東48キロメートル

ヒーバー城 地下運動場

2025年3月某日 午前9時45分頃


ペドロ・ルデニャはロングソードでホームズ司令官のサーベルを力任せで折ろうとした。

ホームズはそれを見越していて、最小限な動きで上手く余分な圧力を逃がしていた。


「おのれ!」


ルデニャ兄弟の長兄が悪態をついた。


「腕力のみではどうにもなりません。」


ホームズは笑顔を浮かべて、ペドロを挑発した。


「あの女は弟の仇、邪魔するな!」


「お前の相手は私だ。」


ペドロはこの英国人吸血鬼は相当のやり手だと思った。

今まで戦ってきた軍人、諜報員、戦闘員と根本的に違う。

それ故に剣を交えて、彼の恐ろしさを実感していた。


「弟の弔い合戦だ。先ずは貴様から血祭りに上げてやる。」


強気で言ったものの、ホームズ司令官の得体の知れない何かが怖かった。


「悪いことは言わん、降参しろ。」


ホームズは冷静な口調で促した。


「降参はしない、仇を討つ!!」


ペドロが全身全霊の力でホームズのサーベルを押し切ろとした。


「残念だ。」


シャーロック・ホームズはつぶやいた後、凄まじい速さと力でペドロのロングソードを押し戻し、

彼の腹部を思い切り蹴った。

反応する前に蹴りで後ろへ飛ばされたペドロは驚いていた。


「お前は私に勝てない。降参しろ、ペドロ・ルデニャ軍曹。」


「俺を知っているか?」


「知っている。ルデニャ兄弟の長兄で隠密行動及び暗殺を専門としている凄腕戦闘員。」


「ならば俺が諦めないのも知っているのか?答えろ、英国野郎。」


「知っているさ、だから降参しろ。」


ペドロは恐怖を感じていた。本来ならば手に負えない敵なら戦略的撤退を選んでいるところだった。

それが例え、弟の弔い合戦であったにしても。


「おい、ペドロ。あのホームズって野郎を早く滅ぼせ!!」


後ろからミスター・ハイドの声が聞こえた。


ハイドはイライラしていた。連れて来た3人は相当強い駒だったはずなのに、

1人は華奢な女吸血鬼に滅ぼされ、もう1人は別の男性吸血鬼に押されている。

最後の1人、得体の知れない断絶オーファン系統レガシーの吸血鬼は戦いを好奇心の目で見ていた。


「ホームズよ、ちょっとタイムだ。ペドロ、こっちに来い。」


ハイドは下品な笑顔で声をかけた。

ホームズは肩をすくめる仕草をし、了承した。


「はい、ハイド様。」


ペドロはハイドの前に立った。


「今のままではあのホームズって野郎には勝てない、力を貸してやる。」


「力を貸すのですか?」


ペドロは驚いた顔で質問した。


「ああ。見てろよ。」


ハイドの右の人差し指の爪だけが急に伸びて、彼はそれで左手の手首を軽く切った。

濃い赤い血が出た。


「ほら、早く飲め、治癒能力で再生される前、ペドロ。触手テンタクルファングを出さず、口でよ。」


ペドロは驚いたが、素直に命令に従った。

ハイドの血を飲んだ後、ペドロは悲鳴を上げた。


「痛いぞ。これは何ですか?!」


痛みに耐えながら、ハイドに聞いてきた。


「俺からの【恩恵のろい】さ。」


ハイドは笑い、苦しむペドロを見た。

震えていた彼が膝をついた。


「力が湧いてきたか?」


ハイドはペドロに質問した。


「はい、ハイド様。」


目が赤く染まり、ペドロは笑顔を浮かべた。

ペドロの体が膨れ上がった、鎧のような筋肉に覆われて、身長は2メーター以上になった。


「第二ラウンドだ、英国野郎。」


ペドロは立ち上がり、ホームズに向けて走り出した。


ハイドは笑顔を浮かべた。

これでペドロを一時的に力を与えて、強化した。

ハイドはペドロに言わなかったが、強化の代償は血の効果が切れば、灰になるものだった。


「大きく華々しく散れ、駒野郎。」


笑いながらハイドがつぶやいた。


ペドロはロングソード、隠し持っていた短剣、グロック17を捨てた。

完全に肉弾戦で戦う気でいた。

ホームズは右眉を上げて、呆れるような仕草をした。


「滅ぼしてやるぜ!!英国野郎!!!」


猛獣のごとく、走って来たペドロが叫んだ。

ホームズは冷静に状況を見極めた。

闘牛士のようなポーズを取り、サーベルで構えた。


「舐めるな!!」


怒り狂ったペドロは猛突進してきた。

体当たりする直前、ペドロの視界からホームズは消えた。

ペドロは目を上げた、ホームズは彼の上を飛んで、サーベルで首の後ろを刺した。


「おのれ!!!」


ペドロは悲鳴を上げながら、ホームズを罵った。

両腕で首の後ろに刺さったサーベルを一気に抜き、投げた。


「許さん!!英国野郎!!」


ペドロの後ろに立っていたホームズはボクシングの構えをした。


「来い止め刺してやる。」


余裕のある表情でホームズはペドロを挑発した。


「死ね!!」


突進しながらペドロが叫んだ。

ホームズは彼を華麗にかわし、右の拳で顎の左側をクリーンヒットした。

ペドロの動きが一瞬止まった。

今度はホームズがペドロの股間を左足で強く蹴った。

巨体になったペドロは痛みでしゃがんだ、その隙にホームズの右アッパーは顎にさく裂した。

後ろへ飛ばされたペドロの体へ更にドロップキック叩き込んだ。


「力だけじゃ、勝てないんだ。」


3メーター先に飛ばされて、倒れたペドロに対してホームズは言い放った。


ペドロはゆっくりと立ち上がった。


「まだまだ、英国野郎。」


数倍上がった治癒能力で回復したペドロはホームズを威嚇した。

ホームズは冷静に回復した猛獣を見た。


「一撃で君を滅ぼす。」


ホームズは極めて冷静な表情でペドロに通告した。


「おのれ!!全員滅ぼしてやる!!」


ペドロはまた猛突進でホームズに近づいた。

ホームズは構えを解き、両手を下げた。


「諦めたか?英国野郎!!」


体当たりされる直前、またもやホームズはペドロの視界の前から消えた。

ペドロは後ろへ振り向いた。そして異変に気付いた。

振り向いたのは頭だけだった。体が前へ向いたままだった。


「バカな、そんなバカな。」


ペドロはつぶやいた後、体が前へ倒れ、頭は後ろへ落ちた。

ホームズは近づき、ペドロの頭を持ち上げた。


「おのれ。」


口パクパクしながら声にならない声でペドロがつぶやいた。


「何かあったは一生わからないと思う。その一生は今終わると思うので。」


ホームズはペドロの頭に話しかけた。

口パクパクしていたペドロの顔の表情は苦痛の表情に変わった。


「始まったか。思ったより少し早いな。」


前に倒れていたペドロの体の上半身は悪臭を放つ液体となり、下半身が灰となって消えた。

ホームズはペドロの頭を床に投げた。

頭が溶けだして、ペドロは苦痛のあまりに泣き出した。

数秒後、頭は悪臭がする液体となった。


死神族リーパーズの血を飲む者の末路だ。」


ホームズはつぶやき、視線をハイドに向けた。


「知ってたのか?ミスター・ハイド。」


「ああ、駒を最大限に利用しなきゃなと思って。」


また下品な笑い方を上げて、ハイドが答えた。


「おい、バークよ。出ろ。次はてめえだよ。」


ハイドは笑いながらエドワード・Cシー・バーク軍曹に命令した。


「承知しました、ハイド様。」


バーク軍曹は前に出て、ホームズを見た。


「あなたが相手なのか?」


大きな目の不気味な笑顔でバーク軍曹はホームズに質問した。


「違いますね、そこで大人しく待ってくださいね。」


ホームズは異常な風貌のバーク軍曹を軽蔑な眼差しでみた後、ルスヴン卿たちのところへ下がった。


「お久しぶりだな、ミスター・バーク。」


ロビン・フッド隊長は前に出てきた。


「お久しぶりですね、フッドよ。」


不気味な笑顔でバーク軍曹は答えた。


「70年ぶりだな。最後に会った時の貸しを回収に来た。」


「お愉快な仲間のリーのリチャードのことですかね?フッドよ。」


不気味な笑顔でまたバーク軍曹は話した。


「ああ、覚悟するがいい。我が友の仇め。」


「仇?まさか、まさか。君の友のところへ送って上げる、フッドよ。」


バーク軍曹は短剣とサバイバルナイフを抜き、笑顔を浮かべながら、ロビンを挑発した。


「悪趣味な冗談は顔だけにしろよ、ミスター・バーク。」


サーベルを抜きながら、ロビン・フッドは言い放った。




合衆国 首都 コロムビア特別区

通称 ワシントン・ディーシー。

ロック・クリーク連邦公園下 特別地下シェルター

2025年3月某日 午前11時15分頃


ルーパは極めて厳重で頑丈な取調室にノオを放り込んだ後、

部下のビリーとジェーンに取り調べを任せた。

その足でアーカード卿の謁見の間へ報告しに行った。


「ルーパよ。捕虜は何か言ったか?」


ソファに座っていたアーカードは質問した。


「まだ何も、我がマスター。」


「ならば、直接聞きに行く。」


アーカード卿はソファから立ち上がった。

2人は謁見の間を出たが、その時、大きな爆発音が地下シェルターに響いた。

アーカード卿とびルーパは大急ぎで爆発音が聞こえた方向へ急行した。


ノオは取り調べを受けていた取調室だった。

爆発で扉がぶっ飛んで、強化ガラスの窓が粉々になっていた。

テーブルと椅子は消滅し、ノオは後形もなく消えていた。


「ビリー、ジェーン!!どこにいる?」


ルーパは叫んだ。


ジェーンは後ろから現れた。


「ルーパ隊長、私は無事です、でもビリーが。。。私は資料を探しに行っている間に。」


ジェーンは涙目で報告した。


ノオは自爆したのは明らかだった。その巻き添えはビリーがくらった。


「そんな、ビリー。。」


ルーパは膝から崩れて、瓦礫の山になった取調室を見た。


「ルーパよ、悲しむな、ビリーの仇を取りに行こう。」


悲しそうな表情でアーカード卿がルーパの右肩に手を置いて、彼女を慰めた。


「はい、我がマスター。」


ルーパは涙を流しながら答えた。


アーカードは大きなテレパスを眷族全員に送った。


「マクシミリアン伯爵は宣戦布告してきた。全員用意しろ!!」


「はい!!我がマスター。」


地下シェルターにいた、アーカード卿の眷族、全員、一斉に返事した。


























日本語未修正。

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