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闇夜の追撃  作者: マックス一郎
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餌食

カリオストロとマフムード少尉がオルロック伯爵領土へ出発する。

ドイツ連邦共和国 上空

2025年3月某日 朝9時頃


カリオストロは不機嫌な顔をしていた。

軍用輸送機のエアバス A310 MRTT内で与えられた席は快適とは言えなかった。


「いつもこんな移動手段使っているのか?マフムード少尉。」


「はい、カリオストロ様。これでも快適な方です。」


カリオストロはこの少尉の答えが気に入らなかった。

円卓同盟の中心メンバーである自分が捨て駒の転化人インヒューマンと同じ飛行機を使う

のはプライドが許さなかった。


ファング小隊プラトーンではお前だけなのか?マフムード少尉。」


「はい、カリオストロ様。ノートルダム会長は残りの隊員を本社警備するように厳命したので。」


「貧乏くじを引いたな。」


「命令は命令なので従う他ないです、カリオストロ様。」


カリオストロは昨夜1人の人間ウォームの女性を食したが、

やはりあの闇の評議会の実力者と対峙するならもっと食した方が良かったと改めて思った。


「マフムード少尉よ、お前たちは食事した?」


「はい、私は輸血パック2つを食しました。」


「一般戦闘員の方はどうなのか?」


マフムード少尉は隣に座っていた一般戦闘員の女性軍曹に確認した。


「輸送機に乗る前、全員輸血パック2つを食している、カリオストロ様。」


カリオストロは思った。この少尉がいても、他の戦闘員はオルロック伯爵の護衛眷族にはかなわない。おまけに吸血鬼である彼らは特性日焼け止めクリームだけを塗っていて、夜戦うより力が半減している。

カリオストロは自分の席からゆっくりと立ち上がり、前に向けて歩き出した。


「何かありました?カリオストロ様。」


マフムード少尉は質問した。


「ちょっと食事してくる。」


「仰っていただければ、こちらに持って来させますので、どうぞ、お座りになってください。」


「いい、自分で取るから。」


少尉をけん制しながら、乗務員休憩室のところへ向かった。

この輸送機の乗務員は全員、転化人インヒューマンだが、パイロット達だけは

人間ウォームだった。


乗務員休憩室には立ち話している男女の乗務員がいた。

カリオストロは入って、2人を見た。


「何か食べたいのだが、出してくれないか?」


「承知しました、席にお待ちしますので、戻っていただければ幸いです。」


女性乗務員が答えた。


「ここで食べたい。」


「すぐお待ちします。」


男性乗務員は奥のギャレーへ入った。

女性乗務員は作り笑いを浮かべて、カリオストロを見ていた。


カリオストロは彼女を見た。

淡い金髪のショートカットでタウレッド王国の空軍の軍服を着ていた。ベレー帽をかぶっていた。


「君、ちょっとおいで。」


カリオストロは彼女を呼んだ。


「はい、何でしょうか?カリオストロ様。」


女性乗務員は彼に近づいた。

カリオストロは口を開き、上顎と下顔が真ん中から割れて、鋭い牙だらけの大きな口を見せたかと思ったら、女性乗務員が反応する前に頭を噛み切った。

頭を失った女性の体が燃え始めた。体が燃え尽きる前に手で掴み、大きく開いた口に入れた。


ギャレーから出て来た男性乗務員を襲い、頭を含む上半身を持ってきた輸血パックごと噛み切った。

男性乗務員は悲鳴ずら上げる暇もなかった。燃えだした下半身も口に入れて、飲み込んだ。


「吸血鬼はやはり不味い。人間ウォームがいいな。」


カリオストロはそう思ったが、吸血鬼を食したことにより、力がみなぎるのを感じた。


「後31名の吸血鬼が残っているな。不味くても、糧になってもらおう。」


体が変化し、上半身が3倍に膨れ上がり、筋肉量が一気に増えた。

爪も伸びて、足の筋肉量も増えた。

牙だらけの口から大きな舌が伸び出ていた。


カリオストロは乗務員休憩室を出て、素早い動きで前に座っていた

一般戦闘員の男性1名を長い舌で掴み、一気に口に入れて、飲み込んだ。

他の戦闘員は恐怖の顔を浮かべて、逃げだした。


「カリオストロ様、お止めください!」


マフムード少尉は大きな声で叫んだ。

カリオストロは聞かなかった。片っ端から戦闘員を食べ始めた。


死神族リーパーズであるカリオストロの動き素早く、あっという間に

ほとんどの戦闘員が餌食となった。


「力がほしい。そのためにお前らは俺の糧になれ!!」


カリオストロは獣のような唸り声で叫んだ。


マフムード少尉はロングソードを抜き、怪物モンスターの前に立った。


「カリオストロ、止めろ、貴様!!」


少尉の口から触手テンタクルファング1本を出して、怒りの表情で怒鳴った。


「蟻が象に勝つわけないな、少尉。大人しく餌になれ。」


マフムード少尉は一瞬で距離を詰めて、5回連続でカリオストロの体を切った。

傷はすぐに塞がり、血も出なかった。


「大人しくしろ、くそガキ!!」


カリオストロの舌は少尉の首を掴んだ。


「放せ!!この野郎!!」


少尉は抵抗し、カリオストロを罵った。


「黙れよ、餌の分際で生意気だぞ!!」


少尉の触手テンタクルファングはカリオストロの舌に刺さったが、

怪我を負わせることも出来なかった。


「カリオストロ、貴様、仲間を無慈悲に食ったら、必ずその報いが来る!!」


「うるさいガキだな、大人しく餌になれ!!」


カリオストロはマフムード少尉を一気に食べた。

力が強くなるのを感じた後、コックピットへ向けて歩いて行った。


「後はデザートのみだな。」


コックピットにいた2人の人間ウォームのパイロットは間もなく、彼の餌となった。



ドイツ連邦共和国・ザクセン州・ポーランド共和国国境付近

更に30分後


森に輸送機が墜落した。

直後に爆発し、派手に燃えた。


燃える機体の中から3メーター以上の大きな影が出て来た。


「待ってろオルロックめ!!お前とお前の眷族全員を俺の餌にしてやるぜ!!」


完全体への変身を終えたカリオストロはオルロック伯爵の城へ向けて、歩き出した。



同時刻

英国・ロンドン市郊外


ワトソン重工の子会社の地下室に集まったバーク軍曹とルデニャ兄弟はミスター・ハイドを待っていた。ゴリラのような若いハイドは堂々と部屋に入って、彼らを見た。


「弱いお前たち、じくじるなよ。俺はあの女吸血鬼を犯したい。」


「ご安心をハイド様。」


3人の吸血鬼は彼を見て同時に返答した。


「それでは行くぞ。」


ハイドは3人を連れて、太陽光対策された装甲車に乗った。














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― 新着の感想 ―
[一言] カリオストロ、飛行機は…操縦しなかったのか、できあかったのか…食べ過ぎです(笑)
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