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闇夜の追撃  作者: マックス一郎
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到着

新たな工作員が警視庁を訪れ、戦うこととなる。別のところでアーカード卿の命により頼もしい味方が日本へ入国する。

日本国 東京都 千代田区

警視庁 入り口ホール

2025年3月某日 午後22時30分頃


雷電は制服に着替えて、警視庁の入り口に立っていた。

本来彼の階級では玄関の警備をしないが、今回は非常事態だった。

先ほど円卓同盟の工作員が警官になりすまして、侵入していたことが判明したため、

更に複数の工作員が入って来てもおかしくない状況なので、強い長寿者エルダーが主な侵入経路

を警備することとなった。


地下シェルターよりアダムと呼ばれる人造人間が監視カメラと自身の能力スキルを使って、

モニタリング監視をしていた。

雷電は耳に無線の受信機を付けていた。慌ただしく出入りする警官を見ていた。


1人の若い男性が入り口方面へ歩いてきた。

雷電は彼に見覚えがあった。確かどこかの新聞か週刊誌の記者だと思った。


「どうも、こんばんは、週刊誌アサヒ・スクープのアズママコトです。夜の警視庁が騒がしいというタレコミがあって、その真相を確認したい。説明できる担当いますか?」


若い男性が身分を示す証明書を見せながら人懐こい顔で挨拶した。

雷電が返事する前、無線の受信機からアダムの声が聞こえた。


「その男も工作員です、雷電さん。」


雷電は若い男を見て、受信機をいじりながらゆっくり答えた。


「確認しますので少々を待ちください。」


「わかった。お願いします。」


若い男性が笑顔で返事した。

雷電は一通り確認する振りをした。


「可能なら捕まえて、無理なら滅ぼせ。」


弥生の声が無線から聞こえて来た。


「承知しました、黒岩警視正。」


雷電は落ち着いた顔を若い男性に向けた。

手で少し道を空けるような仕草をした後、言い伝えた。


「ちょっと左へよっていただけませんでしょうか。」


「わかった、雷電警部さんよ。」


若い男性が笑顔で雷電に返答した。雷電が名前を伝えてなかったのに男は名前を知っていた。

彼は無線の会話を聞こえていたようだった。雷電は慌てることなく、東と名乗った男を見た。


「工作員だね。」


「そうだ。ばれたなら仕方ない、力づくで侵入するまでさ。」


「考え方が甘いですね。」


雷電は言い終わる前に張り手を男へ向けて放った。

男が素早く後ろへ飛んで、雷電の張り手を回避した。


「危ないですね、雷電さんよ。その張り手であの馬鹿宅間を滅ぼしたようだね。」


「知ってたのか?」


「はい。私はあの無能な役員たちをずっと監視していた。俺のコードネームはサカキバラだ!!」


「なるほどね。大人しく降参してくれるならば命まで奪わない。自爆装置を使用しないのが条件だが。」


「私は吸血鬼如きに対して降参するわけないじゃないか、雷電さんよ。私は怪人二十面相よりもう強いさ、最新型の機械化サイボーグ人間ウォームだよ。」


「その強さとやら、試そうか?」


雷電は凄まじい速さで東に対して体当たりしてきた。

最初余裕の顔をしていた東は、雷電の攻撃をかわすのに手いっぱいだった。


「おのれ、吸血鬼野郎!!」


東は左手で右手を外した後、雷電に右腕を向けた。


「滅びるがいい、下等吸血鬼め!!レーザービーム!!」


赤いレーザービームが右腕から発射されたが、雷電はそれを軽くかわした。

ビームが警視庁入り口の特別強化ガラスにぶつかったものの、貫通できなかった。


「今度はこちらの番、工作員!!」


雷電が再び男に体当たりしてきたが、先程のより早かったため、東はかわすことができなかった。

もろに体当たりをくらった東は入り口から10メーター以上飛ばされた。

地面に落ちて、意識が朦朧としていた。

その時、大きなジャンプをした雷電が東の腹部を片足で踏んだ。

東の口から血に似たような液体が吐き出された。


「おのれ、吸血鬼野郎。」


液体を吐きながら、東がつぶやいた。


「降参するか?これが最後だぞ、工作員。」


「冗談じゃない!!誰か貴様らのような下等な存在に降参なんかするかよ。俺はノートルダム会長により、選ばれし、ニュー時代イラ人間ウォームだ!!」


東は怒りで顔の表情が歪み、憎しみの目で雷電を見た。


「そうか。ならば滅びるがいい。」


雷電はゆっくりと東に死刑宣告を行った。


「【ハンドファイヤー弐の型】発動!!」


雷電の張り手が東の胸にさく裂した。彼の個人の能力スキルは壱の型(全体を燃やす系)と弐の型(内部だけ燃やす系)に分かれていた。

東は痛烈な痛みを感じ、作り物の体の中に収められていた脳、目、神経系、消化器以が瞬時に焼かれ、瞬く間に灰となった。東の目、鼻、口と耳から小さな火柱が上がった。


雷電は念のため、東の空っぽとなった作り物の頭を足でつぶした。

それは正解だった。頭蓋骨内に張り付いてたチップが自爆スイッチを入れる直前でつぶされ、

東の作り物の体が動かなくなった。


「黒岩警視正、工作員排除完了です。」


「ご苦労、雷電警部。その作り物の体をすぐに地下シェルターへ持って来てくれないか。」


弥生の声が無線から聞こえた。


「承知致しました、すぐに持っていきます。」


雷電は中身のない東の体を担ぎ、警視庁内へ入った。

彼の代わりに、斎藤一警部が入り口の警備に入った。




同時刻

東京都 多摩地区 福村市

在日合衆国空軍基地内

滑走路


新一とマモールデが到着した特別チャーター機の前に立っていた。

アーカード卿が送った応援2名が下りるのを待っていた。


「誰か来るのでしょうか、マモールデさん?」


新一が質問した。


「ニューヨーク市管轄の闇保安官2名、エイミーとハルナ水木だよ。」


「闇保安官?」


「はい、アーカード卿が治めている地域の法の番人たちだ。強い眷族のみで構成されている合衆国吸血鬼の警察機構。」


「なるほどね、日本だと全て警視庁で管理されているけど。吸血鬼も人間ウォームも。」


「合衆国は広い、アーカード卿、バーロー卿や今裏切り者となったヴァレック卿以外にロイジアナ

州のボン・タン町を中心に集まっているバイキング系の弱小なマスターたち、メヒコ・アステカ経由で不法入国した様々な古い系統や断絶オーファン系統レガシーが多数います。」


「そんなに多くいますか?」


「多くいます、当然、多ければ多いほど、犯罪に走る不届き者もいる。」


「日本も同じですね、一定の不届き者はやはりいます。」


「国が違っても、悪い輩は悪い。闇保安官機構はそれを捕獲及び滅亡させる役割をしている。」


「来る2人は長寿者エルダーでしょうか?」


長寿者エルダーではないが、桁違いの強さを誇る親子です。」


「吸血鬼の親子ですか?」


「親子だよ、新一どの。母親のエイミーはあなたと同じ日本人ハーフです。娘のハルナはクオーターに当たるかな。」


「そうなんですね。じゃ、ほぼ同世代ですか?」


「彼女らは新一どのより若い。」


「すごいな、1世紀以内なら新人者ニューボーンだ。それで桁違い強さ、メチャ興味あります。」


「もうすぐ飛行機から下りるので直接話しをすればいいと思うよ。」


マモールデはウインクしながら新一に伝えた。


飛行機のドアが開き、2人の若く美しい女性たちがタラップを下りて来た。

1人は見た目25歳ぐらいの茶色のショートカットで足が長く、165センチぐらいの身長と陸上アスリートのような体をしていた女性だった。

もう1人は同じ茶髪の髪を束ねていた、見た目20歳の女性で162センチの身長と同じく足の長い、陸上アスリートの体をしていた。


「長旅、お疲れ様、エイミー水木保安官、ハルナ水木保安官、はるばる来てくれて感謝する。」


マモールデは笑顔で2人を歓迎した。


「只今到着しました。ありがとうございます、マモールデ司令官。」


エイミーは元気よく挨拶した。


「只今着きました、マモールデおじさん、失礼、マモールデ司令官。」


ハルナは笑顔で挨拶した。


「信長公に代わり、来ていただいたことを感謝する。」


新一はエイミーをじっと見ながら歓迎の言葉を述べた。


「アーカード卿の命に応じて、応援に来ました、闇保安官、エイミー水木です。」


「同じく闇保安官、ハルナ水木です。」


「私は中山新一と申します。信長公の眷族です。」


緊張気味に新一が自己紹介した。


「よろしくお願いいたします。」


2人の美女が同時に答えた。

エイミーは見つめる新一を見つめ返した。185センチの茶髪で若い彼がキュートと思った。


「マモールデさん、奥様のルーパ保安部長から荷物を預かり、持ってきました。」


エイミーは手荷物から小さな箱を取り出した。

マモールデは嬉しそうにそれを受け取り、ポケットに入れた。


「ありがとう、エイミー保安官。」


「ルーパおばさん、失礼、ルーパ保安部長は今、アーカード卿の妻、ミレン姫の護衛隊の隊長に任命されました。」


ハルナは嬉しそうに報告した。


「知らせてくれてありがとう、ハルナ保安官。」


マモールデは既に妻のルーパからの電話で聞いていたが、ハルナの優しさと無邪気さが嬉しかった。

ルーパ及びミナとともに小さいハルナの子守したのを昨日のことのように思っていた。

ルーパはハルナに自分たちの国の子守唄を歌ってあげたりもした。

転化人インヒューマンになる儀式では、ルーパとミナがハルナの付き添い役を務めていた。

子どものいないマモールデとルーパ夫妻にとって、ハルナは娘のようだった、彼女に対して深い愛情を感じていた。


「それでは警視庁へ向かいましょう。こちらにリムジンを用意しています。」


緊張気味に新一が3人に対して伝えた。


「どうぞ、こちらへ。」


新一はエイミーを見て、自分が赤面しているに気付いた。

そしてエイミーは新一に見つめられて、自分も赤面していることを自覚した。

4人はリムジンに乗った。


運転手のすぐ後ろの席に新一とマモールデが座り、彼らと向かい合って、

エイミーとハルナが座った。赤面の新一、運転手に指示を出すため、後ろへ振り向いた。


マモールデは新一とエイミーに妙な空気が流れているのを気付いて、

声を出さずにハルナに向けて目で2人を指しながら、口を動かした。


「ビンゴだ。」


ハルナは笑い、目で2人を見て、母親であるエイミーを肘で軽くついた。

痛みを感じたエイミーはハルナに振り向き、吸血鬼の親子のみが使用できるテレパス

聞いてきた。


「痛いのよ、どうしたのハルナ?」


「あたし、弟がいい。」


ハルナは目で新一を指して、笑顔を浮かべた。

エイミーは恥ずかしさで更に赤面し、ハルナを肘でついた。


「うるさい、そうじゃない!!」


テレパスでハルナに伝えたが、娘は笑いをかみ殺すのは必死だった。


赤面のエイミーは自分のスマートフォンで好きなウエブ小説を読み始めた。

運転手に指示を出してた新一が再び振り向いた時、笑っているマモールデとハルナ、そして

自分と同様、赤面しているエイミーを見て、恥ずかしそうに、目を下げて、スマートフォンを見始めた。


夫を亡くしてから半世紀以上経っていたが、新しい恋愛を始めるのは厳しいと思っていたエイミーだったが、突然噂の信長公の秘密兵器と呼ばれる中山新一とお互い意識し合っているに気付いた。

一目ぼれを信じてない方だったのに、この茶髪の若い半吸血鬼は自分の好みだと思った。


そして今まで弥生を追いかけていた中山新一も、エイミーに対して同じ思いだった。




合衆国内

ベジニア州、合衆国首都ワシントンのある特別地区近辺

ワトソン重工の子会社・ワトソン・ロジスティクス倉庫

2025年3月某日 朝8時30分


フォーチュンのクローンは椅子に座っていた

本体は1キロ離れた別の倉庫で操作していた。


3人の男は特別に太陽光を遮断できる倉庫に入って来た。


「マクシミリアン伯爵の命に応じて、参りました。カナンガと申します。」


見た目40代のごつい黒人の吸血鬼が言い出した。


「同じくノオです。」


東洋人と白人のハーフで両手が義手の男性が言い出した、


「同じくティー・ヒーです。」


身長の高いで右手が義手の黒人男性が言った。


フォーチュンのクローンは椅子から立ち上がった。


「我がマスター、ジル・ド・レ卿の命によりあなた方と合流しました。レジナルド・フォーチュンと申します。」


4人は座り、本日のアーカード卿の本拠地を襲い、妻のミレン姫を滅ぼす計画について話し出した。


彼らには一つの誤算があった。

アーカード卿の眷族で3番目に強い吸血鬼の長寿者エルダー、【ブラックデス】と呼ばれているルーパ保安部長兼護衛隊長の存在を知らなかった。


知ってても同じだった。彼女のおそるべき戦闘力の前で新人者ニューボーン同然の彼らは最初から勝ち目がなかった。





















































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― 新着の感想 ―
[一言] きゃー、新たな恋が?!と、同時に、ミレン姫はすごく強く、かわいそうなフォーチュン氏はついに滅ぼされに向かうのでしょうか…? 続きが気になります…いろんな方向で…(笑)
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