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闇夜の追撃  作者: マックス一郎
19/44

追跡・東京ヘリポート編

長谷川平蔵が松本専務とついに対決する。

東京都江東区新木場

東京ヘリポート内

2025年3月某日 午後18時頃


松本は笑っていた。

ずっと前から吸血鬼と戦いたかったものの、会社の方針で禁止にされていた。

邪魔なダーマー博士がおそらく死んだ今、自分の欲望を抑えなくて済むのは嬉しかった。


松本は伝統工芸を営む家族の元に生まれた。

右目が弱視な上、左片目は失明していた。子どもの頃から他者への共感、

思いやりなど欠如していた。

盲目公立校へ進み、学校を訪れたワトソン重工の先代会長に見いだされ、返済不要の奨学金と

東京大学経済学部へ進学した。


大学卒業後、ワトソン重工に入社して以来、ダーマー支社長より権力を持っていると言われていた。

私生活では宅間同様結婚と離婚を繰り返し、妻となった女性たちとの間に8人の子どもを儲けた。

婚外でも6人の子どもが居て、海外出張する度に訪れた国々でも、認知した子どもが15人もいることがわかっていた。


彼は恐ろしい大量殺人者だった。日本では松本が関わっていると思われる事件が15件あった。

死者数は1350名でほとんど毒ガス、神経ガス、二酸化炭素中毒、毒物混入などに分類されていた。

海外出張の折には、死者数は数百人単位で数えられ、全世界で合計15578人を殺したと思われていた。


「吸血鬼ごときで私を止められると思っているのかね?」


不敵な笑みを浮かべながら松本が近づいてくる長谷川を威嚇した。


「止める?まさか、止めたりはしないさ、滅ぼすだけだ。」


真剣な表情で長谷川が松本に伝えた。


「私のことを能力スキル持ちの人間ウォームだと思っているだろう?」


気味の悪い笑顔で松本が長谷川に質問した。


「違うよ。能力スキル持ちの腐れ外道だと思っているさ。」


皮肉でも嫌味でもなく、長谷川が本気でそう思って、松本に答えた。


「私が何者であるかをその目で見るがいい、下等な吸血鬼め!!」


松本は手に持っていた杖を放し、ゆっくりと空中浮揚し始めた。


「出でよ、我がしもべたちよ、林田、豊岡、広田、横畠、端元、岡前、下等な吸血鬼を灰にしろ!!」


空間が歪み、ポータルが開き、6人の男がゆっくりとそこから出て来た。


灰色の肌、白い目と腐敗臭の漂う男たちが日本刀を握り、長谷川の前に立った。


「ネクロマンサーか?」


長谷川が松本に質問した。


「驚いたか?下等な吸血鬼め、私は単なるネクロマンサーではないわ。」


狂気溢れる笑顔で松本が答えた。

6人の男たちは一斉に長谷川に切りかかった。


長谷川が後ろへ飛び、距離を稼いだ。


「逃げるのか、吸血鬼め、我がしもべたちに滅ぼされるがよい!!」


長谷川は男たちを見た。アンデッドやゾンビではなく、マリオネットに近い存在と思った。

動きがぎこちなく、遅く、目から知性の火が消えていた。


「ネクロマンサーでなければ、まさか、屍師リッチか?」


空中浮揚の松本が大きな声で笑いだした。


「ご名答!!死んで、初めて、手に入れる素晴らしい能力スキルだ!!」


松本は既に人間ウォームではなかった。

彼は自分の顔を手で掴み、剥がした。

頭蓋骨を露わにし、枯れた声で大きく笑った。


松本は約1年前に心臓発作で亡くなり、死亡したと同時にこの特殊な能力スキルが発動した。

彼の能力スキルは病院のベットの周りに立っていた6人の忠実な部下をその場を瞬時で殺し、

部下たちをいつでも、どこでも呼び出し可能な操り人形に変えた。

時間が経てば、腐って行く操り人形になった彼らは人格など排除され、松本の道具と化した。


「吸血鬼め、逃げるなよ、私のもう一つの能力を使えば、この辺り一帯の人間ウォームを瞬時に殺すことが可能だ!!」


長谷川は彼のもう一つの能力スキルについて、ある程度見当がついてた。


「私の最大の殺戮用の能力スキル、【有毒ポイソン気体ガス】を解放するぞ!!大人しく我がしもべたちに殺されるがよい!!」


平蔵は冷静だった。確かにあの大量殺りく用の能力スキルを使えば、下手すれば半径3キロ以内の人間ウォームが一瞬で死ぬことになる。

系統の能力スキルを消して、日本刀を鞘に戻した後、手を合わせて、目をつぶった。


「それでいいんだよ、吸血鬼め、貴様はここで大人しく死ね!!」


空中浮揚からゆっくりと下り始めた頭蓋骨の松本が狂ったように笑ったと同時に6人の操り人形が平蔵に切りかかった。


「【ファイヤーアーマー】発動。」


平蔵が切られる寸前につぶやいた。

全身が名前の通り、火の鎧で覆われた。長谷川の個人の能力スキルだった。


6体の操り人形が一瞬怯んだ。平蔵それを利用して、攻撃仕掛けた。


恐ろしい速さで一番近い1体の顔を手で掴んだ後、一瞬で燃やした。

2体の顔面を殴り、頭蓋骨ごとを潰した。潰された操り人形がまた燃えた。

3体目と4体目の首を両手で掴んだと同時、瞬時に燃やした。

5体目の顔を蹴り、6体目の胸を手刀で貫いた。やられた操り人形たちが数秒のうちに灰となった。


「貴様!!!吸血鬼め!!」


先まで笑っていた松本が怒り狂った声で怒鳴った。


「【有毒ポイソン・・】」


松本が能力スキル発動をスイッチする前に平蔵に顎を殴られ、外れただけではなく、顎が燃えて、灰となった。

平蔵が顎のない松本を首から掴み、前へひっぱり、頭蓋骨の目のない眼窩を自分に寄せて、話した。


「冥途の土産に教えてやるよ、薄汚い外道め。俺は対能力者エスパー用特殊部隊の隊長だ!貴様ごときの能力スキルで滅ぼされるほど弱くない。今まで会社が貴様の犯罪をかくまって、証拠は残せなかったが、あの南米人のマスターを連れてきて、蛮行に走ったおかげで証拠なくても堂々と貴様を燃やすことができる。何か言いたいことあるか?」


顎と目のない松本は明らかに何も答えられなかったが、平蔵は彼の感じている恐怖を察知した。


「そうか、そうか、喋らないんだ。ならば地獄へ行け、くそ外道め!!」


長谷川平蔵、別名、鬼の平蔵または鬼平がゆっくりと松本の朽ち果てた人体、ほとんど骨と腐敗肉をゆっくりと燃やした。顎も舌もなく声も上げられない松本が凄まじい痛みに苦しみながら灰になった。


「痛覚があったのは驚きだな、くそ外道。」


灰となった元松本専務を見て、平蔵が吐き捨てるように言った。




同時刻

BumB 東京スポーツ文化館・屋上


2人の男が立っていた。

先ほどの戦いをずっと無音ドローンを使って、遠くから見ていた。


「ワトソン重工の裏にある円卓同盟が恐ろしいな。我がマスターマルデュラック伯爵の言う通り、信長公、ノスフェラトゥ卿とアーカード卿の同盟と組んだ方が生き残れる可能性がある。」


イーサン・ジェファーソンという中年男性の外見をした吸血鬼が話した。


「確かに。能力スキル持ちの多数の殺人者の人間ウォーム、強化吸血鬼など見ていたら、いつか我々も彼らに滅ぼされるのは時間の問題。」


ドワイト・レンフィールドと名乗る若い男性の外見をした吸血鬼が付け加えた。


「我がマスターのマルデュラック伯爵にそう報告する。」


「私も、我がマスターのバーロー卿にそう報告する。」


「それからどうするドワイト?」


イーサンが質問した。


「戻るよ、ミアーズとペトリーがマスターの護衛に付いている以上、不安だよ。」


ドワイトは笑みを浮かべながら答えた。


「あの2人の新人者ニューボーンは確かにバーロー卿を滅ぼそうとしなかった?」


「ああ、そして成功寸前まで行ったんだ。もう1人の新人者ニューボーンのノートンが彼らを説得しなかったら、今頃闇の評議会で議席一つが空になっていた。」


「そこまでか?」


「はい。彼らからしたらまさか悪の吸血鬼が町を乗っ取ろうとしているのではなく、救うためにはるばる来たとね。住民が転化しなければ重い水質汚染で数か月以内に死んでいたことを明かすことになったのは我がマスターは人生最大の不覚と言っていた。」


「いいマスターですね、カート・バーロー卿。」


「照れ屋なだけですよ。悪の吸血鬼と思われてれば、周りが怖がって、襲ってこないからね。」


「あの2人以外だがな。」


イーサンが笑いながら付け加えた。


「で君はどうするイーサン?」


「私も戻る。マルデュラック伯爵の護衛にも若干の不安を覚える。」


「例の教授の子孫か?」


「はい。人間ウォームだった頃から凄腕だけど。」


「プライベートジェットが羽田空港にある、連れて行くよ。」


「恩に着る。ありがとうドワイト。」


2人は屋上から飛び降りて、着地し、何もなかったかのように普通に歩いていった。



































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― 新着の感想 ―
[一言] 空中浮遊に笑いました、そうそう、胡座ジャンプ…(笑)あの可愛くない顔が剥げて頭蓋骨に…なってもやっぱり可愛くはないですね…
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