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彼が思っていたよりこの世界の戦闘は難しい。

戦闘描写書くのが難しくて時間かかってしまった…。

【始まりの街】の中央にある噴水の前に堕ちてきた俺は辺りを見回す。

中世の城下町を再現したかのような街並みを眺め、そこら中に溢れているプレイヤーを観察し一番先に思ったことは……やはり回避を前提とした武器が大多数を占めていることだ。

ガード可能な武器を持っているものは数人しか視認できず特に大盾を持っている青年はすごく目立っていた。


「前情報に流される人が多いな、別に各自好きな武器を手に取ればいいと思うんだが……」


中央広場から歩き始めた俺はそのまま武器や防具、また鍛冶屋などが並ぶ商店街を抜けて住宅街へと足を運ぶ。しかし、住宅街には人が多くいて入口から入れそうにもない。

ボッチに人混みというものは毒の沼地のようなものなのだ。

何が楽しくてゲームの中で迄耐え忍ばなきゃならんと考えた俺は回れ右をしてそのまま商店街の武器屋へと戻る。


『ようこそ、【始まりの街】武器防具販売所です、今日のご要望は何でしょうか』


入店するなり若い女性を模したNPCが声をかけてくる。人とは違い無機質な人工音声が妙になじむ。某生首饅頭のような安定している声なのだ。奥にいる店主らしき男性からも同様の声が聞こえてくるあたりそこらへんは統一しているというところだろう。


「装備を変更したくてな、更衣室はあるか?」


『でしたら、二回が更衣室になります。今は空きがありますからご自由にお使いください』


NPCの言葉を聞いた俺は階段を上がって更衣室へ移動する。最大人数30人となっているが各自個別のルームへ転送されるようでほかに人がいる気配はない。

手のひらを前にかざしてステータスオープンと言葉を述べれば自身のステータスメニューが展開された。


【シドウ】


GR 1


体力   100


スタミナ 100


攻撃力  50


防御力  35(補正値+30)


会心率  0%


装備


武器 【ガン・シールド(初心)】


頭 【レザーボウ】


胴 【レザーメイル】


腕 【レザーアーム】


脚 【レザーレギンス】


靴 【レザーブーツ】


装飾品 【装備無し】


所有スキル


【移動速度上昇:極小】

【アイテムドロップ率アップ:極小】(防具スキル)


「初期防具は全部防御力1とか低すぎねぇか?まぁ最初に防御力に30ステ振りしたから補正込みで35にはなっているが…」


攻撃力の50は完全に武器由来だ。初期武器ごとに攻撃力の値は違うのだろうが攻撃力に特化した武器に比べれば多少火力が低いことは否めない。

とはいえ、攻撃力にステ振りをしていたら今頃防御5のペラペラな耐久と化していたことは確かだ。【アイテムドロップ率アップ:極小】がついていることは嬉しいのがたった2%上がるというもので高レアアイテムは過去作ではドロップ率は0.1%、そこに2%を掛けたところでたかが知れてる。

ちなみに【移動速度上昇:極小】は移動速度が10%上がるというものだった、地味すぎる……。


「手持ちの金は回復アイテムや弾薬を買ったらすぐに尽きる分だ、とても防具一式を店で買える金はない。装備が心もとないが適当な雑魚でも狩って鍛冶屋で防具一式を整えるか」


装備の確認を終えた俺は店を出た後、必要なアイテムを購入し周りのプレイヤーと比べて多少速い速度で街の外へ出た。

第一層は初マップというだけあって澄み切った青空が広がり穏やかな風が吹く平原や森で溢れた広大な自然が広がっている。MOBの姿も多く視認できるがそこには大抵何人かで固まった集団がいて、何やら大きな声で喚いていた。おそらく湧き待ちをしながら素材を集めている4人組のPTといったところか。

正直この展開は読めていた、始まったばかりのゲームで攻撃を食らったとしても回復アイテムがすぐに購入できる街付近のエリアは初心者であふれる。故に俺は少し離れた場所にある森を目指して歩を進めていく。


「ここなら武器の試し撃ちをしても問題ねぇだろ、近くにプレイヤーがいる気配はないし」


先ほどまでの喧騒とは打って変わり森の中は静寂に包まれており、俺は背中に背負っていたガン・シールドを手に取る。ガシャンと音を立てて盾が展開した。

その音につられてきたのか風に揺られるのとは違う草木が揺らめく振動と共に一匹のMOBが姿を現す。


「へぇ、最初からお目当ての奴が来てくれるとか幸先がいいじゃねぇか。……っつても実際に見るとでけぇなおい」


ガサガサと草むらの中から姿を現したのは『ウルフ』。初代作からでてくる雑魚MOBなのだが実際に見てみるとその大きさに震えが出そうになる。唸りをあげて構える姿は本物のオオカミとそう変わらなくその鋭い牙や爪は鋭くて人一人キルするのは容易いだろう。

銃口を向けて攻撃に備える。俺が構えたことで敵対行動と認識した『ウルフ』が鋭い牙が生えた口を開けて勢いよくとびかかってきた。


ガキンッ!


展開していた盾が『ウルフ』の攻撃を防ぐ。反動で手がしびれる感覚が走り、自分のHPが10%減った。


「ガードするのは難しくないが軽減率が低いな、これは何回も攻撃を受けれないぞ」


攻撃をオートガードで防いだ直後盾が赤く輝く。しばらくすると輝きは消えてしまったが再びガードをすると輝きを取り戻した、持続時間は5秒ほどだろうか。

ガードを何度してもオオカミは止まらない、むしろより素早い動きで迫ってくる。徐々に減っていくHP、嚙みつこうとしてくる『ウルフ』は距離を離すことを許してくれそうになかった。


……仕方ない。初回から使う気はなかったが()()を使うか。


至近距離で攻撃を繰り返してくる相手に初期から持っている通常弾は威力が低い。最高火力が出る飛距離は弾が発射されて10メートル先だ。この弾薬は最初から持っていて∞となっていたため装填していたが、俺は控えに持っていた弾薬を装填しなおす。

再び迫ってくるオオカミ大口を開けた口の中に勢いよく銃口を突っ込み


「これでも喰らえ!犬っころ!」


引き金を引いた。盾の赤く輝きが弾丸へと移って目の前にいた『ウルフ』を穿つ。装填したのは散弾、攻撃対象が近ければ近いほどに威力が上がる弾丸だ。口の中というゼロ距離ではじけた弾丸は『ウルフ』の体中を貫く。ビクビクと痙攣する感覚が銃から伝わってくるのが妙に生々しい。

同時に血しぶきのような赤いエフェクトが上がり頭上にあったHPバーが一瞬でなくなると『ウルフ』は光の粒子となって胡散する。

……結構グロい死に方で背中をゾクゾクとした感覚が襲う中、戦闘終了を告げるように爪が二つドロップしていた。


「はは、反撃補正も馬鹿にならなぇじゃないか。ガードする度にダメージは食らうが今の火力馬鹿にならねぞ」


その後『ウルフ』と何度か戦闘しながら検証してわかったのだが、反撃補正はガードに成功してから5秒間のうちに攻撃をすると1発分だけ火力が2倍になることが分かった。ガードを成功させないといけなく確実にヒットさせないといけないという欠点こそあるが少ない弾薬数で倍の火力をたたき出せるのは大きなメリットになる。

クエストやフィールドに出る際に持ち運べる弾薬数が制限される仕様があるため、一撃で2倍の火力が出せるというのはタイミングさえ守れば2倍の弾薬を持ち運べることにつながり、長時間狩りを継続することができるのだ。

今日も用意していた散弾10発分で『ウルフ』をぴったり10匹狩ることに成功し、1時間も立たずに目的の素材を入手することができた俺は新しい防具への期待に胸を膨らませながら【始まりの街】に帰還するのだった。


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