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こうして彼は初期設定を済ませて始まりの街に突入する。

ヘッドギア式になっているゲーム機を装着する。

独特の重みが加わる感覚はいまだに慣れないが、これを装着すると同時にあと少しでリリースされる新作への期待に胸の鼓動が増大する。

ゲームごとに必要な初期設定を完了させた俺は


【DROP START】


ベッドに寝転がり一言起動音となる言葉を述べる。

意識が堕ちていく感覚、見慣れた電脳空間に漂いながら目の前に表示されたシステムパネルを押す。


『ようこそ、愚かなる神の造りし末裔よ。これからお前には自身の分身を設定してもらうこととなる。一部を除いて変更は不可だ、慎重に自らの姿を創造せよ』


システムメッセージが表示され脳に直接流れ込んでくる音声。目の前にはパッケージに乗っていたキャラクターのようなシルエットのみが表示され、蜃気楼のごとくゆらゆらと揺れておりどこか偉そうな雰囲気で語り掛けてくる。


「さぁて、今作はどこまで作り込めるのかね」


キャラメイク画面を進めると目の前に表示されたのはリアルの自分を再現したベースとなる素体。

さすがの再現度と言わざるを得ないがこのまま決定したらいろいろとまずくねぇのか、これ。主にプライバシーの侵害とかで。てか腐っている目まで再現されてるとかどうなってるんだよ。


「名前は【シドウ】。肌の色は明るめの肌色、髪色は白に近い銀髪にして目は……おい、いくら変えてもハイライトがつかないとか謎の技術を発揮してんじゃねぇぞ。バグで報告してやるからな」


いくら目の大きさやハイライト表示をいじってもうんともすんとも俺の目は変更できない。『変更不可能』と出てくるばかりで埒が明かないので仕方なくその項目はスキップする。

それ以外の項目は問題なく変更でき、性別や体格操作など一度確定したら変更できない項目と後々変更可能な髪色・目の色・眉毛の色と表示されており俺は淡々と入力をこなしていった。

システムパネルにて決定ボタンを押した後、次に画面に広がるのは様々な武器の種類。この項目については先行公開されていた情報から目当てのものをすでに決めてある。


「ガードできる武器はランス・大剣・大盾……確かに魅力的だが今回の目的はガードと遠距離攻撃が可能な武器、俺の相棒はお前だ」


一通り目星をつけていた武器種の性能を確認したのちに俺は一つの武器を選択する。俺が手に取ったのは銃、それも銃に盾がついた【ガン・シールド】と呼ばれるものだ。

前作は弓とボウガン、クロスボウなどの遠隔武器しかなかったが今作からは銃も追加とされた。俺が選んだのもその一種で丸い鉄盾に短く太い銃身が取り付けられている。


「銃に盾がくっついてるなんてな。片手でも扱えるみたいだが両手で持つことで防御力が高まる仕様となっていることはうれしい誤算だ」


詳細を確認すると盾の大きさは小さめだが、効果内から受けた攻撃はオートガードしつつ反撃を行える武器とのこと。


基本的にこういう変わり種は性能が中途半端になりがちでおすすめされていない。

前作に引き続いて最大4人で【パーティー】を組みクエストやボス攻略に参加できるということも重なり、特定の役割に特化していない武器を手にするものは多くなく、さらに今作で拍車をかける要因となったのが【痛覚システム】だ。

フルダイブ式となったことにより今作は敵から攻撃を受けダメージを受けたり状態異常になると実際に痛みが発生する。それに伴い先行掲示板では回避することに特化した軽量武器に人気が集まっていた。

一部からはガード武器はドMが扱うなどひどい言われようだったが俺は一つ疑問に思った。


果たして多種多様モンスターの攻撃すべてを回避することなど可能だろうか?


———答えは否である。


まずもって初見で敵の行動パターンがわからないうちは様子見に徹するしかなく、理解できても対応できるのは極めまくった猛者だけだろう。

なら最初から自動でガードをしてくれる武器を持っていた方が都合がいいというわけだ。


「最後はステータスポイント割り振りか。耐久と素早さに割り振って完了っと」


耐久値に30素早さに20追加する。オートガードで受けたとしても多少の被ダメージは受けるだろうし何より銃である以上距離を稼ぐためにも素早さは必須だ。

筋力や器用さなどの項目もあるが基本的に近距離武器での威力やクリティカルに関係する数値だと割り切り今回はいじることはやめておくことにした。


「これで設定完了っと、じゃあ満を持して堕ちますかね!」


『【シドウ】か。随分と変わった名だが良い。せいぜい我々を楽しませてくれよ』


設定完了のボタンを押すと目の前にいたキャラが言葉を語る。

同時に襲う強い重力、電脳空間からまさに堕ちていく感覚と主に俺は『GOD SLAYER』の世界へ到達する。

再び視界を開いた場所は喧騒であふれる【始まりの街】だった。


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