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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

俺の親友がヤバイやつなわけで

作者: ふゆいろ

俺の学校は進学クラスと普通クラスの2つの校舎がある。


東と西に別れていて、東が進学クラスの校舎、西が普通クラスの校舎。

その間には門があり、許可証がなければお互いの校舎に行くことができない。


そんなんだから、交流という交流があまりなく、学校行事も別々に執り行われるので、同じ敷地内にいても別の学校みたいに扱われている。


なぜこんな学校なのかというと、普通クラスは言わば平民用、進学クラスが貴族用になっている。


「平民と貴族が仲良く勉学に励み、別け隔てない青春を送ろう!」

とこの学校を設立した当時の勇者様の言葉である。


その当時は魔生物の被害が甚大ではなく、貴族と平民関係なく生きとし生けるものみな仲良く手を取り合わなければ生きていけない時代だったらしい。


その足がかりとしてこの学校ができたんだが、今の時代はめちゃくちゃ平和!


だってその話はもう300年前、勇者様とかその当時の人がなんやかんやして平和を取り戻した現在だもんで、そのなんやかんやも話せば長くなるので割愛させていただくわけで。

決して授業中に寝ていたわけでもなくてですね。


まぁ、入学してもう半年だけど、2回テストがあり、2回ともギリギリセーフなこの俺に聞くのが野暮なわけで……


普通クラスの落ちこぼれなのがこの俺!


でも、普通クラスの奴らはみんな優しい!

だって俺みたいな平民が集まってるクラスなわけで、平民って言っても田舎者たちで、下の子のおもりとか皆で農作業したりとかが普通の生活だったので、気の良い奴らしかいないし、気が合わないやつとか嫌がらせしてくるやつとかはとりあえず喧嘩して仲良くなる!っていうのが平民なわけで。

俺はおちこぼれだけど、優しいクラスメート達のおかげで日々楽しい学園生活を送っている。




俺がこの半年とこの学校の成り立ちを思い出してるのも、進学クラスに行くまでの長い道のりの暇つぶしだったりする。

小さい時から仲が良かった、いわゆる親友に会いに行くためだ。

半年は長かった。

だって門通るのに色々と手続きをしなければならなかったわけで……

決して学園生活が楽しすぎてちょっと親友のことを忘れたからではなくて、親友から手紙が届いて怒られたわけでもないから。


そんなこんなで門にいる門番さんに許可証を渡して通してもらった。


はぇー進学クラスの校舎めちゃめちゃキレイじゃん。

普通クラスの校舎の2倍ぐらいデカイじゃん。

てか進学クラスの生徒の制服めちゃめちゃかっこいいしかわいいし別世界じゃん。


てか歩きながら思ったが、やたら見られる。

そらそうだ、なかなか普通クラスのやつは来ないからな。

あんまり居心地よろしくないからサクッと親友にあって土下座して帰ろう!そうしよう!


と思ったらなんだか人集りができてる。

めちゃめちゃ盛り上がってる感じだし、かと言って良い雰囲気でもない。


とりあえず親友がどこにいるか聞こうと思って近づいたのがこの日、俺の人生で忘れられない日になった瞬間だった。


だって俺の親友が人集りの中心にいて泣いてたし、めちゃめちゃゴミ投げられたり、殴られたりしてたんだから。


イジメられてるのが俺の親友というのが一瞬わからなかった。


人集りを押しのけて中心にいる親友のところに駆け寄って声をかけるけど、親友は俯いてシクシク泣くだけだった。



「お前らこんなことしてこのあとどうなるかわかってんのか!」

俺は叫んだ!


「こんなおちこぼれの卑しい平民がこの進学クラスにいるのがおかしんだよ。」

主犯格らしき奴が俺のことをニヤニヤしながら見なが

ら言う。


「だからってイジメていい理由にはなってないだろ!」

親友に回復魔法を使いながら俺はそいつを睨みながら言う。


「これはイジメではないんだよ、躾なんだよ!我々からのありがたい躾をしてるんだよ!」

と主犯格のやつが言う。

取り巻きたちもその言葉に続いてワーワーキャーキャー言って笑っている。


俺は怒りすぎて何を言ってるのかがわからなかった。

もうこいつら全員殺してやろうかとさえ思ったが、


「そんなに僕のことで怒ってくれるところ初めて見たよ。」


と、隣でシクシク泣いてる親友から聞こえてきた。


背筋が凍った。

一瞬にして鳥肌が立った。


「頼むからこれ以上イジメを続けないでください。代わりに俺がイジメられるから、頼むからこれ以上は辞めてくれ」

俺は精一杯の声を出して土下座して言った。


ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい。

こいつら親友が何者か知らないのか?

てか、冷静に考えたら親友がイジメられてるって状況がまずありえない。


ふと取り巻きの中に親友のお目付け役のメイドがいたが、俺の知らないやつだった。

てかお前もイジメに加担してるのかよ!


「平民の言葉なんて俺様には聞こえないな。てかものを頼むことすらおこがましい分際で!」


俺は土下座のポーズのまま蹴られた。

蹴られながらも土下座をし続ける。


魔法詠唱が聞こえて初級の炎の魔法が俺に放たれた。


炎の魔法が俺の制服を焼いた。

その時に親友に謝罪の意味を込めて買った木の置物も一緒に燃えてしまいボロボロになってしまった。


しまった!


俺は必死になって謝罪と懇願の言葉を口に出しながら土下座をし続ける。



親友に対して。


そうだよ!

こんなチンケなイジメをしてるやつらなんて俺はどうでもいいんだよ!

隣の親友に対してだよ!

こいつら自分に対して土下座してると思ってるからか、俺に対してむちゃくちゃやりやがる!

そして最後の望みの綱のプレゼントまで燃やしやがって!


隣りにいる親友はもう泣き真似を辞めてしまってボロボロになっている木の置物を見つめていた。


「これはなんだい?」

冷えた声で俺に問いかける。


「それは貴方様にプレゼントしようと思って購入した物でございます。何卒、この不始末に関しては寛大な心で……」


親友の魔力が一気に膨れ上がったのが分かった。


俺はもうこの状況を打破することができないと思い、全速前進でこの場から走って逃げた。


それを見ていた奴らはポカンとした顔をしていたが、何が面白いのか大爆笑している。







俺は走って走って三日三晩不眠不休で走った。

国を出て隣の国についた。

相当距離を離したから大丈夫だろうと思い、大の字に寝転んだ。


寝転びながら考えたが、多分今流行のざまぁをしたかったんだろうな親友は、

そしてそれを俺にも見てほしくて手紙を寄越したんだろう。

親友の考えそうなことだ、些細な悲劇を除けばだが。


あのとき些細な炎の魔法さえ魔力障壁で防いでいれば、そしてあのときの木の置物のプレゼントにも不壊の魔法を付与していれば。


始めからおかしいと思っていたんだ。

俺と親友がまず離れ離れの校舎にいたことを。

半年もの間何事もなく平和な学園生活を送れていたことを。



それから数日が経って風の噂で聞いたがあの国、あの学校があった国は学校を中心に魔生物の被害で、壊滅的なダメージを負ったらしい。

人的被害に対してはなぜか貴族だけが惨たらしく死んでいたぐらいらしい。




あーあー300年経った今でも貴族と平民という身分の格差は無くならないのか。

300年前に作った学校も無駄になってしまった。

人と言うのは力を持ってしまうと傲慢になってしまうんだろうなー。


「そういうものなのよ、人間って、僕が人間に対して期待してるのは君だけだよ。勇者様。」


「期待されるのもなんだかむず痒くあるけれど、登場の仕方はもう少しびっくりしない方法で頼むよ、魔王さん」

後ろを振り返り親友に言った。






300年と言う長い長い時を一緒に過ごしてるんだからそれはそれは友達以上の関係、親友だろう。


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