11話 会長を継ぐ者
学園祭も終わって二学期も残こり僅かとなった。
残るイベントは次の生徒会長を決める生徒会長総選挙である。
総選挙と言っても誰でも立候補出来るわけではない。
成績はもちろん、夢ノ原女学院に恥じない生徒と認められた生徒のみが立候補できるのだが
生徒会長と言う重圧から立候補者は毎年0だった。
そのため現在は現生徒会長が次の会長に相応しい生徒を指名する方式をとっている。
夢ノ原女学院は先ず生徒会長を決めた後にその生徒会長が生徒会役員を指名して決める事になっている。
その一番の理由は仮に仲の良くない生徒通しが選ばれた場合、そのせいで上手く連携ができずに生徒会に支障がでないようにするためである。
そして今その事で一人生徒会室で悩んでいる生徒がいた。
『どうすればいいのかなぁ』
悩んでいたのは生徒会長のここだった。
『ここちゃんは誰が言いと思うの?』
芽里の問いにここは
『私には決められない』
『そっか』
今のここにはとても決めることは出来なかった。
『とりあえず今日はもう帰ろう』
『うん』
今日のところはとりあえず二人は帰ることにした。
ー放課後ー
『りずまたね』
『また明日~』
なゆと別れたりずは一人歩いていた。
『晩ごはん何かなぁ』
夕飯の事を考えながら歩いていると
『助けて~』
『えっ?』
助けて~の声の方向にりずは走り出した。
すると小さい女の子が川で溺れていた。
『ゴホ助けて』
『大変』
『バサッ』
『ザブ~ン』
りずはブレザーを脱ぐと川に飛び込んだ。
『今行くからね』
りずは女の子の方へ泳いで行く
『ゴホもうダメ~』
女の子が諦めかけたその時
『ピタッもう大丈夫よ』
ギリギリでりずの手が届いて女の子を抱き締めた。
『ここちゃんあれ~』
芽里が指を指すと
『櫻井さん』
偶然通りかかった二人は慌てていた。
『芽里ちゃんは119をお願い』
『ここちゃんはどうするの』
『わからないけど行かなきゃ』
ここはそう言って走って行く。
『えぇ~ん怖いよ~』
岸までもう少しの所で女の子はりずの背中で泣き出してしまった。
『大丈夫、お姉ちゃんがいるからね』
りずが優しく声をかけたとき
『パシャ~ン』
『櫻井さんそれに捕まって』
『ここさん』
ここが自分のジャージを繋いでりずに投げつけた。
『ギュウ』
『そ~れ』
りずが握ったのを確認するとここは思い切り引っ張る。
『ピチャピチャ』
『ありがとうここさん』
ここの助けもあり女の子もりずも無事に助かった。
『ウ~』
『ピーポーピーポー』
丁度同じ頃、芽里が通報した救急車とレスキュー隊が到着した。
『君達~大丈夫かぁ』
レスキュー隊員が走ってきた。
『私は大丈夫ですけどこの子が』
女の子は水をたくさん飲んでいてぐったりしていた。
『直ぐに病院へ搬送する』
『ストレッチャー』
レスキュー隊員の指示で救急隊がストレッチャーを持ってくる。
『君も一緒に来てもらえるかな』
『はい』
りずは一緒に救急車に乗って病院へ行った。
病院へ到着して女の子の治療中、りずは警察から事情聴取を受けていた。
それからしばらくして
『りず~』
『お姉ちゃん~』
警察から連絡を受けて母親と妹のなぎが駆けつけた。
『パシッ』
母はりずの顔を見るなり頬を叩いた。
『何てムチャをするの』
母はりずがムチャをしたことに怒っていた。
『まあお母さん落ち着いて下さい』
警察は取りあえず母親を落ち着かせると
『お嬢さんは必死に女の子を助けようとしたんです』
『ですが』
『お嬢さんは立派です、後日感謝状を授与させて頂きたいと思っております』
りずに感謝状が贈られる事になり母親は考えを改めて
『ごめんねりず』
『ママ』
りずに謝り彼女を抱き締めた。
その後女の子の母親が来てりずは何度も何度もお礼を言われた後家族揃って帰っていった。
ー次の日ー
りずは溺れていた少女を助けた勇敢な女子高生と新聞で大きく取り上げられ話題になった。
そしてこの出来事がここの迷いを吹き飛ばした
『櫻井さんに決めたのねここちゃん』
『うん』
ここは指名する相手をりずに決めた。
『二人もそう思うでしょ?』
『コクリ』
芽里も美々も同じ気持ちだった。
『今日の放課後に本人に伝えるわ』
ここは放課後に伝えることを決める。
ー放課後ー
ここはりずに会いに二年生の教室を訪れた。
『櫻井さん』
『ここさん』
『大事な話があるのいい?』
『はい』
『ここだとあれだから生徒会室で話したいの』
ここはりずを生徒会室へ連れてく。
生徒会室に着くといよいよ本題に入った。
『それで大事な話とは』
遂にその時が来る
『櫻井りずさん』
『はい』
『あなたを第99代生徒会長に指名します』
ここの口からりずに伝えられた。
『私を!!』
りずは驚きを隠せない。
『あなたは溺れていた女の子助けるほど強い心を持ってるし』
ここは理由を語りだす。
『それだけじゃないよあなたは誰にでも優しくて思いやりのある人、だから私の後任はあなたしかいないの』
『ここさん』
『私のご指名受けてもらえるかしら』
りずは考えた末
『喜んでお受けします』
りずは指名を受け入れた。
『ありがとう櫻井さん』
こうして後任の生徒会長候補も決まり取りあえず一安心のここ
残す任期も後わずか、りずに譲るその日まで全力で会長の任を全うすることを心に誓うのだった。
1章も後半に入りました。
次の生徒会長のことで珍しく悩むここと完璧お姉さんのりずのより優しい部分が見れた回になりました。
次話、ついにバトンタッチ
お楽しみに




