出会いそれは幸せへのフラグ Part1-5
じいちゃんと暮らした家を出て一日たっただろう、俺はというと
「だ〜〜道に迷った!」
森の中で盛大に遭難していた
「じいちゃん!この地図何年前の分だよ!道があるはずの場所に道ないじゃん!」
昨日から考えると半日は迷子になっている。富士の樹海以上の森なのでこのままだとまずい
「てかじいちゃん!なんであんな所に暮らしてたの?」
今更ながら思うが今言ってもしょうがない
「この状況なら使っても文句ないよな?」
そう言うと俺は二つ目の固有能力を使う
「まぁこの固有能力はじいちゃんもバレなければ使ってもいいって言ってたし」
今から使うのは検索能力というもので調べたいと思うことはなんでも調べれるという能力である、女神さんに能力を決める時に死なない為にと回復能力を選び、次に知識が必要だと思いなんでも調べれるものにした
「この能力でじいちゃんが大好きだったフルーツジュースを作るのに必要なミキサーを調べたんだったな」
じいちゃんは頼りすぎは良くないがバレなければ大丈夫だろう、ということだった、この能力は他の能力と違って目立つことなく使えるのが特徴だ、だって頭に直接映し出される感じだから
『【検索】 周辺の地図』
すると脳内に地図が表示される。最初の頃は慣れなかったが今では手馴れたもんである
「あっぶね!家に戻るとこだった」
地図で確認したらぐるっと回って家に向かっていた
「ええっと街道がある方向はっとあっちだな」
1時間ぐらい行くと
「もう少しで街道に出るはずなんだけど…んっ」
何か聞こえた気がした
「なんの音だ、これ?金属が当たってるような音だな」
気になって音が聞こえる方へ向かう
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《街道側》
「クソっこいつら多い上に手強い!」
そこには戦闘職の男達が数台の馬車を守るように、襲ってくるもの達を迎撃していた。
「てめぇら最近ここらで悪さしてる盗賊団か!」
「だったらなんだってんだよ!」
盗賊団が15人程に対して護衛している者達は6人程で劣勢になっていた
「とっとと諦めて死にな!」
「ふざけんなクソ野郎共が!」
護衛している者達のリーダーが奮闘して何人か倒すがかなりやばい状況である
(まずいなぁ完全に多勢に無勢どうにか護衛対象だけでも逃がさないと!)
そんな事を考えていると
「リーダー敵の弓が狙ってる!」
「ちっ!しまった」
逃がす事を考えているうちに隙を見せてしまった
「死ねや!」
殺られると思ったが矢が飛んで来ることは無かった、なぜなら敵が矢を射る前にその者の頭に矢が刺さって絶命していたからだ。矢が飛んできた方向を見ると1人の男が弓を構えていた。
「助太刀します!」
男はそう叫んだ。
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《主人公サイド》
音が鳴る方へと向かっていた俺はその現場に到着していた
「これまたテンプレな展開……」
そこでは馬車が盗賊団に襲われ護衛している者達が戦っているとこだった
「にしてもこれは護衛している方が劣勢だな」
盗賊団もそこそこ強いらしい上に数も相手が多い
「助けてやりますか、ここで見捨てたら絶対じいちゃんに怒られる」
護衛している者達を助けることにした俺は腕輪を弓に変化させる
「さてとこれが俺たちの初陣だ頑張って助けますか!」
俺はこれから一緒に戦っていく相棒、宝弓星の女神に向かって声をかける、そのな時敵の弓兵が護衛のリーダー格の人を狙っていた
「とりあえず盗賊団の弓兵から始末しますか!」
そう言って敵弓兵の頭を狙って矢を放つ、見事に当たって敵の矢が放たれる前に始末する。
「あぶない、あぶない!」
すると戦っていた護衛団と盗賊団がこちらに気づく、俺は護衛している者達に向かって声をかける
「助太刀します!」
そう叫んでから残っている敵弓兵二人のうちの1人に向かって矢を放ち始末する。そして残った敵弓兵が叫ぶ
「てめぇどっからわいてきた!邪魔すんな!死ね!」
叫びながらこちらに向かって矢を放ってきた。それを見て護衛団のリーダーが大声をあげる
「あぶねえ!」
敵弓兵も腕がいいらしくまっすぐに矢が向かって来る、周りの者達も殺られると思ったみたいだ、普通なら矢が刺さって絶命するだろう、普通なら
パシッ
「「はぁっ?!」」
そんな音と共に見ていた者達全てが声をなくし目を丸くしていた、なぜなら放たれた矢を俺は手で掴み取っていたからだ。
「お返ししま〜す」
そう言って掴んだ矢を放ってきた敵弓兵に射ち返す、信じられないものを見たかのように驚いた顔をしながら死んで逝った。周りも驚いて呆然としていたが護衛団のリーダーがいち早く正気に戻り敵を倒す
「おめぇら!鬱陶しい弓兵はいなくなった!たたみかけるぞ!」
「おおおお!!」
俺は護衛している者達を援護しながら盗賊達を倒していく。徐々に数を減らしていき残りは盗賊団の頭を残すのみである
「くそっひと仕事終えた後のつまみ食いの予定だったのに邪魔者が来たせいで台無しだ!!」
「そんな事知るか!大人しく捕まるか?それとも死ぬか選びな!」
ちょうど盗賊団の頭と護衛団のリーダーの一騎打ちになっていた。
「はっ!捕まった所で犯罪奴隷にされて一生重労働するなんてまっぴらごめんだね!」
「強がんじゃねぇよ!残りはてめぇ1人だ!」
「だったらてめぇを殺して逃げるだけだ!」
そう叫んで斬りかかって来る!
護衛団のリーダーはその一撃をかわしてとどめの一撃を与える、盗賊団の頭はかわしきれずにそのまま絶命していた
「どうにか護衛している者達は無事みたいだな」
俺がそうつぶやいていると先程の護衛団のリーダーがこちらに向かって手を振っている、それに俺も手を振って応え彼等の所に向かう
「ありがとう!助太刀感謝する。」
「間に合って良かったです」
護衛団のリーダーと握手を交わす、見た感じは大らかなオッサン的な雰囲気である
「正直、助太刀がなかったらかなりやばかった!!俺はこの護衛団を率いるガドランだ!よろしく」
「エルフィンといいます。よろしく」
「助けて貰ってなんだが、こんな危ない場所に1人で何してたんだ?」
ガドランが言うにはこの辺は割と強い魔物が出るらしく、ソロで動いているのはほぼいないらしい。つくづく思うけど、じいちゃん本当になんて所に住んでるだよ!
「最近までじいちゃんと暮らしていたんだけど、今は街を目指しているとこです。ガドランさんはどちらに?」
「俺のことはガドランと呼び捨てで構わない敬語も必要ない命の恩人にかしこまれたらむず痒い」
「じゃぁ、ガドランは……」
そう言いかけた時だった、
「ガドランの兄貴!こっち急いで来てください!」
護衛していた人が叫ぶ
「わりぃエルフィン、ちょっと待ってくれ」
そう言って声がした方に走って行く、俺も何があったのかと後を追う。
すると
「おい!ワールさん!おい!しっかりしてくれ!」
追いかけて行った先には馬車がありガドランがその中で大声をあげている
「おめぇら!回復薬は残ってないのか」
「さっきの襲撃で全部無くなりました!」
「くそっ」
ガドランのいる馬車を覗き込むと商人風の男性が血を流していた、首元に矢が刺さっている
「護衛対象を守れずに何が護衛任務だ!」
叫ぶガドランに対してワールと呼ばれていた男性が応える
「貴方は悪くありません。忠告に従わず外の様子を確認しようと覗いたわたしが悪いのです」
「どんな理由だろうと守り抜くのが俺達の仕事です!」
ガドランと護衛団、ワールと言う商人にその付き人も絶望した様子になっていた、その様子を見ていた俺はポリポリと頬をかきながら
「すみません、ちょっと傷見せてもらっていいですか?」
声をかけてからガドランの横にいく
「エルフィン!もしかして回復薬を持っているのか?」
「回復薬もありますけどこっちの方が良さそうですね」
傷を見ていた俺は血が出ている所に手をかざす、そして回復魔法を発動させた
「エルフィン!お前弓士じゃないのか?!」
俺が回復魔法を使ったのを見てものすごく驚いている
「弓も使えるが回復魔法も使えるぞ!」
それを聞いたガドランが絶句していた、その間にワールと言う商人の傷は治っていく
「とりあえずこれで傷はふさぎました、でも流れた血は戻りませんのでこちらを飲んで下さい」
アイテムポーチから小瓶を取り出す
「俺が作った造血薬です。これで失った血を補えます」
それを聞いたガドランがさらにビックリ仰天している
「作っただぁ!弓が有り得んぐらい強くて、回復魔法が使えてさらに錬金術もできるだとぉ!!!!」
ガドラン、それ以上口開けると顎が外れるぞ?
ガドランが落ち着きを取り戻し、商人のワールさんもだいぶ落ち着いたので三人で集まって話をする。
「先程は助けて頂きありがとうございました。私はモーノ商会の会長を務めているワールと申します。」
「俺はエルフィン・リッパーと言います。よろしくお願い致します」
改めてお互いに自己紹介をする、なぜか少し驚いた表情になるがすぐに普通に話し出す
「エルフィン殿は素晴らしい腕前の持ち主とお見受けしますが他の地域ではさぞ有名なお方なのでしょう。失礼ながらこれ程の腕前のお方をこの国では聞いた事がありません」
次にガドランも聞いてくる
「確かに若いのに弓士として達人級、おまけに回復魔法に錬金術まで使えるやつは見たことがない、どこか別の国で活動していたのか?」
「いえ、実は三年ほど前に記憶を無くして森をさまよっていた所をある人に助けてもらって今までその人の家で暮らしていました。その時に弓とかを教わりました。」
渡り人の事は言わない方がいいとじいちゃんが言っていたので適当に誤魔化す。
「三年でこれ程の腕前に!とても素晴らしい才能の持ち主ですな、教えられた方もさぞや素晴らしいお人なのでしょう。」
ワールさんが目を輝かせて褒めてくる
「これ程の腕前に育てれる人だ。俺も会ってみたいなぁその人は今もその家に住んでるのか?」
「いや、じいちゃんはつい先日息を引き取ったよ」
それを聞いたガドランがしまったと言う顔になる
「悪りぃ、失礼な事聞いちまったな」
「あぁ気にしないでくれ、じいちゃんは笑顔で満足して逝ったから」
頭を下げてくるガドランを手で制す
「まぁそんなわけで森の外の事はほとんどわからないんです」
「そうですか」
聞いていたワールさんが考え込む。そして思いついたようで
「でしたら、私共と一緒に王都に来られませんか?」
「王都にですか?」
「はいそうです。私共は商品を仕入れて王都に戻る途中ですので一緒に来られれば王都に入ることができます。王都は治安もいいですので何か仕事をするにしても商売をするにしてもいいと思います」
それを聞いて考え込む
(このまま目的地もなくふらつくよりはいいかもしれないな)
「そうですね、ではご一緒させてもいいですか?」
「えぇもちろんですとも!私もエルフィン殿にお礼がしたいですし!」
ワールさんがご機嫌になる。そして思いついたように
「そうだ!エルフィン殿1人では大変でしょうから奴隷など如何ですか?」
「えっ奴隷ですか!」
「はい、身の回りの世話をするのによろしいかと。特にエルフィン殿は最近まで森にお住まいでしたので必要かと」
奴隷かぁ地球育ちの俺にはちょっと抵抗があるなぁ、そお思っているのが分かったのかワールさんが
「エルフィン殿この国では奴隷は貴重な労働力として扱われているので酷い扱いは受けておりません、女性の場合夜の相手を望む者もいますが基本的に無理やり相手をさせることは重罪となります。この国は犯罪奴隷を除き、奴隷に対して最も寛容な国とされています」
そういうことならいてもらった方がいいかもしれない、だけど
「ありがたい申し出なのですが今は手持ちが少ないですので」
じいちゃんからある程度お金を貰っているけど奴隷ってやっぱり高いだろうからこの先を考えると無駄使いしない方がいいだろうと思っていると
「大丈夫ですよ、お代は要りません。ちょうど今いるものからお好きな者をお選び下さい」
「いや、それはさすが悪いですよ。」
「生命を救って頂いたお礼としては安いぐらいですよ。どうか遠慮なさらずに」
そう言って奥の馬車に向かって行く、横でガドラン言ってくる
「エルフィン貰っとけ!ワールさんにとって奴隷の一人や二人損にもならないから」
どうやら俺が思っている以上にワールさんはお金持ちらしい。ガドランと話しているとワールさんが手招きしてくる。
「エルフィン殿!どうぞこちらまで」
(まぁ俺は貰って損はないわけだから貰えるもんは貰っとくか)
そう思いながらワールさんの元に向かう
「こちらの馬車に奴隷が数人いますのでお選び下さい」
ワールさんが鍵を外して中を見せてくれる。そこには若い男女6〜7人が座っていた
「この中からおひとりお選び下さい。」
奴隷達を見るとだいたい10代後半から20代前半ぐらいだろうか
(さすがに男は嫌だから女性がいいなぁ)
そう思いながら見ていてふと気づく、馬車の奥の方おそらく若い女性だろう人物が隠れるようにフードを深く被っている
「ワールさん、あの奥の方にいる女性は?」
「あぁ、あの者はそのかなりの怪我をしておりまして」
ワールさんが説明してくれる
「この者は若い獣人族の娘でしてもともとは別の商人が所有しておりました。全身に火傷がありおそらく火事に巻き込まれたのではないかと」
娘の方を見ながら言ってくる
「実は1ヶ月ほど前に魔物氾濫が起こった地域がありましてその時にいくつかの村が襲われたらしいのです。その中に獣人族の村があり村人を逃がすために森に火をはなったらしいのです、おそらくその時に火に巻かれたのではないかと」
娘をよく見ると所々に包帯が巻かれている
「魔物氾濫は制圧されたのですが村人は散り散りになり行方は分からないとの事、この娘もどういう経緯でその商人の元にいたのかは分かりません、その商人も火傷を治して高く売ろうとしたようですが思いの他重症だったらしく治せず処分寸前だったのを私が引き取りました」
「そうですか、この娘見させて頂いてもいいですか?」
「えっ!構えませんが、身の回りの世話は無理でございますよ?」
「はい、大丈夫です」
「わかりました」
そう言うとワールさんは付き人らしき女性に指示を出し怪我をしている娘に手を貸しながら外に出す、立っているのが辛いのだろう、ふらついていたので座る物を用意してもらい座らせる。
陽の光の場所に出てきた娘はかなりひどい状態だった右半身に重度の火傷、獣人特徴の耳も右側は完全に欠損、左側も半分程無くなっているそして包帯が巻かれている右眼はおそらく失明しているだろう、そんな状態の娘は生きるのに疲れた目をして虚ろな目していた。
「これは確かにひどい状態ですね」
「はい、見つけた時には既にこの状態で回復薬を使用してもダメだったようです」
俺は座っている娘と同じ高さに顔を持っていき娘の顔を覗き込む、すると虚ろな目でこちらを見てくる娘に俺はニカッとして
「お嬢さん聞きたいことがあるんだけどいいかな」
そう言うとワールさんが
「エルフィン殿、その娘は喉もやられてるらしく上手く声が出ないようです」
「そうですか、ではお嬢さん頷くだけでもいいからいいかな?」
娘にそう言うとコクンっと頷く
「ありがとう、じゃぁお嬢さん君の身体の傷を俺が治そうと思うんだけどいいかな?」
娘は驚いた表情になり首をふるふると振っている
「えっ、治したくないの?」
そう聞くとまた首をふるふると振るそしてかすれた声で
「みん…な…わた…しのやけどは…なお…らないって」
娘は頑張って声を出して応える、ワールさんはその様子を後ろで黙って見ている
「今までに会った人達はそうかもしれないけど俺とは今日会った、そして俺は君のことを治してやりたいと思っているだから俺に治療させてくれ」
その言葉を聞いて娘は残った左眼に涙を溜めながら頷く
「ワールさんこの娘にします」
「本当によろしいのですね?」
「はい、この娘がいいです」
「わかりました。では契約の儀式をします」
そう言うとワールさんがなにやら準備を始める、そして呪文を唱えると地面に魔法陣が出現する
「ではエルフィン殿こちらへ」
ワールさんに言われて魔法陣に入る続いて奴隷の娘も入る、
「それではエルフィン殿これを奴隷の首につけてください」
ワールさんから金属製の輪っかを半分に割ったようなものを渡される
「首を中心に輪っかを作ってください」
言われたようにすると輪っかが光り始める、それと同時に俺の右手人差し指にも光の輪ができる、しばらくして光が収まっていくとそこには桜の花びら模様の指輪がはめられており、同じ模様をしたものが娘の首にも作られていてちょっとしたアクセサリーみたいになっていた。
そして光が徐々に収まっていくと魔法陣が消える。
「これで奴隷契約が完了しました。この娘はエルフィン殿の所有奴隷となりますのでこの後にその娘にどのような治療をしても誰も何も言いません」
笑顔でワールさんが言ってくる、どうやらこの人は俺がどんな治療法で治すのか気になるようだ。少し離れた所でガドランも興味津々でこちらを見ている。俺は苦笑しながらも治療を始める。
「それじゃぁ治療を始めるけどその前に身体の状態を確認させてね」
娘を先程の所に座らせてそう話しかける、娘はコクンと頷く
「では両手を出してもらえるかい?」
出てきた両手を軽く握る、そして
『【検索】 身体状態』
検索能力で身体の状態を調べる、別に手に触れてなくても調べることは出来る。ただ触れていた方がより早くそして詳しく調べられる、決してやましい気持ちで触れている訳でわない!たぶん…… ちなみに周りからは何をしているかは分からない、ほとんどの情報は頭に流れてくるから
「う〜ん、結構火傷の状態がひどいなぁ」
見た目以上に重度の火傷だ、獣人は身体が普通の人より丈夫だ、人種なら死んでいてもおかしくない状態だった、俺がそんな事を言ったからか娘の顔が暗くなる、おそらく治せないと思ったのだろう
「おっとごめん!不安にさせちゃったね。大丈夫俺に任せろ」
そう言ってから俺は回復魔法を発動させたが実はその裏で固有能力万能回復能力を使う、回復魔法では完治は難しかったからだ。
だから回復魔法を隠れみのにして万能回復能力で治す。娘の身体全体をエメラルドグリーンの光が包み込む。
(身体がポカポカして暖かい、すごく優しい光)
娘は自らを包み込む優しい感触に身を任せていた。
俺は先程調べた情報を元に身体の傷や火傷を治していく、5分程たった頃ようやく光が収まっていく、そして光が消えたそこには
「お疲れ様、終わったよ」
「えっ?」
そう言われて娘は自分の身体の異変に気づく
「身体が痛くない…手が動く…」
腕を動かして確認してる。
「今、包帯を外してやるからな」
顔や腕に巻かれている包帯を外していく、
「うそっ目が見える…耳も治ってる…」
自分の身体を触りながら全身を確認している、そして俺の方を見てくる
「顔も可愛いが声も可愛いな!」
俺が笑顔で言うと
「うぁぁぁん」
泣きながら俺の胸に飛び込んでくる。それを受け止めると頭を撫でてやりしばらく泣かせてやることにした。
しばらくして落ち着いた頃に話しかける
「スッキリしたかい」
「…はい、ありがとうございました」
顔に残っていた涙を綺麗な布で拭いてやる、先程少し見たがこの娘、かなりの美人である、おそらく狐の獣人だろう大きな耳と尻尾、そして黄昏のような髪がとても綺麗だ。
終わったのを見計らってワールさんが話しかけてくる
「エルフィン殿は本当に素晴らしい腕前の持ち主ですな!あれ程の火傷を治してしまうとは」
「マジでお前何者だよ?これ程の実力者そうそういねぇぞ?」
様子を見ていたガドランも近ずいてきた
「まぁその辺は企業秘密ってやつだな!だからあまり広めないでくれると助かる。ところでワールさん」
「はい、なんでしょう?」
「奴隷の解放ってできますか?」
「えっ?」
なぜか娘からえって声が聞こえたが続ける
「彼女は正規の方法で奴隷になったわけではないでしょうから解放してやりたい」
そう言ってワールさんに聞いてみる
「できるかできないかで言うと可能です。しかし現状それはおすすめしません」
「それはどうしてですか?」
「現在彼女には帰る家も家族の行方も分かりません。そんな状態では途方に暮れてしまいます。さらに彼女の容姿ですと身の危険も心配です」
確かにこんな美人が1人でいるのは格好の的だ
「それらを踏まえてエルフィン殿の所有奴隷とした方が安全です」
まぁ見えるとこにいてくれたら守れるけど、そう思いながら娘の方を向く
「君はそれでいいかい?もちろん一緒にいる間は生活には困らないように頑張るから」
「はい!構いません。私はご主人様に生命を救われました。一生をかけて恩返しがしたいです。」
「わかった、君がいいならそうしよう。後、ご主人様はむず痒いからやめてくれ、そういえば君の名はなんて言うのな?」
「はい!私の名はクイナと申します!エルフィン様」
「クイナか、いい名前だな。これこらよろしくな!」
「はい!こちらこそよろしくお願い致します!」
一区切りした所でワールさんが
「それでは皆さん王都に向かいましょうか!」
「はいよろしくお願いします」
これが俺とクイナの幸せな人生への始まりの出会い