大切な人を護る為、翔ける!P-6
朝食を食べ終えるとカーマインの部屋を訪れる
「なんだ、もう来たのか?」
「朝食のあとに来いって言ったのはカーマインだろ」
呼ばれて来たのに入るなりそう言われたのでちょっとムッとなる
「エリィに無理させたんじゃないのか?労わってやったか?」
「ブぅッ!?」
思わず噴いてしまった
「おまっ!、なんで」
「皇女の部屋を護衛騎士と侍女が誰も通さない様に鉄壁の守りをしていたぞ?わかる人にはわかる」
「ヌグッ……」
カリンさん、ジュリアンさん、俺たちの情事が筒抜けです!
「まぁ落ち着いたんなら良い、お前の心臓が止まった時は大変だったからな」
「あぁ、血を出して息と心臓が止まったら大変だろ」
「他人事のように言ってるがお前の事だからな?それもだが心臓が止まった時エリィが錯乱してな、お前のあとを追うところだった」
「はぁ!?」
「本人を責めるなよ?目の前で大切な人がそうなれば誰だってそうなる可能性がある」
「……わかった、ここだけの話にしとく」
「そうしてやれ」
部屋のソファーに座って話を始める
「今日のお昼過ぎには皇国の増員部隊が到着予定だ。二日かけて引き継ぎをした後、王国軍は砦を出て帰路に着くわけだがエルフィンの意識も戻りある程度動けるようになったので当初予定していた王国軍を先に帰らせてあとから私の護衛部隊と皇女の護衛騎士で帰る案は白紙にした」
「どんなふうになったんだ?」
「私達も二日後の王国軍の帰還と一緒に王都に帰る事にした。その方が皇女を狙う者も容易に狙えないだろう」
「俺はそれで構わんぞ。エリィの方は?」
「そっちも確認した、その方が危険度が下がるからな。さすがに軍に守られた要人を襲撃する馬鹿はいないだろ?」
「あれだけ大敗したらしばらくは大人しくなるだろうしな」
聞いた話では帝国は今回の敗退でかなりの損害が出ている。人員的被害、守護ゴーレムを三体も無くした損害でてんやわんやになってるとか。連邦にしても今回は攻め損で皇国に事前に軍の収集を察知されて対策を取られた事でほぼ一方的に負けている。軍の収集に関してはわざと流して注意をそちらに向けたんじゃないかと思っている。だが今回の件で作戦は大失敗したので持ちかけたのがどちらにせよ連邦と帝国の仲は悪くなるだろう
「一応王都には7日かけて戻る予定だ、砦に来るのにかなり強行軍で進んだのでな、帰りは少し余裕を持たせたい」
「夜の寝泊まりはどうするんだ?エリィも一緒に戻るんだろ」
「そちらに関しては皇国の方でとっておきを用意すると言っていたから大丈夫だろう」
「とっておき?」
「予想はつくが来てからのお楽しみだ」
「カーマインが言うなら楽しみにしておこう」
「旅程については一応以上だ。エルフィン、増員部隊が来たらエリィと距離を取っておけよ?事情を知らない騎士が見たら斬りかかれるかもしれんぞ」
「それは怖いな、逸れた剣がエリィに向かったら大変だ。……障壁があるから平気か?」
「お前がって事だったんだがその様子だと戦闘もできそうだな」
「おそらく大丈夫だろう。帰りに魔物が出たら少し確かめたいかな」
「病み上がりなんだから無理するなよ?エリィが心配するぞ」
「あぁ程々にな」
とりあえず二日後に王国に帰るということで決まりそれに向けて準備する事となった。昼過ぎに予定通り増員部隊が到着し色々と話し合われた。俺はその辺の事はカーマイン達に任せていつも通り運動をして身体を解す。しかし、何故かエリィがいつもの様にその様子を見ている。足腰はラフィが治したらしい。仲良くしている事を見られてカーマインに言われた事を警戒していたがそうはならなかった。
「増員部隊の人達は俺たちの事、何も言わないな」
「御父様からの指示らしいですよ」
「皇王陛下の?」
エリィの話だと俺たちの仲は皇王陛下も知っているし今回俺が単身でエリィを助けに来た事、その結果砦が守られた事も御存知らしい。
「『皇族であろうとその生命を賭けて護られたのならその恩を忘れてはならない。しかもそれにより怪我をしたならその世話をするのは当然の事』という事で私がエルさんの傍に居ても誰も指摘したりはしません」
「なんか、ずいぶん気前がいいな…」
「ふふっおそらく御父様の指示と言うより御母様達の意見が通されたのかと」
皇王一家ってかかあ天下なのか?国の象徴が風の乙女だし女性の意見が尊重されるとかなのか?
「という訳ですので今まで通りで大丈夫ですよ」
エリィはにこやかに笑いながら言っている。その表情とても楽しそうだ。
「エリィ、機嫌良さそうだな」
「もうダメだと思っていたのに、たまにイタズラする王子様が助けに来てくれた。また大好きな家族に会える。そして、何より……」
エリィはこちらを見てとても綺麗な笑顔を向け
「とても大切で大好きな男性と一つになれた事が何より嬉しいです!」
スカートの裾を持ち上げ舞うように動きながら喜びを表現している。
風の中で踊る精霊のように……
心からこの笑顔を守れて良かったと思う
ただ機嫌が良すぎて今の発言を近くにいた騎士や兵士に聞かれていた事に気づいてないのは黙っておいてあげよう…
その後の二日は問題なく引き継ぎが終わり予定通り王国に帰ることになった。
「叔父様、お世話になりました」
「とんだことになりすまなかった」
「いえ、こうして無事に戻れるのですから」
「エルフィン殿も感謝致します。私に何か出来ることがあればなんでも言って下さい」
「そんなに重く考える事ないですよ。じゃぁそうですね、皇王陛下に良いように宣伝しといて下さい」
「ハハッわかりました」
そう言えばカーマインがエリィの旅程様になにか来ると言っていたが
「あぁそれはあれですよ、エルさん」
「あれ?」
エリィの指さす方向には少し豪華な馬車が来ていた
「普通に馬車に見えるけど?」
「これはアンリ御母様の馬車ですね」
「皇妃様の?何が違うんだ?」
「ふふっまぁ見て下さい」
そう言って馬車の扉を開く
「おお〜ー!!」
中は部屋が丸ごと入るほどの広さになっていた
「これ馬車に拡張魔法を付与してあるのか!」
「はい、その通りです。皇族が長旅をする時に使う物ですが貴重な物で御父様と御母様達が使う三台しかありません。」
「へぇ、すげぇな!今度俺も作ってみるかな」
「エルさんだけですよ、そんな簡単そうに言うのは。皇国でも1台作るのに5.6年はかかるそうですよ」
「それは俺の自己流でどうにかする」
「それは楽しみです」
そして、リジット公爵に挨拶をしたあと王国に向けて帰路についた。軍として動いている為、夜は野宿する事になるがエリィとカリンさんは拡張した馬車で寝泊まりするので問題なし。俺は魔物氾濫の時に使ったあの性能バッチリなテントを使う。
言っておくがエリィの馬車に夜な夜な行ってないからな!さすがにこんな所ではしないからな。それに俺のテントにはカーマインが一緒に寝ている。こちらも言っておくが『腐』的な事は一切ないからな!断じてない!!
途中魔物が出たりしたがすぐに対処できた。その時ちょっと弓を使わせてもらったんだけど
「……あれ?」
「どうした?まだ調子が悪いか?」
俺が弓を使うとこを見ていたカーマインが聞いてきた
「いや、軽く撃ったのに予想より威力が出てな」
「まだ感覚が完全じゃないんだろ?」
「そうかな〜、とりあえず簡単なクエストをとって慣らしていくか」
そんなこんなで予定通り7日かけて帰国する
「さて、そろそろ準備するか」
「そうですね」
あと少しで王都に到着する所でカーマインとエリィが急に立ち上がる
「何の準備だ?」
「王族となると色々とやらないといけないことがあってな」
俺も言われるがまま従って移動する。そして……
「要は凱旋報告みたいなものか?」
「はい!そうです」
現在、国民から歓声を受けながら王城に向けてゆっくり進んでいる。カーマインはイルドに乗って先頭を行きエリィは窓の広い馬車に乗り換えて歓声に応えるように笑顔で手を振って応えている。俺は一応エリィの乗る馬車に同席している
「王族である王太子殿下が戦に出られて目的である姫様の救出に成功した事を示す必要がありますから」
並走していたジュリアンさんが説明してくれた。そのまま王城に向けて行き大橋前の大広場まで行くとカーマインとエリィの護衛騎士部隊以外を広場に残し王城に行く。騎士部隊以外と言っても大半は王都の外周防壁に着いた時点で分かれている。そりゃ全軍で入ったら大変な事になる。
「王城も久しぶりな感じだな」
「実際はひと月半ぐらいですが長く感じましたね」
「そうだな、それよりエリィ皆が待ってるぞ」
遠くに見える王城の広場に見知った顔が並んでいる。
広場に着くとまずカーマインがイルドから降りて国王陛下と王妃の所に行く
「陛下、ただいま戻りました」
「王太子カーマイン、御苦労であった」
「もったいなきお言葉、ほとんどエルフィンがしましたので私は迎えに行っただけです」
「ふふっそうだな」
陛下もカーマインも形式的にやっているだけで今にも笑いだしそうだ。まぁ終わったようなので
「エル様!」「エル兄様!」
馬車から降りるとクイナとミアが嬉しそうにこちらを見ている。そして、エルフィンは馬車の中に手を差し出す。中の女性はその手を掴みゆっくり馬車から降りてくる。その姿に皆から安堵の声が上がり1人の女性が近づい行く
「………エリィ」
「ユディ姉様」
ユーフォルディア皇女はエリィの顔に両手を持っていき
「エリィ、顔を見せて……あぁ本当にエリィなのね、無事なのね」
エリィの顔に優しく触れ無事を確かめている
「エルさんのおかげで無事に戻ってくる事が出来ました」
二人は抱きしめ合って無事を確かめている
「あぁ本当に有難うございますエルフィン様!」
「気になさらずに、俺は自分の大切な女性を助けに行き同じく大切な女性たちとの約束、絶対にエリィと一緒に無事に帰ってくるという約束を果たしただけです」
泣きながらエリィを抱きしめているユーフォルディア皇女にそう声をかける
二人が落ち着いたあとエリィに近づく二人がいる
「エリィさん」「エリィお姉ちゃん」
「クイナさん、ミアちゃん」
クイナとミアは笑顔を見せエリィの近くに行く
「二人とも御心配お掛けしました」
「ふふっ途中から心配はしてなかったですよ」
「えっ?」
「エル様がエリィさんを助けに行った時点で必ず二人一緒に帰って来てくれると信じてましたから」
「あっ……」
「おかえりなさい、エリィさん」
「おかえり、エリィお姉ちゃん」
「………ただいま」
エリィの目からは涙が溢れ出す
「ただいま、クイナさんミアちゃん!」
クイナとミアはエリィを優しく包み込む
「エルフィン、御苦労であった」
「お疲れ様エルフィン君」
陛下と王妃様が労いの言葉をかけてくれる
「今回はさすがにきつかったし、やばかったです」
「よくぞ無事に戻った。あの事に関しては二人には話してないからな」
「えぇ話すと心配するでしょうしありがとうございます」
「私は話しといた方がいいと思うけどなぁ」
「大丈夫ですよ、二人に余計な心配をさせる必要ないですから」
「そう言う事じゃないんだけど……」
王妃様が何か言おうとした時
「…………あら?」
エリィを抱きしめていたクイナから声が聞こえる。
「ミーちゃん、コレって……」
そう言ってクイナとミアがエリィの身体をスンスンと匂い始める
「え?えっ!?クイナさん?ミアちゃん?」
急に匂いを嗅がれ始め困惑するエリィ
「……うん、間違いないと思うクイナお姉ちゃん」
「やっぱりそうよね!」
「え〜と、何が間違いなくて、やっぱりなんですか?」
何かを確信する二人に余計に混乱するエリィ。二人はエリィの方を見るとニンマリして
「良かったですねエリィさん!」
「おめでとうエリィお姉ちゃん!」
「ほんとに何がですか?!」
「エル様に愛して貰えてよかったですね」
「………………えっ」
最初はどういう意味かわからなかったエリィだが徐々に理解し始め
「えっ!なんで匂いでわかるんですか!!エルさんと一緒になったのは10日ぐらい前ですしその後、湯浴みで流したのに!?」
「エリィお姉ちゃん、獣人の嗅覚を侮ったらダメだよ」
「そうだよ、エリィ。エリィも身体の内側から匂いがしてる」
上空から翼をはためかせてラファエルが舞い降りてきてエリィの背中から腕を回している
「ちょっとラフィさん!内側から匂いってどういう意味ですか!?」
「そのままの意味、クイナやミア、ボク同様に主様の色に染められた」
「エルさんの色に………それはなんだか嬉しいかも……」
「えっ?ちょっと待ってください!もしかしてラフィちゃん!!」
「えっ!ラフィ!なんでおっきくなってるの!?」
「やっほ〜クイナ、ミア、でっかくなっちゃった」
「「えぇーーー!!!」」
4人……精霊って何人って数えていいのか?まぁいい盛り上がっているが
「あぁエリィ賑やかなところ悪いんだがまだ周りに皆がいるぞ?」
「……あっ……………」
「それとラフィの姿と声は3人以外はカーマインとカリンさんジュリアンさん、あとはユーフォルディア皇女しか分からないからほとんどエリィが1人で暴露した感じになってる」
その言葉にエリィは周りを見渡す。陛下と王妃はニヤニヤしておりカーマインは笑いを堪えている。周りに警護としている騎士や兵士はあからさまに聞いてませんっと言った感じで顔を背けている。唯一の救いはユーフォルディア皇女がラフィを見た瞬間から半ば放心状態になっている事くらい
「もうーー!!ヤダーー!!」
エリィは顔から湯気が出るのではっというぐらい真っ赤になっている
「あぁエルフィンよ、先程から三人は誰に向かって喋っているのだ?」
「それについて説明しますので出来ればいつもの人員を集めてもらえますか?」
「あぁ、わかった。では中に入るか」
陛下と王妃様は城の中に入ろうとしてたら王妃様はくるりと回りエリィの近くに行くと
「よかったわね、エリィちゃん」
「もう!王妃様!……………ありがとうございます」
まだ顔の赤いエリィにそう言ってから入って行った。
「ほら!ユディ、正気に戻れ〜」
「はっ!カーマイン様、でも!あ、あれ!」
「それについて説明あるから中に入ろうなぁ」
カーマインはユーフォルディア皇女を連れて中に入る
「エリィも中に入るぞぉ」
「う〜、エルさんちゃんと責任とってください!」
「もとより4人とも一生愛していくし離さない、絶対に幸せにする」
その宣言にエリィだけでなくクイナやミア、普段動じないラフィまで赤くなる
「やっぱりずるいですエルさん」
「あっ!ずるいのはエリィお姉ちゃん!」
「そうですね独り占めはさせませんよ!」
「ボクもする〜」
4人に前後左右から抱きつかれてしまった。男としては大変嬉しい状態なのだが周りからの視線が突き刺さって痛い………
「陛下達を待たせたら悪いから中入るぞー!」
とにかくその場から逃げた。メイドさんの案内で部屋に向かうとすでに砦に行く前に集まっていた人達と同じメンツが揃っていた。
「元々帰ったら報告を聞く為に集まっていたのだ」
部屋に入ると陛下が教えてくれた
「それではまずカーマインからの報告を聞こう」
「はい」
カーマインは集まっている人達に砦に着いてから帰路に着くまでの行動などを報告していた。
「うむ、御苦労。さてエルフィンよ、その方からの話を聞かせてもらおう」
「はい、まずは先に彼女から紹介させてもらいますね、ラフィ!」
「はい!主様」
部屋の中に風が渦巻くとラファエルは他の人にも見えるように姿を現す
「な!この方はまさか風の乙女!」
「そうです、風の上位精霊になります」
ラフィは宙に浮きながら手を振っている。その姿に一同は声も出ない程驚いている。ユーフォルディア皇女にいたっては両手を祈るように握っている
「元は下位精霊だったのですが俺の魔力を得て昇華し上位精霊になりました」
「エ、エルフィンこの事皇国は知っているのか?」
陛下が動揺しながらも聞いてきた
「いえ、まだ砦にいた皇国の人しか知りません。砦の総指揮官のリジット公爵の計らいで黙ってもらっています」
「それは何故だ?第二皇女との事を考えれば、誰も反対出来なくなるぞ?」
「まさにそれですよ、ラフィの力で認めてもらうんではなく、俺自身を認めてもらわないと意味が無いんです」
その言葉にエリィは改めて嬉しくなり笑顔になっている。
「風の乙女を祀る皇国にラフィの存在を見せればそれこそ二つ返事で応えが返ってくるでしょう。でもそれはラフィの力、俺の実力ではない」
「……わかった、皆もこの件については喋らぬように」
陛下は部屋に集まる重臣達に口止めをした
「陛下、一応ギルドマスターとワールさんには事情を話しとこうと思っています。精霊という存在を認識しやすいエルフ族であるアルフィードさんには教えておいた方がいいでしょう。下位精霊と契約していたのは知ってますし。ワールさんは黙っていてもバレそうですから、それならいっそ言っといて黙っていてもらうほうがいいでしょうから」
「いいだろう、その二人なら信用に足る人物であるな」
その後は夕食前まで会議は続けられた。ひと通り話会議が終わるとそのまま夕食会となり今は食後のティータイムをしている
「まさか生きて風の乙女様にお会い出来るとは思いませんでした」
ユーフォルディア皇女はある程度時間が経ってもまだ感動しているようだ
「ボクにはラファエルという名前があるからそっちで呼んでね。エリィのお姉ちゃんならラフィでもいいよ。皇女様」
「でしたら私の事もどうかユディとお呼びください。ラフィ様」
「まだなんか固いなぁ、それに主様は皇女様って呼んでるのにボクが呼ぶのも」
「そう言えばエルフィン様は私の事を今だに皇女様とおっしゃいますね。将来的にエリィの伴侶となる訳ですし、そうなるともう身内も同然ですわよね。エルフィン様もどうかユディとお呼びください。敬語も不要ですわ」
「それは……」
カーマインの方をチラッと見る
「私の事を気にしているなら構わんぞ?ほかの若い男ならまだしも他ならぬエルフィンならな、それに私もエリィを愛称で呼んでいるしな」
そう言ってカーマインから了承が出たので
「それでは遠慮なくユディ、これからもよろしく」
「こちらこそエルフィンさん。……エルフィンさんがエリィと婚姻を結んだらエルフィンさんは私の義弟ということになるのかしら?」
「ちょっとユディ姉様!?まだ御父様から御許しを得てませんよ!?」
「それなら大丈夫だと思うわよ?叔父様も味方になってくれたし御母様達は絶対に味方になってくれるわよ」
「そうなると俺はカーマインを義兄さんと呼ばなければならないのか?」
「やめろ!背中で虫がうごめいている感覚になる」
「それはさすがに酷くね?」
カーマインが悪寒に襲われた様に震えるのではんろんしといた
「私とエルフィンは名前を呼び捨てにできる間柄でちょうどいいんだ。その方がしがらみを感じなくて済む」
「まぁ確かに対等な関係って感じがするな」
「そういう事だ、だから今まで通りでいいんだ」
「なるほどこれが男の友情という物なのですね」
エリィにユディ、クイナとミア達ガールズが盛り上がる中ラフィだけがフルーツジュースを美味しそうに飲んでいた。
「それにしてもエル様、御苦労様でした。戦いの後ひと月も後処理が忙しかったとカーマイン様から聞いております」
俺とカーマインはギクッといった感じになる
「いや、まぁな……」
「連絡がカーマイン様からしかなかったので不安でしたが……」
「ごめんなさい!クイナさんミアちゃん!!」
急にエリィが立ち上がり頭を下げた。
「エルさんは私を助ける為に無理をしてひと月も意識がなかったんです!」
「ま、待ってエリィ……」
「…………どういう事ですか?エル様〜〜」
「説明してくれるエル兄様〜」
クイナとミアがゆら〜りとこちらを見ている。
「いや!そのだなクイナ、ミア」
「だから言った方がいいって言ったのに」
王妃様がため息混じりにそう言っている
「そんな大事な事を黙っていたのですかエルフィンさん、大切な方の状況を教えないなんてそれは怒りますよ。カーマイン様は教えてくれますよね?」
「そ、それはもちろん」
「………カーマイン様なぜ目を合わせないのですか?」
カーマインから汗がダラりと流れ出す。エルフィンは……
「エル様」「兄様」
両腕をガッチリホールドされている
「クイナ、ミア話せば分かる!だから…」
「えぇそうですね。エル様流で言うならOSHIOKIですかね?」
「覚悟してエル兄様」
「ひぃ〜」
「あっ、エリィさんは気にしなくていいですよ。無事に帰って来てくれましたから、ただ今夜は私とミーちゃんにエル様貰いますね」
「あっはい、どうぞ」
エリィにはそう言うしか選択肢がなかった
「それでは私も部屋に帰るか」
「ダメですよカーマイン様」
カーマインもユディに捕まった
「ユディも待とう、ちゃんと話そう!」
「えぇ、夜はこれからです。たっぷりと語らいましょう」
エルフィンとカーマインは逃げられないと悟る
「カーマイン…健闘を祈る」
「お前もな……」
そして、各々連行されて行く
部屋の中にはラファエルとエリィ、陛下と王妃様が取り残される
「ラフィさんどうしましょう?」
「あの状態のクイナには逆らわない方がいい」
「そうですね……」
ラフィとエリィは二人が朝には機嫌が治っているのを祈る
「近い内に孫の顔が見れるかしら?」
「カーマイン次第だな」
陛下と王妃はそんな話をしていた。
寝室へと連れていかれたエルフィンはクイナとミアからOSHIOKIを受ける。結論から言うと二人によりガッツリ搾り取られました!!




