悪夢、再び フラグP-3
翌朝、朝食を食べた後に朝市を見て回ってから女神様の神殿にお祈りに行く。入ると直ぐに神官が来て何故か女神像の前、1番いいところに案内された。
(これは前回の御布施が効いてるのか?)
「エル兄様、神殿でも何かしたの?」
(ミア、でもって何?)
「ミア、これは日頃の行いがいいからだぞ」
「…………ふーん」
(ミア絶対信じてないだろ!)
「とりあえずいい所を用意してくれたんだ。しっかりお祈りをしておこう」
ミアのジト目をスルーしてお祈りを始める
(ルナさん、二人の事全力で守りますが不測の事態の時はよろしくお願いします)
「あなたが作ったブレスレットがある限り大丈夫と思いますよ〜」
「!!」
心の中で祈ったのに返答が近くで聞こえた。これは……
「ルナさん、こんにちは」
「はい!こんにちはエルフィンさん」
目を開けると以前来た花畑に訪れていた
「今日はどうしたんですか?なにか俺に用事でも?」
「はい!実は貴方とお話がしたいとおっしゃってる方がいまして」
「俺と話がしたい?」
「呼びますね。お父様〜〜」
「は?お父様ってルナさんの父親は確かに主神じゃ!」
などと俺1人が慌てていると目の前の空間が光によって裂け中から威厳たっぷりなダンディなおじさんが出てきた
(すげぇ圧倒される!これがもしかして神気とか言うやつか!)
現れた男性からは神々しい圧が発せられていて思わず平伏しそうになる
「君がルナフレアによってあの世界に渡った者かね?」
「はい!エルフィンと言います」
相手は世界を創った神々の頂点に立つ主神、俺なんてその気になれば指一本でどうにかなる。
「君にどうしても言っておかないといけないことがあって直接こさせてもらった」
「はい!なんでしょうか」
(ヤベェ鳥肌が止まらねえ)
主神は俺の前に来ると
「この度はうちの娘がすまんかった!!」
見事なまでの90度のお辞儀を見せられた
「うっそーーー〜ん」
一先ず落ち着いて話をする事に、何故かちゃぶ台が用意され緑茶が出される。久々の緑茶うめぇぇぇ!
「本当にすまんかったのぉ、ドジな娘のせいで大変な目に遭わせて」
「最初は大変でしたが今はわりと楽しんでいるので大丈夫ですよ」
「そうか、それなら良かった。あれでも我々に恨みを持ってもおかしくない事じゃったからな」
「まぁ初めは死にかけたりしましたがそのおかげでとてもいい人に出逢い、周りにも恵まれ、今は大切に思う女性と共に暮らせてるので恨みなんてないですよ」
「ルナフレアは君も知ってるだろうが言わゆる天然と言うものでな、本人には悪気はないのだ」
「ハハッ承知しています」
俺と主神の会話を横で聞いてるルナさんは反論しながらブーたれてる。
「ところで主神様」
「ゼストだ、何かな?」
「それではゼスト様、今回呼ばれたのはこの謝罪の事だけでしょうか?」
「うむ、今回はルナフレアが君に与えた天運についてな」
「天運って確か負の感情を持った者の運命を引き寄せるってやつですか?」
確かルナさんはそんな説明をしていたはずだが
「間違ってはおらんのだが説明不足でな」
「と言いますと」
「運命を引き寄せると言うことはその者が本来たどるはずだった運命が変えられるという事でもある。死ぬはずの者が生き、生きるはずの者が死ぬそれによってその世界の未来さえも変わってしまう」
「それって結構やばいんじゃないですか!?」
「やばいと言えばやばいがそこまで深刻に考えなくてよい。簡単に言えば君が関わることにより運命に分かれ道が出来るぐらいに思ってくれ。」
「………分かれ道」
「そう分岐点に出くわした時、例えば君が初めて人助けをした商人達は君が助けなければ死んでいた。今一緒に住んでいる家族とも出会うこともなかった。しかし、助けたことにより商人達は生きることが出来て結果多くの命も救われる」
あの時ワールさん達を助けなければワールさんはもちろんガドランとそのパーティー、カーマインも助からなかったしクイナやミアとも出逢うこともなかった
「君は天運を持つことによって他人の運命を変えることができるという事、どんなに絶望的な状況でも君が行動する事で好転する可能性がある。それを覚えていてくれ」
「分かりました。俺も幸せな人生を歩きたいですし親しい人達が不幸になるのをただ見ているつもりもない。そんな不幸な運命は俺が叩き折ります!」
「頑張ってくれ、こちらとしても君には幸せな人生を送って欲しいからな。心配せずとも君の行動によって出来た運命の歪みはルナフレアが修復するから気にしなくていいよ」
「えぇぇーーーー!」
主神のゼスト様の突然の振りにルナさんが絶叫している
「そもそもルナフレアのドジで彼は死んだのだからそれぐらいはしなさい」
「………はい、お父様」
ちょっと涙目のルナさんだった
「君のおじいさん達も頑張っているから、君も頑張ってくれ」
「はい!ありがとうございます。…………じいちゃん達?」
なんでじいちゃん達の話題が出てくるんだ?
「あぁ、君の祖父母はとても優秀な魂だったからスカウトして私の下で働いてくれている。幽体でいるから見た目は2人とも若くしてあげている。それはもう君に負けず劣らずイチャイチャ楽しく仕事をしているよ。」
「なんかじいちゃんの想像が出来ない……」
「本当は会わせてあげたいけど幽体だと狭間で消滅するから連れて来れなかったんだ。代わりに伝言を預かっている。『悔いのない人生を歩みなさい』っだそうだよ」
ハハッ今度はじいちゃんらしいや
「では俺からじいちゃんに『楽しい土産話を沢山貯めてから行くからな』と伝えて下さい」
「ふふ、わかった。伝えておこう。」
そして、現世に戻る為ゼスト様とルナさんに挨拶をする
「ゼスト様、ルナさん俺はこの世界に来たこと感謝しています。有難うございます!」
「よい人生の旅路を」
「頑張って!」
二人の神が手を振り見送ってくれる。次に目を開けた時は神殿の中だった
「あっ!エル様」
「ただいま、その様子だとまた結構な時間行ってたみたいだね」
「前回と同じくらいですが…すみません取り急ぎお願いしたいことが」
そう言ってクイナは俺の反対側を見る、視線を追って反対側を見ると
「エ、エル兄様ぁぁ………」
涙目で身体を小刻みにプルプルさせ下腹部を手で押さえて訴えかけるようにこちらを見ているミアがいた
(こ、これはもしや!!)
すぐさまミアを抱きかかえて近くの神官の所に行き場所を聞いて連れて行く
「危うく大勢の前で醜態を晒すところでした……」
テンション低めのミアがつぶやいていた
「いや、すまん!ほんと、すまん!」
ミアにとにかく謝る
「神様の話がちょっと長くなってしまったんだよ」
クイナとミアが首を傾げる
「神様の話?」
「あれ?言ってなかったっけ、俺はこの腕輪を媒介に女神様と会話ができるんだ」
「「!!!…………」」
漆黒の腕輪をトントンと叩いて説明する。
人ってやっぱり驚きすぎると言葉を失うんだね
「「聞いてないです!!」」
怒られました。ごめんなさい…………
出た所に場所を教えてくれた神官がいたので御礼をいい今日も御布施を渡す。騒がせたので少し多めに包んである。ついでなのでなんであんないい場所に案内されたのか聞くと俺がつけてる水龍のシャロンさんから貰った水晶の指輪が原因だった。優れた神官は神様の発する神気を感じ取ることができるらしく俺の指輪からそれを感じ水龍様の青水晶の指輪だったから敬意を表して案内したとの事でした。
(お金だろうなと俗物な考えをしてすみませんでしたーーーー!!!)
神殿でのお祈りを終えたてからは明日の出発に備えて家で準備を整えて事にする。クイナとミアは作り置き用の料理を、俺は錬金術で回復薬系の精製に取り掛かる。そして、夕方夕食を食べた後…
「クイナ、ミアちょっといいか?」
「はい、なんでしょう」
「どうしたの兄様?」
「二人にこれを渡しとくよ」
「わぁっ綺麗!」
「可愛い!」
クイナとミアにある物を渡す
「これ、アイテムポーチですか?サクラ柄が綺麗」
「私のはヒマワリだ!お姉ちゃん」
「既に中には回復薬を入れてある。二人にはブレスレットがあるから大丈夫だが一応入れておく。それとこれも」
ピンポン玉サイズのガラス玉を出して見せる
「エル兄様これなぁに?」
「見た感じはガラス玉に見えますが?」
「それは緊急信号用の物だ」
「「緊急信号??」」
机の上に転がしているガラス玉をひとつ取り
「これを地面なんかに投げつけて割ればその信号が俺へと届く。もしも俺が離れている時に何かあれば躊躇なくそれを割れ。直ぐに駆けつける」
「わかりました」
「はーい!」
「容量はかなり入るようにしてあるから着替えと自分で必要そうな物があれば入れておきなさい」
その後は各々持っていくものを準備してからお風呂に入る。明日は日の出と共に出発となるので早めの就寝となった。
そして、翌朝指定された場所に行くと既に何人か来ていた、その中には…
「よぉ!エルフィンちゃんと起きてきたか!」
「おはようガドラン、お前こそ時間前に来れたんだな」
「当たり前だ!」
ドヤ顔のガドランだが歩いてきたキサラさんがその頭を勢いよくしばいた
「何言ってるのよ!私が起こさなければ寝坊してたでしょ!」
(キサラさん…その握りしめた拳から察するにグーでいったんですか)
「悪かったよ!キサラ」
「おはようございますキサラさん」
「おはようございますエルフィンさん、それにクイナさんミアちゃん」
「「おはようございます!」」
「もうすみません!うちのバカ亭主が」
「なんだい?また大剣バカがなにかしたのかい」
ガドランとキサラさんが夫婦漫才をしていると魔法剣士のカリアさんが現れた
「おはようございますカリアさん」
「おはようエルフィン坊や」
「オイ!カリア、さすがに坊やはないだろう」
「俺は気にしないぞ?経験からしたらそれぐらいは差があるだろ」
「お前がいいならいいが、実際には歳もひと回りくらい違うしそろそろ《魔剣姫》の姫の部分も苦し…グハァッ!」
ガドランが余計な事を口走っていると両サイドからボディーブローが炸裂する
「ガドラン!アンタはひと言多い!!」
「アナタ!女性になんてこと言うの!」
キサラさんとカリアさんの絶妙なパンチがガドランの腹へと打ち込まれた
「エ、エ…ルフィン、治してくれ」
「今のはガドランの自業自得」
「グッ無念」
ガドランが崩れる
「随分賑やかだな」
「あっおはようございますアルフィードさん」
「おはようエルフィン君」
他の人達も挨拶をし始める
「荷物の積み込みが終わり次第、出発しようか」
「あれ?ルドルフさんが来てないですよ」
「あぁ彼には追加の荷物や近隣から集まる掃除屋を率いてもらうために1日遅れで出発してもらうことになった。」
「あっそうなんですか、ところで目的地は1日半かかるんでしたっけ?」
「うん、そうだね。人数も多いし物資も運ぶから明日の夕方頃にはつく予定だよ」
「りょーかい!」
そして、第一便のメンバーが集まり荷物を積み終えたので出発する
「ガドラン、気をつけてね」
「おお!心配するな。来月には子供の誕生日があるんだ、ちゃんと祝ってやらんとな!」
「………ガドランそれ、死亡運命」
「なぬ!」
「そんなこと言ってると本の中みたいに死んじゃうぞ?キサラさん、ガドランがドジらない限り俺が治しますから」
「お願いしますねエルフィンさん。この人、殺しても死なないと思うけどドジなところあるから」
「………なぁ最近二人共俺の扱い酷くない?」
みんなで笑うのだった………
王都を出発した俺達は目的地に向かって出発する。その日は問題もなく進み辺りが暗くなる前に野営の準備をする事となった。そして、ワールさんにものすごく感謝した。なぜなら
「エル兄様……テント買わなかったら私達あれで寝る事になってたんだね」
ギルドから配られたテントを組み立てる掃除屋を見てミアがつぶやいていた。言いたいことはわかる、なんせ見た目が元いた世界の河川敷なんかでたまに見る手作りテントまんまだから
「ワールさんに御礼を言わないとな…」
俺はワールさんのところでもらったテントを組み立ながらそう思った。今はクイナとミアが夕食の準備をして俺がテントを組み立てている。このテントかなり高性能で組み立てると魔法陣が構築されテント内の温度調節をしてくれる優れ物である。そして、組み立て終えた頃来客が有った
「とてもいい匂いがしてるね」
「アルフィードさん!どうしたんですか?」
「エルフィン君に御礼と謝罪をね」
「御礼と謝罪?」
「まずはひと月近く依頼制限をかけてすまなかった、そして、今回の依頼を受けてくれてありがとう」
そう言って頭を下げる
「気にしないで下さい。王都に住む者として当然ですし、元々ひと月は遠出しないつもりでしたから」
そう言うとアルフィードさんはにっと笑い
「それは例の女性の事でかな?」
「ブッ!!」
思わず吹いてしまった
「やっぱりアルフィードさんの耳にも入ってるんですね」
「ハハッ情報収集が得意なのは商人達だけじゃないよ」
「この世界に個人情報保護は?」
「一応あるけど有名になるとどうしても広がるよ。私としては応援してるけどランクアップは厳正に審査するからね」
「それは当然です。胸を張って彼女を迎えたいしクイナ達に恥ずかし所は見せたくない」
クイナとミアを見ると2人共こちらを見て微笑んでいた
「それじゃ食事の邪魔になるから自分のテントに戻るよ」
「あっアルフィードさんついでに一緒に食べません?二人の料理は絶品ですよ!クイナ、ミアいいよな?」
「もちろんです!」
「いいよ!」
「ではお言葉に甘えようか、………これは言わゆる賄賂というやつかい?」
「何を言いますギルドマスター様、これは日頃の感謝というやつですよ」
悪代官と越後屋みたいなノリで冗談を言い合った。アルフィードさんと談笑している内に料理が出来上がりみんなで食べる
「へぇ本当に美味しいねぇ」
「でしょ!」
「お口にあった様で良かったです」
「今更ですけど俺はエルフの人は野菜とかしか食べないのかと思ってました」
「確かに自然の食材を好むけど他のは食べれないってことはないし私の場合、掃除屋だったからね、長期の依頼の時なんか贅沢は言えないしね。だから美味しい料理はとても嬉しいよ」
そう言って料理を口へと運んでいる。
「それにこの飲み物エルフィン君が作ったというフルーツジュースこれも良いね。自然の恵みの飲み物だから栄養価も良さそうだし」
「気に入ってもらったようで………」
そう言いながら俺もジュースの入ったコップを持っていると
「………ん?」
なにかの気配を感じ横を見るとそこには
「どわっ!ビックリした。何これ?」
「どうしました?エル様」
俺の横をソフトボールぐらいの光る毛玉みたいなのが浮いている
「いや、これっ!俺の横を浮いているやつ」
「?何もいないよエル兄様」
「はい?」
(えっ俺しか見えてないの!もしかして人魂?!)
俺がプチパニックを起こしているとアルフィードさんが
「………驚いたな、エルフィン君にはそれが見えるんだね」
「アルフィードさんにも見えるんですか?!これはなんなんですか?!」
光る物体を指差して尋ねる
「それは精霊の幼体……波長からして風の精霊の子供だね」
「精霊の子供?!」
「たぶん、エルフィン君の波長と相性が良かったのとジュースの自然な甘い匂いに誘われてきたんだと思う」
光る毛玉は俺の周りをふよふよ飛んでいるのでコップ近づけ
「………飲むか?」
すると徐々に近づいてコップの縁にとまるとほんの少しずつジュースが減っていく
「精霊ってこんなに人懐っこいもんなんですか?」
「いや、私も今ビックリしているところだよ。基本姿自体人前には出さないから」
「ところでなんでクイナ達には見えなくて俺とアルフィードさんには見えてるんですか?」
精霊が見えてないクイナとミアはどうにか見えないかとジーーとこちらを凝視している
「私達エルフは元々自然と共に生きてきたから昔から精霊と関わりが深いし私は精霊術士だからそういう存在を視認しやすいんだ。エルフィン君はおそろく風の精霊と相性が良かったのとその子自身が君を気に入ったんだろう」
「気に入った何を!?」
「さっきも言ったけど波長が合うんだろう、ここまで懐いてるなら契約できるかも。試してみる?」
「契約?どうやって」
「手を広げて契約してくれるか聞いてみて、了承なら乗ってくるよ」
そう言われコップを持ってない手を広げてから
「風の精霊さん俺と契約してくれますか?」
するとコップの縁にとまっていた精霊が手のひらに乗り光り出す
「ちょ、アルフィードさんどうするですか!」
「その子に名前を付けてあげて」
(名前!急に言われても)
名前か…と不意になんにしようと考えたら前世の時に聞いたある天使の名前が浮かんだ。確かゲームとかでも風属性の天使と書かれ治癒とか癒しを司っていたはず
「よし!なら君の名前は『ラファエル』だ!」
そう宣言すると光は徐々に収縮し始めだし形を生していく、そして、
「ボクハ、ラファエル!」
そこには20センチ程の背丈をし背中に白い鳥の羽の様なものを付けた緑色の髪をしたショートカットの人型の精霊がいた
「マスター、ボク、ラファエル!ヨロシクネ」
「あぁよろしく!」
手の指を出して握手をする
「アルフィードさんこれで契約成立ですか?」
っとアルフィードさんの方を見ると初めて見るくらい目を点にして驚いている。てかこんな表情するんだ
「アルフィードさん!」
「はっ!すまない。あまりの事に呆けてしまった」
アルフィードさんは顔を軽く横に振ると
「まさか、契約した瞬間に下級精霊に進化するとは……」
「えっ、契約したらこうなるんじゃ?」
「いや、普通は契約したぐらいじゃ進化しないよ。私の契約した精霊も下級精霊になるのに50年はかかったし。それに人型とは」
「普通は人型じゃないんですか」
「普通は動物の形をしているね。私の精霊は鳥と猫型だし。エルフィン君契約の時にどれだけ魔力を与えた?」
「えっ与えたというか、全体の半分くらいは抜かれたかな」
「せ、精霊を進化させるほどの魔力を与えて半分……エルフィン君はものすごい魔力量を保有しているみたいだね」
「なぜ人型なんです?」
「上級精霊になると人型が多いんだけど下級精霊の段階ですでに人型になっているのは聞かないな。おそらくエルフィン君の想像が反映されたと思うけど」
(あぁ確かに天使を想像しながら名前をつけました)
っとまぁそんな話をしていると
「もう!エル兄様!私も精霊さん見たい!」
しびれを切らしたミアが駄々をこねだした、それをクイナが抑えている
「アルフィードさん二人に見せられないですか?」
「精霊に頼んでみてごらん」
俺は俺の周りをグルグル回っていた風の精霊に頼みかける
「ラファエル、あそこの二人に姿を見せることはできる?」
「アノ、フタリノ、オネイチャン?ダイジョウブ!マカセテ、マスター!」
ラファエルは二人の所に行きその周りをグルグル周りだす、二人から少し光がさすと
「うわぁー!この子が精霊さんなんですね!兄様!」
「とっても可愛いですねエル様」
精霊を初めて見たクイナとミアは感動していた
「アルフィードさん、この子ボクって言ってますけど男の子なんですか?」
「下級精霊の段階だと性別はなく中性的な存在だよ。上級精霊になるとその辺がハッキリしてくるらしいけど私も上級精霊には会ったことがないから」
「そうなんですか」
「一応、精霊の事は信用できる人以外は内緒にしておくようにね。人種が精霊を使役しているとわかると大騒ぎだから」
「分かりました。でもクイナ達には見えた方がいいよなぁ。ラファエル、その二人にはこれからも姿が見えるようにできる?」
「ソコノヒト、ミタイナメヲ、モッテナケレバ、デキル」
「じゃぁ頼む」
「ウン、ワカッタ!マスター」
すると魔力の様なものが繋がっていく
「デキタ!マスター」
「ありがとう、疲れてないか?大変じゃないか?」
「ダイジョウブ!フタリ、マスターノツヨイニオイ、スル!ワカリヤスイ」
匂いという単語にクイナとミアが反応し何故か自分の身体を匂い出す
「ソト、チガウ。ウチガワ、カラ、ニオイスル」
すると二人はみるみる顔を赤く染めていくのだった
「さてとエルフィン君、少し精霊について説明しとくね」
「あっお願いします」
「精霊には四属性あって風、水、土、火がある。彼らは普段自由にしているけど力を貸してほしい時にはその属性物を経由して来てくれる」
「属性物がない時はどうしたらいいんですか?」
「風は空気があればいいし土は岩とかでも大丈夫、水と火がない時は魔法で出してその後呼んでもいい、精霊と契約できる時点で魔法の才能はあるからね」
アルフィードさんから説明を受けているとラファエルが飛んで来て
「マスター、ボク、マスタータチト、イッショニイテイイ?」
「ん?それは俺達と一緒に行動するという事か?」
「ウン!ダメ?」
「ダメじゃないよ。ラファエルが一緒に居たいなら一緒にいよう」
「ヤッター!」
ラファエルは大喜びで飛び回っている
「そう言えば彼等って何を食べるんですか?」
「幼体の時は樹液や花の蜜を食べるけど下級精霊になるとそれに加えて果物何かを食べるよ」
「マスター、ボク、サッキノアマイノミモノガイイ!」
「さっきのってフルーツジュースの事か?」
「アマクテ、エイヨウガアッテ、オイシイ!」
(収納にストックはまだあるし果物も入れてるからこの依頼中は足りるかな)
「わかった、ラファエルのご飯はあのジュースにしようか、もしも味に飽きたら言ってくれ配分を変えて違う味にするから」
「ハーイ!アリガトウ、マスター!」
「説明の続きだけど精霊はその属性の魔法使う補助をしてくれる、つまり少ない魔力で高威力の魔法が放てる、ただそれには精霊にしっかりとした魔法のイメージを送らなければならない」
「どうやるんです?」
「契約した時点で道が出来てるから自分がどういう魔法を使うか明確にしておけば精霊がそれを読み取って補助してくれる」
「精霊と契約しても魔法を使う本人がへっぽこじゃ宝の持ち腐れって事か」
「まぁそういう事だね」
その後も精霊についての説明を受けたら明日も早めに出発するのでクイナとミア、そして新しい仲間……いや、家族を迎えた寝るのだった




