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王城でダンスパーティー フラグP-4

カーマインの婚約発表パーティーが無事に終わり、エリィの気持ちを知る事が出来た次の日の朝


「クイナさんや()()どうしましょう?」


「えっと……どうしましょうか」


朝起きたらミアが俺の腕をギュッと抱き枕の様に掴んで離さない。まだ昨日の疲れがあるのかなかなか起きない。そのうちクイナが起きて今の状況である


「昨日はよっぽど疲れたんだな、朝食まで時間はまだあるしもう少し寝かせとくか」


「そうですね、では私はすぐに着替えれる様にしときますね」


「悪いけど頼む」


そして、しばらくたった頃ミアも起きた


「う、ん〜、……エル兄様?」


「おはようミア」


「おはようございます……あれ?」


ミアは自分がエルフィンの腕に抱きついているのに気が付き


「ヒミァ?!」


顔を紅くして素早く腕を離す


「別に恥ずかしがらんでもいいのに」


可愛い猫耳のついた頭をなでなでする


「もうすぐ朝食だから起きて着替えよう」


俺はベッドから出てクイナが用意してくれてた服がある方に向かう


「私、もうすぐ大人の女性の仲間入りなのに子供扱い………エル兄様の馬鹿……」


ベッドの上で誰にも聞こえないようにつぶやくミアだったが、同じ獣人のクイナには聞こえていた様でニコニコしている。その事にミアは全然気づいてなかったのである。


準備を整えていつもの様に朝食を食べに行くとエリィがどんよりしていた


「うおっ!エリィどうした?」


「………エルさん達、今日帰られるんですよね」


(あぁそういう事か)


「まぁそうだな。家の改装をワールさんに任せっきりで完成見てないし、ギルドにも顔を出さないといけないし」


「そうですよね………」


さらに気落ちしてしまった


「だったらエリィが家に遊びに来るか?」


「え?」


「俺はギルドの依頼を受けてランクアップをしないといけないが基本家にはクイナとミアがいるからな。王城からそんなに遠くないし」


「確かに魅力的ですが私だけでは……」


「エルフィンさすがにそれは難しいぞ」


カーマインが話に入ってきた


「一国の皇女を送るだけで最低一個騎士団護衛につけないといけなくなる」


「王都の中だから安全だろ」


「そういう訳にもいかん、もし何かあったら取り返しがつかんから」


「何かってどこかの馬鹿が襲うとかなら大丈夫だぞ、エリィにあげたブレスレットには亜竜クラスが攻撃してもビクともしない対物・対魔障壁を付与してあるから」


「ちょっと待て、亜竜クラスだと魔物ランクが最低でもAクラスだったはずだが」


「結構本気で付与したからな!じいちゃんと暮らしてた森で実証済みだしブレスレットは本人以外はずせない上に所有者が認めた者以外付けれないようにしてある」


カーマインが頭を抱えだした


「色々と突っ込みたいがまず何個付与してあるんだ?」


「対物・対魔障壁、劣化防止、耐性強化、毒浄化、盗難防止の5つかな」


「普通三つ付いたら最高級品なんだが」


「いやっお前達に渡したペアネックレスにも同じ付与してあるぞ」


(もちろんクイナとミアにも)


皇女二人はお互いのネックレスとブレスレットを見せ合いっこしている


「……すでに国宝級以上の物を身に付けていたのか、父上達も作って貰ったらどうですか」


ちょうどやって来た国王陛下と王妃にカーマインが話を振っている


「便利な物であるが頼りすぎるのも良くない、特に余の様な立場の者が付ければそれを護衛する者にも油断が出てしまうそれでは騎士団や兵士達の練度も落ちていくだろう。だからカーマイン達も付けているのは構わんが付与の内容は伏せておくように」


「分かりました。父上」


「陛下、俺やりすぎました?」


「少しな、だが道具が悪いわけではない。命を守る物だからな、それにやりすぎは今に始まったわけでもあるまい。お主の祖父も大概じゃったしのう」


俺と国王陛下達で話していると


「あの、お話に割り込んで申し訳ありませんがエルフィンさんのお爺様は有名な方なのですか?」


俺達の話を横で聞いていたユーフォルディア皇女が聞いてきた、エリィも知りたそうにしている


「二人はまだ知らなかったのか?エルフィンの祖父は英雄ミハエル・リッパーじゃよ」


陛下の言葉に皇女二人は驚きで一瞬固まる


「えっ!英雄ミハエル様と言うと『嵐の追跡者(ストーム・チェイサー)』のですか」


「何その物騒な呼び名」


ユーフォルディア皇女の言葉に思わず反応する、それに陛下が


「ミハエルの二つ名でな、狙った者は逃がさないことと、あやつは元々風系統の魔法が得意だったからなそれでそう呼ばれるようになった」


「そうですか……」


「まぁ積もる話もあるだろうがそろそろ朝食にしよう、あまり待たせては料理も冷めてしまうぞ」


その後はみんなで朝食を取り話を交わす、公務で忙しい陛下と王妃には今のうちに挨拶を済ませておく。

そして、部屋に戻り荷物をまとめ玄関ホールに行くとカーマインとユーフォルディア姫、エリィが待っていた


「エルフィン、いつでも来ていいからな」


「そんなこと言ってるとまたすぐ来ることになりそうだな」


「かもな!」


カーマインとふざけ合っていると


「エルフィン様この度は本当にありがとうございました。本国の父上も機会があれば直接お礼をしたいと申しておりましたのでその時には改めて場を設けさせて頂きます」


「当然の事をしただけなので気になさらずに、それにカーマインの嫁さんを助けられたのはよかったです。まぁそのおかげでエリィとも知り会えたわけですしね」


エリィの方を向くと若干顔が紅い


「あっ、そうだエリィ少しいいか?」


「はい、なんですかエルさん?」


二人で少し離れた場所に行き話す


「実は5日後――――」


防音障壁を張ってクイナやミアに聞こえないように伝える


「エル兄様何を話しているいるのかなお姉ちゃん?」


「さぁなんでしょう」


クイナはなんの事か分かっているがあえてとぼける


「??」


ミアは不思議がっているが


「分かりました。その日を待っています」


「あっ、終わったみたい」


エルフィンがクイナ達の元に帰ってくる


「我が家に帰りますか、カーマインにユーフォルディア姫、エリィまたな」


エリィ達に別れを言い一旦家に帰る、中に入ると古くなっていた魔法具が新しい物に変わっている、2階の寝室は大きくて綺麗なベッドがあり室内も広くなっていた


「このベッドだと2,3人で寝ても余裕があるな」


「ふぇっ!」


「どうした?ミア」


急にミアが大きな声をあげる


「な、なんでもないです!なんでも!」


「そ、そうか」


ミアが慌てているがこれ以上つつくと余計混乱しそうなので流す、そしてクスクス笑うクイナ

とりあえずしばらく家を空けていたので食料品を買うのとギルドにこの前の報酬を貰いに行く。ギルドに行くといつも通りミミさんがカウンターに居た


「ちわ〜す、ミミさん」


「いらっしゃいです。エルフィンさんそれにクイナちゃん、それから……その子がミアちゃん?」


「は、初めましてミアです」


クイナが頭を下げて挨拶しミアがその横で自己紹介をした


「初めましてギルド受付嬢のミルミナです。ミミって呼んでね」


「はい、ミミお姉ちゃんよろしくお願いします」


するとミミさんが一瞬身体をブワッと震わせ


「いや〜ん!かわいい!?エルフィンさんこの子私にくださいな」


「ダメに決まってるでしょ!」


「……さてと冗談はさておき」


いやっミルミナさん今アンタ目が本気だったろ


「前回の報酬の受け取りでいいですか?」


「えぇお願いします。間があいてしまいすみません」


「お城から連絡がありましたから大丈夫ですよ」


そう言いながら机から書類を取り出し記入していく


「ではエルフィンさん報酬を用意するのでギルドカードの提出を、待つ間にこちらに記入をお願いします。ミアちゃんの正式な所有者を登録します」


「分かりました」


ギルドカードをミミさんに渡し用意された書類に記入していく。書き終わる頃にミミさんが戻ってきた


「こちらが今回の報酬金になります、それと言われていた魔石と素材がこちらになるのですが保存の効かない物に関してはこちらで売却させていただきました。申し訳ございません」


「それは仕方ないですね。むしろ無駄にならずに済んだだけ良しとしましょう」


「ありがとうございます。それから今回の依頼達成でランクアップしまして本日よりエルフィンさんはBランクとなります」


「………は?」


「Bランクです。おめでとうございます」


ミミさんが手をパチパチしてくれている。後ろではクイナとミアも「凄いです」と喜んでいる


「いやっミミさん俺CランクになったばかりでもうBランクですか!」


「パーティークエストを1人でこなした上、討伐数も通常より多いですからむしろ上がらない方がおかしいですからね」


ジト目で見られた


「あっはい、すみません」


「ではこちらになります。それとエルフィンさんギルドマスターからなのですが」


「なんですか?」


「1ヶ月程はなるべく王都にいて欲しいとの事です。依頼も近郊のものを選び連絡が取れるようにして欲しいそうです」


「別にいいけど、何かあったんですか?」


「まだ調査中なので詳しい事はお話できませんがエルフィンさんにも手を貸していただくかもしれないのでお願いします」


(元々エリィが帰るまでは遠出はしないつもりだしいいか……)


「分かりました、何かあったら家に連絡をしてください。俺が居なくても家にはクイナとミアが居ますから、3人とも居なければ買い物か食事に出ているだけで王都にはいますから」


「はい、承知しました」


話が終わり報酬とギルドカードを受け取る


「…………」


「どうしました?エル様」


俺が無言で辺りを見回すので不思議がってクイナが聞いてくる


「いつもならそろそろ馬鹿が絡んで来きそうかなと思ったけど今日は大丈夫そうだな」


「……あ〜」


クイナは前にギルドに来た時のことを思い出したようで苦笑いしている。ミアは頭の上に?マークを出している


「邪魔が入らないのはいい事だ。買い物に行くか」


そのまま3人で買い物をするついでにワールさんの商会に行く。タイミングよくワールさんもいた


「ワールさんこんにちは」


「おおエルフィンさんいらっしゃいませ、お部屋の方はご覧になられましたか?」


「ええ、良い感じでバッチリでした」


「それは良かったです。今日はどうされましたか?何かいる物でも?」


「食料品何かを買いに」


「ではウチの従業員に案内させましょう」


ワールさんが従業員を呼んでいる


「クイナ、ミア食料品を揃えてくれる?」


「「はい」」


クイナ達は食料品がある所に行く


「ワールさんお願いしたいことが―――」


ワールさんと奥の方に入っていく。数分後、


「クイナ、ミア揃った?」


「はいコチラは大丈夫です」


「じゃぁクイナはワールさんについて行って、()()()()を用意して貰ったから選んどいて。」


「!はい、分かりました」


クイナはワールさんと奥の部屋に


「ミアは俺と錬金術の材料を見てくれるか?」


「はい、エル兄様」


ミアは特に勘ぐることなく俺と一緒に錬金術の材料が置いてある所に来てくれた。セーフ!

その後、クイナが選んだ物は収納(ストレージ)にその他はアイテム鞄にしまいワールさんの店を出て家に帰る。夜まではいつもの様に過ごしミアは自分の部屋に戻り俺とクイナも寝室に入る


「さてクイナ、ミアにバレないように()()に取り掛かろう」


「はい!」


イベント日まで夜な夜な作業を進めるのだった。レストランの予約をして席を確保し準備を整えて当日のお昼頃に外から帰り


「お〜い、クイナ、ミア!今日エリィが時間が取れるって言うから皆で外に食事に行こう」


「良いですね!ねぇミーちゃん」


「うん」


ミアは普段通りにしている、よしっ気づいてないな

夕方、王城にエリィを迎えに行くと


「あっ、エルさん!」


フード付きのコートを着たエリィが門の所で待っていた


「エリィ、待たせた?」


「いえ大丈夫です、門兵さんがこちらに向かってるエルさんに気づいて教えてくださいました」


「そうか。にしてもよく1人での外出を許してくれてな」


「それに関しては王太子殿下が『エルフィンより優秀な護衛がいるなら紹介してくれ』との事です」


「なるほどね。まぁ騒ぎになっても困るし、レストランに着くまではフードをかぶったままで行こうか」


「そうですね、エルさん、クイナさんミアちゃん今日はよろしくお願いします」


「おう!」「はい!エリィさん」「よろしくお願いします皇女様」


4人で仲良くレストランに向かう。レストランの前に着くなりエリィが


「エルさん、よくここの予約取れましたね」


「なんで?」


「確かこのレストランは王都で1番有名なレストランだったはずですが」


「そうなの?これ見せたらすぐに取ってくれたぞ」


懐から以前渡されたワッペンみたいな物をエリィに見せる


「それ!もしかして優遇証明書ですか」


「何それ?」


「それを持ってるだけでレストランで優先的に扱ってもらえると聞きました」


「初めて行った時の帰りに貰ったものなんだけどなぁ」


「貴族の方でも持っているのは数人と聞いたのですが」


「まぁこれのおかげで得をしたと思って早速入ろう」


皆でレストランの中に入るとスタッフが近づいて来てた


「いらっしゃいませ」


「予約していたエルフィンです」


ワッペンを見せながら名前を言う


「はい、少々お待ちくださいませ」


スタッフが奥に行くとすぐに以前ワッペンを渡してきた上役らしきスタッフが出てきた


「お待ちしておりましたエルフィン様」


一礼した後、エリィの方を見て一瞬驚いた顔をするがすぐに直し


「それでは個室の方に御案内致します」


前と同じ個室へと案内される


「エリィ、ここまで来ればフードとっても大丈夫だろう」


「そうですね」


エリィがコートを脱ぐと綺麗なエメラルドグリーンの髪が現れる。案内したスタッフとは別のスタッフが驚いているが先程のスタッフに何か言われ冷静になりエリィのコートを受け取って服掛けに掛けていた。


「それでは()()が整い次第料理をお運び致します」


「よろしくお願いします」


スタッフが部屋から出て行く


「ミアはここ初めてだろうけどエリィは?」


「私も初めてですね。王都に来る時はほとんど王城にいましたから」


「まぁ隣国の皇女が王都をぶらついてたら大騒ぎになるか」


「それにしても個室を予約できるなんて凄いです」


「そうか?前も個室で食事したけど、なぁクイナ」


クイナに話をふる


「あの時はエル様が何かなさったからではないですか?」


「はて?なんの事やら」


「料理がとても美味しいと聞いておりますのでとても楽しみです。ねぇミアちゃん」


「は、はい!皇女様」


エリィに話かけられたからか緊張している。その様子を見てエリィは


「ねぇミアちゃん、ミアちゃんにも私の事エリィと呼んで欲しいなぁ」


「えっ!でも私なんかがそんな」


「エルさんもクイナさんも呼んでくれてるのにミアちゃんだけ呼んでくれないとお姉さん距離を感じて寂しいなぁ」


エリィがミアの方をチラチラ見ながら困ったような表情をする


「うっ、その、えっとエリィ……お姉ちゃん」


「………!!」


エリィはミアの方へフラフラと近づいて行きそして


「ミアちゃん可愛い!お姉さん嬉しい!!」


ミアの頭を思っいきり抱きしめている。


「ちょっとエリィお姉ちゃん?何も見えない!」


(うん、これは丁度いい)


俺は密かに()()()()()

エリィとミアは


「私、妹がいないからとても新鮮で嬉しい!これからもそう呼んでね」


「えっ!いいのかな……」


「私がいいと言ってるのだからいいの!」


なんかエリィのテンションが高い、二人が盛り上がったている間に()()は進む


そして、


「エリィ、ミアを離していいぞ」


「名残惜しいですが仕方ありません」


そう言ってエリィはミアを離す、ミアは急に離されて目をしょぼしょぼさせている。視界が元に戻った時


「…………え?」


そこにはテーブルいっぱいの料理に中央にはミアの名前の入ったケーキが置かれている。ミアは三人の顔を見渡し


「え、これって」


「ミア」「ミーちゃん」「ミアちゃん」


「「「誕生日おめでとう!!!」」」


3人で拍手をして御祝いする


「エル兄様どうして知って、もしかしてクイナお姉ちゃん?!」


「ごめんねミーちゃん、でもこういうのは黙ってたらダメ」


「そうだぞ、家族の記念日を祝えないなんて寂しいぞ」


ミアの目じりに涙が溜まる


「でも私奴隷だし」


「奴隷である前にミアは俺達の家族だ」


ミアは嬉しさのあまり涙がこぼれる


「でも……でも!」


「ミアちゃんこういう時は素直にならないとダメよ。それに私もエルさんクイナさんもミアちゃんの記念すべき日を御祝いしたいの」


エリィがミアを諭すように話す


「うん……うん!エル兄様、クイナお姉ちゃん、エリィお姉ちゃん」


ミアはとびっきりの笑顔で


「ありがとう!!!」


「おう!クイナから聞いたミアの好きな物を用意してもらったから気にせず好きなだけ食べな、今日の主役はミアだ!」


始めは遠慮していたミアも今は自分の誕生日を心から楽しんでいる。用意された料理をほうばりながらその味を堪能している。

そして、本命の誕生日ケーキを切り分けたら


「それじゃぁミア!俺達からの誕生日プレゼントだ!」


3人が懐から各々プレゼントを取り出す。最初にエリィから


「まず私からはこれね」


ミアに箱を渡す


「開けてもいい?エリィお姉ちゃん」


「えぇどうぞ」


中を開けると


「うわぁ綺麗!」


そこにはレース編みの様な形のリボンが入っていた


「エルさんからミアちゃんの誕生日を教えられて高価なプレゼントだと気が引けちゃうから私の趣味の編み物でリボンを作ってみたの、皇国でのみ作られている糸と伝統技法で作ったこの世でたった一つのリボンよ」


「わぁありがとうエリィお姉ちゃん!さっそく付けてみていい?」


「もちろん!なら私が付けたあげる」


エリィは立ち上がりミアからリボンを受け取ると髪を結ってあげる


「エル兄様!クイナお姉ちゃんどう?」


「とっても似合ってるぞ」


「ミーちゃんとても可愛い!」


「えへへっ」


エリィの方を笑顔で見ている


「次は私ね!」


次にクイナがプレゼントを渡す。エリィと同じ様に聞いて中を開ける


「綺麗なハンカチ!」


「素材を1から縫い合わせてミーちゃんだけのハンカチを作ってみたの喜んでくれたら嬉しいなぁ」


渡されたハンカチはまるで貴族が持ってそうなほど綺麗で刺繍が入り高級品の様になっている


「ありがとうクイナお姉ちゃん!とても嬉しい!」


「よしっ最後は俺な」


ミアにプレゼントを渡す。中には…


「これって……」


「ワールさんの商会にある物を参考にミアだけの為に作った耳飾りだ。耳に穴を開けなくても付けられるように作ったから……付けてみるか?」


「うん!!」


ミアの可愛いケモ耳に耳飾りをつけてやる


「どうだ?違和感とかないか?」


「うん、大丈夫!クイナお姉ちゃん、エリィお姉ちゃんどう?」


耳飾りを付けたミアは2人に感想を聞いている


「ミーちゃんとっても似合ってる」


「えぇ大人の女性って感じね」


「大人の女性………あっ」


ミアが俺の方に振り向く


「ミア、成人おめでとう」


「ありがとう兄様!!」


そう言いながら抱きついてくる


「あら、ミアちゃん羨ましい」


「そうね、でも今日はミーちゃんが主役だから大目に見ましょう」


「そうですね、私達はまた別の機会に」


クイナとエリィがミアを見ながらにこやかに話している


「よしっお待ちかねのケーキを食べようか」


食事の最後に皆でケーキを食べる


「甘〜い、美味しい!」


「ほんととても美味しいですね」


ミアとエリィがケーキを美味しそうに食べる


「良かったなクイナ、こんなに美味しそうに食べて貰えて」


「はい!作った甲斐がありました」


「えっ!これクイナお姉ちゃんの手作り!」


「あぁそうだぞ」


「いつの間に作ったの」


ミアは驚きながらもケーキを食べる手が止まらない


「クイナさんとても美味しいですよ」


「ありがとうエリィさん、昨日の夜ミーちゃんが寝たあとエル様に手伝って貰いながら作りました」


「で、それを俺の収納(ストレージ)に入れていたという訳」


「あぁなるほど〜」


ミアが納得している中、エリィが


「あのう、収納(ストレージ)とは?」


「あぁエリィにはまだ話してなかったな、俺には固有能力(ユニークスキル)という物がいくつかあってその内の1つが収納(ストレージ)、生き物以外なら入れることができて中に入れてる間は時間経過がないんだ」


「へぇ凄いですね」


「思ったより驚かないな」


「エルさんならもうなんでもありかなっと」


「うっ、ヒドイ」


そうしてみんなで笑いケーキを食べるのだった


「そういえばエリィはあとどれ位こっちにいられるんだ?」


「そうですね、あと20日ほどですね」


「来た時と同じ道で帰るのか?」


「いえ、出立2日前には国の方から護衛の騎士と報告のため皇都に戻ったジュリアンが来るようになっています。その後北東の道ではなく南東の方から帰ります。遠回りになりますが道すがら街や砦に寄って労いながら戻るのと、ある人に会いに行こうかと」


「ある人?」


「皇都から南東にある砦に叔父様……お父様の弟にあたる人が砦の指揮を取っていらっしゃるのですがその方に私とエルさんの仲について味方になってもらおうかと思いまして」


「大丈夫なのか?」


砦といやぁ戦う為のものだし危険では、と考えていたのがわかったのかエリィは


「護衛にジュリアン率いる騎士団が同行しますし連邦の軍事拠点からは離れているので大丈夫ですよ」


「ならいいんだが……あまり無理はするなよ」


「はい!分かりました。エルさんもランクアップで無理しないでくださいね」


「あぁわかった。約束する」


「では私も約束します」


未来の為、無茶をしない事を二人で約束する


「エリィが皇国に帰るまでまだ日にちがあるしエリィの時間がある時にまたみんなで楽しむか」


「それはいい考えですね。エル様」


「えぇ楽しみです。エルさん」


「うん!!兄様」


三人も賛同してくれた。俺達がエリィの日程に合わせれば時間は作れるだろう。


「さてと料理も食べ終えていい時間だしお開きにしますか、あまり遅くなるとエリィの事城の人達が心配しだしたらいけないし」


「エルさんが一緒なのを知ってますのでその心配はないと思いますが確かに暗くなってきたので仕方ありません。楽しみは後に取っときましょう」


席を立ち上がった時ミアが俺たち三人の前に来て笑顔を浮かべ


「エル兄様、クイナお姉ちゃん、エリィお姉ちゃん今日は本当にありがとうございました!とても楽しい誕生日になりました」


俺はクイナとエリィ二人と顔を見合せた後、同じ様に笑顔を浮かべ


「ミアが喜んでくれたようで俺達もとても嬉しいよ。でも今度からはちゃんと教えてくれな、遠慮する事なんてないんだミアもクイナもエリィも俺にして欲しいことがあれば言ってくれていいんだよ」


「「「はい!」」」


そして、時を見計らった様に部屋を出た所にスタッフが待っていた


「本日の御利用ありがとうございました」


複数のスタッフが一斉に頭を下げて見送ってくれる


「こちらこそ大変美味しい料理をありがとうございました」


「満足頂けたようで何よりです」


「代金の方は足りましたか?」


「はい、大丈夫で御座います。残りの方を直ぐにお持ち致します」


「……いえ、それは取っといてください。こちらも少し騒がしくしてしまいましたから。ただひとつお聞きしてもいいですか?」


俺は案内してくれたスタッフ、立ち位置的にかなり上っぽいスタッフに聞いた


「はい、なんで御座いましょう」


「なぜ、俺みたいな平民にこれを渡したのですか?普通なら無いことでしょう」


ワッペンを見せながら問いただす


「…………言ってしまえば勘です」


「勘?」


「私もこの業界長いですがその経験が貴方様にはご贔屓にして頂いた方がいいと告げています。………どうやら間違っていなかったようです」


そのスタッフはフードを被ったエリィの方をチラッと見てそう言った


「なるほどね、できたらその()()については話さないでくれると助かるな」


「もちろんで御座います。お客様の個人情報は厳守させていただきます」


「ありがとうございます。ではまた食事に来させていただきます」


「ご利用ありがとうございました、今後とも当店をよろしくお願いします」


こうしてレストランを出て行く。


「さすがに暗くなってきたからエリィを城に送るか」


「すみません、エルさんよろしくお願いします」


「それからエリィ、次に時間ができた時目立たない服を買いに行こう」


「服ですか?今ある中でも目立たない物を選んだつもりなのですが」


エリィが自分の服を見ながら言っている


「王族の目立たないは平民には十分目立つからな、クイナやミアの服を買う行きつけのお店があるからそこで探してみよう」


「まぁ!それは楽しみです」


エリィは喜んでいるがその後ろでクイナとミアが微妙な表情になっている


(うん、わかるぞ店長の事が不安なんだろう。何を着せられるかわからんからな)


その後、エリィをお城に送り届けたらまっすぐに自宅へと帰ることにした


「クイナ、ミア風呂の用意しとくから先に入っちゃって」


「はい、分かりました。準備してきます。行こミーちゃん」


「……うん」


着替えを取りに部屋に戻ったクイナとミア


「………お姉ちゃんお風呂場で相談を聞いてくれる?」


「?いいけど、どうしたの」


「うん、ちょっと」


「おーい、準備できたよ〜」


「はい!今行きます。じゃぁお風呂場でね」


二人はお風呂場に入って行く


「さてと二人が入ってる間に魔法具の材料確認するかな、足りない分はワールさんに頼まないと」


材料確認している内に二人が風呂から出たので俺も入り今日はもう部屋でゆっくりしようと思って寝室に行くと


「ふぅさっぱりした、あれ?ミア?」


部屋の中にはバスローブを着たクイナとミアが待っていた


「二人共どうしたの?」


「ほら!ミーちゃん」


クイナがミアになんか促している。少し顔を紅くしたミア


「エル兄様、…その…あの………お願いがあります」


身体をモジモジさせながらそう言ってくる


「いいよ、俺にできることなら」


「その…私は今日で成人して大人の女性の仲間入りをしました。ですので……」


紅かった顔がさらに紅みを増す


「私もお姉ちゃんの様に可愛がってください!」


ミアは恥ずかしがりながらも俺の方を見ながらハッキリと言った


「ミアはとても可愛いし俺はもちろんいいが、本当にいいのか?」


「私だってクイナお姉ちゃんやエリィお姉ちゃんと同じ様にエル兄様が大好きです。これからもずっと一緒に居たいです!」


「あぁわかった!」


ミアを抱きしめてやる。その様子を後ろでクイナが微笑みながら見ている

ミアと目が合うと目を閉じた、そのミアの唇に優しくキスをする


「……ん…」


唇を離すと


「クイナ、今日は最初にミアの相手をする」


「ええ、今日はミーちゃんが主役です」


ミアを抱き上げるとそのままベッドに運び寝かせる


「あ、あのエル兄様…」


「ん?」


「その…初めてなので……」


「……あぁまかせなさい」


ミアの初めてを貰ったのちクイナも入り三人で暖かい夜を過ごした

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