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王城でダンスパーティー フラグP-3

色々忙しかった2日目以降は目立った騒ぎわなくっ継がなく過ごす。

日中はダンスの練習、夕方はクイナ達は調理場でコックに料理を教えてもらいその間に俺はワールさんから届いた材料で錬金術用いた魔法具を作る、そしてあっという間にダンスパーティー前日になっていた。


「クイナ、ダンスの方は大丈夫か?」


「はい!エリィさんから合格点を頂きました」


「俺も先生から問題ないと言われたから明日は大丈夫だろう」


「明日が楽しみですね!ミーちゃんも覚えれば良かったのに」


「無理!お姉ちゃん私はパーティーに出るだけでいっぱいいっぱいだから!」


楽しそうなクイナと顔を横に降っているミア、夕食を食べ終え部屋に戻って行きながらそんな話をしていると


「エルフィン様!」


振り返ると


「エーデルリア様、どうされました?」


皇女様がやや小走りで駆け寄ってくる


「少しお時間をよろしいですか?」


「えぇ構いませんよ」


「でしたら私とミアは先に部屋に戻ってますね」


「あぁ、わかった」


クイナは皇女様にニコッと笑い軽く頭を下げ、それに応えるようにエーデルリア皇女も笑顔で頭を下げている。クイナ達が去っていくと


「エルフィン様、この度は私のわがままを聞いて下さり誠にありがとうございます」


頭を下げながらお礼を言ってきた。それに対して俺は


「実を言うとちょっと楽しみな部分もあるんですよ。でも皇女様のような綺麗な女性の相手が俺なんかでいいんですか?」


「はい!私がエルフィン様と踊りたいのです」


顔を紅くしながらも力強く言い切る


「では明日のダンスパーティーは精一杯いいものにしましょう」


「はい!…それともう1つよろしいですか?」


「なんでしょう?」


「公的な場では無理かもしれませんがこういった私的な場では私の事をエリィと呼んでいただけませんか?言葉使いも普段通りにして頂けると」


少し照れながら皇女様が頼み込んでくる


「わかりま……わかった、エリィ明日を楽しみにしている」


「はい!私も明日が楽しみです」


愛称で呼ぶとエリィはとても嬉しそうな顔を浮かべた


(これはクイナの言ってた通りかな)


エリィにおやすみ、と言って俺も部屋に戻って明日に備え早めに皆で寝た

翌朝、いつものように朝食を食べながらダンスパーティーのある夕方まで何してようと考え食べ終えると扉が開かれ大勢のメイドさん達が入ってくる。

そして、メイド長さんが


「それでは王妃様並びにお嬢様方準備に取り掛かります!」


そう言うなり王妃様や皇女様達、クイナとミアまでメイドさん達に連れて行かれる。王妃様は『ハイハーイ』てな感じで皇女様達も『それでは行きましょう』とついて行く。クイナとミアは訳が分からず流されるまま連れて行かれた


「なにごと?」


「パーティーの準備だろ」


俺の問いにカーマインが応える


「パーティーって夕方だろ」


「エルフィンよ…女性の準備とは、かくも時間がかかるものなのだ」


今度は陛下が応えてくれた


「そうなんですか」


てなワケで夕方まで暇になったのだが王城内はなんと言うか修羅場と化している。メイドさんや執事さん達が慌ただしく動き回り城の警護をしている騎士さん達もいつも以上に緊張している感じだ。まぁ王太子の婚約発表からのダンスパーティーだから仕方ないか


「で!なんでお前は私の部屋にいるのだ?」


部屋に一人でいるのもなんなのでカーマインの部屋に遊びに来ていた


「夕方まで暇だから、お前こそ主役なのにゆっくりしてていいのか?」


「私の準備は終わっているからな、本番までやる事は無い」


などと話しながらカーマインとお茶を啜る


「あ、そうそう!ホイこれ頼まれてたやつ出来たよ」


俺はカーマインに小さな木箱を渡す


「出来たのか?ずいぶん早かったな」


「ワールさんが来て材料が直ぐに揃ったからな」


カーマインが箱を開けると中には同じネックレスが二つ入っていた。


「これは王国の水の花(アクアフラワー)と皇国の風の乙女をデザインしたのか」


そう二つとも国の紋章になっているものである。さらに両国の象徴である宝石サファイアとエメラルドを埋め込んである


「あっ勝手に国の紋章使ったらいけなかったか?」


「普通ならいけないが今回は大丈夫だ。私から手渡すものだからな」


「なら良かった。とりあえず[対物理・魔法障壁]と[毒物浄化]を付与してあるから」


「私から頼んだことだがよくこの短期間で作れたな」


呆れたような顔で言われた


「別に材料さえあれば難しいことではないぞ?」


「普通の錬金術士には十分難しいことだからな、何にせよ助かったありがとうエルフィン」


ネックレスを木箱に戻しカーマインがお礼を言ってきた


「いいってことよ。俺からの婚約祝いだ」


「あぁ、ありがたく貰っておくよ」


その後はカーマインの部屋で時間を潰しながら過ごしカーマインも準備しなければいけない時間になったので自分の部屋に戻った。するとすぐに


「失礼します。エルフィン様」


「あれ?バルトさんカーマインについてなくていいんですか?」


部屋に来た人物はカーマイン付きの執事さんだった


「はい、殿下はすでに御用意ができておりますので。つきましてはエルフィン様の御着替えをお持ちしました。」


こういうパーティーは何を着ていけばいいかわからないのでお城の方で用意してもらった


「ありがとうございます。パーティーなんて初めてですからどんな服を着ればいいか困ってたんですよ」


「いい物をお持ちしましたのでお任せ下さい。殿下の御友人に恥など欠かせませんから」


そういうと執事のバルトさんは俺の着替えを手伝ってくれる。そして着替えて髪もセットし終わった頃


「おーい!エルフィン着替え終わったか?」


そう言いながらカーマインが部屋に入ってくる


「ほぉ!結構さまになってるじゃないか!」


「着慣れてないからちょっと動きにくい」


「すぐになれるさ」


笑いながら言ってくる


「それよりもお前のとこのお姫様達の準備もできたぞ。ほら二人共入ってこいよ」


すると部屋に綺麗にドレスアップしたクイナとミアが入って来た


「おおお!クイナにミア、とても綺麗だぞ!」


クイナはレモン色のドレス姿に綺麗な髪飾りを付け、首の奴隷の輪はリボンで巧みに飾り付けられてアクセサリーにしか見えない。ミアは薄ピンク色のドレス姿に猫耳にはイヤリングのような物が付けられている、こちらも奴隷の輪を飾り付けてアクセサリーに変えていた。


「ドレスを着るのは初めてで緊張します、エル様」

「エル兄様、貴族のお嬢様って大変なんだね……」


クイナはウキウキした感じなのだが、ミアはすでに疲れた感じになっている


「えっとクイナ、ミアはどうした?」


「あはは……実は――――」


クイナによると朝連れ去られた後お風呂に入れられ全身キレイに洗ったら香油を使って全身マッサージ、そこから髪のセットにメイク、ドレスの着付けにその他諸々と大忙しだったらしい


「女性はダンスパーティーの花だからなそれを作り上げるメイド達の腕の見せ所でもある」


「それで朝からメイドさん達の気合いの入れようが凄かったのか」


カーマインの言葉に納得がいった。


「私もユディを迎えに行くからまた後でな、バルト会場への案内を頼んだ」


「はい、承りました殿下」


カーマインは部屋から出て行った


「それではエルフィン様にお嬢様方、会場へ御案内致します」


「お願いしますバルトさん」


そしてクイナとミアの方に近づき


「ではうちのお姫様達をエスコートしますかな」


そう言いながら二人に腕を差し出す


「フフっお願いしますエル様」

「はい!エル兄様」


クイナとミアは自分達の手を腕に回してくる。こうして三人で会場へと向かうのだった。


会場にはすでに多くの貴族達が来ている、中にはワールさんのような実力のある商人も来ているようだ。会場に入ってからどうしようか迷っていると


「エルフィンさん、こちらに」


「あっマリアロスさん」


医師団長のマリアロスさんが声をかけてくれた


「もうすぐ陛下たちが来られますよ」


「助かりました」


クイナとミアを引き連れてマリアロスさんの後について行く、そして空いている場所で待つ。そこに執事さんが飲み物を持ってきたので一人一人取っていく


「陛下たちのお言葉がありますから飲まずに持っていてくださいね」


マリアロスさんがそう言うと流れていた音楽が止まり陛下たちが現れる


「皆の者、この度は我が息子カーマインの為に来てくれ感謝する」


陛下が言った後カーマインとユーフォルディア皇女様が前に出て来て


「皆さんこの度は私達の為にお集まり頂き感謝します。そして公表させていただきます。ここにブルーフォレスト王国王太子カーマインとグリーンウィンド皇国第一皇女ユーフォルディア姫との正式な婚約を交わしたことを宣言致します!」


「それでは皆の者、王太子と皇女の未来を祝して乾杯!」


「「「乾杯!!!」」」


陛下の合図と共に会場にいるもの達が祝福する


「ユーフォルディア姫はこれより1年間王城にて花嫁修業を詰んだ後、水龍神殿にて婚姻を結ぶものとする。では二人を祝して本日のパーティーを楽しんでくれ」


陛下の言葉が終わるとまた音楽が流れ始める


「さてエルフィンさん殿下達の準備が出来たらダンスの曲が始まりますよ、早く迎えに行ってあげて下さい。今はグラントさんがついていますから、こういうのは男性から迎えに行くものですよ!」


「分かりました」


「エル様、頑張ってください!」

「エル兄様、行ってらっしゃい!」


「お二人には私がついていますので」


「よろしくお願いします。行って来ます」


俺はマリアロスさんに言われた場所に向かう。すると妙にザワザワしていた主に男達が……隙間から覗くと宰相さんが見えたのでどうにか近づいていくと

その横にはエメラルドグリーンのドレスを着て周りの目を釘付けにする美女が立っていた。俺も思わず魅了されてしまったが気を取り直して近づく


「……あっ!」


向こうも俺に気がついたようで笑顔を向けてくれる。女性の傍に行くと


「エーデルリア皇女様、私と1曲踊っていただけますか?」


手を差し出すと


「はい!喜んで!」


俺の手を掴み嬉しそうに笑顔で応えてくれた。それを見ていた周りの人達は驚きとどよめきが起こる。しかし当の本人達は気にせずにダンススペースに移動する。そこにはカーマインとユーフォルディア皇女様が待っていた


「来たなエルフィン、それじゃ始めるぞ」


「始めるってお前達と俺達しかいないぞ?」


「1曲目だからな皆遠慮しているのだろう」


なぜかカーマインがクスクス笑い出す


「エリィ良かったわね」


「はいユディ姉様」


皇女姉妹も嬉しそうに話している、そしてカーマインが合図を出すとダンス曲が始まった。少し不安ではあったが結構問題なく身体が動いてくれる。

エリィは終始、嬉しそうな笑顔を浮かべダンスを楽しんでいる。俺もこんなに楽しそうにされると嬉しくなる。


「エルフィン様、私とても幸せです」


「喜んで頂けて俺も嬉しいです」


エリィの言葉に俺も笑顔で応える、エリィは若干顔を紅くしながらも笑顔を向けてくれる。軽く言葉を交わしながらダンスを踊り終わりを迎える


「エルフィン様、楽しいひと時をありがとうございました」


「俺も楽しかったですよエーデルリア姫」


「名残惜しいですが次の曲がすぐに始まります。クイナさんを迎えに行ってあげて下さい」


「はい、ではまた後ほどお会いしましょう」


「はい、それでは後ほど」


お互いに一礼をして離れていく。俺はそのままダンスを見ていたクイナの所に行き


「俺だけのお姫様、次の曲を一緒に踊ってもろえますか?」


エリィの時と同じ様に片手を差し出す


「はい!よろしくお願いします!」


クイナも満面の笑みで手を掴む。俺はその手を引いてダンススペースへと連れ出す。エリィと踊ったからなのかものすごい視線を感じる


「なんか視線を感じるけど今更か?」


「そうですね、気にせず踊りましょう」


クイナの機嫌がいい


(にしてもクイナは肝が据わってきたというか大抵の事では動じなくなったな)


そんな事を考えている内に曲が始まった。


「クイナ、初めてとは思えないほどダンス上手いな」


「エル様もとてもお上手ですよ」


クイナもエリィと同じようにダンスを楽しんでいる。ダンスを見ているなかにエリィを見つける、こちらを見ながら応援する様に笑顔を向けている。

クイナとのダンスも問題なく踊りきることが出来た。


「どうにか最後まで無事に踊りきることが出来たな」


「はい、初めての経験でしたけどとても楽しかったです」


「あぁ俺もだよ」


二人で笑顔を向け合いながらミアが待つ方へと歩いていく


「お疲れ様ですエルフィンさん」


「ありがとうございますマリアロスさん」


ミアに付き添ってくれていた医師団長さんにお礼を言う


「エル兄様とってとカッコよかった!クイナお姉ちゃんもとても綺麗だったよ!」


「ありがとう、ミア」

「ふふっミーちゃんありがとう!」


「にしてもさすがに二曲続けて踊ると暑いですね」


「でしたらちょうどこの後ろがテラスになっているので涼んで来てはいかがでしょうか、私が誰も来ないように見てますよ。エルフィンさんだいぶ注目を集めてましたからもしかしたら誰か声をかけてくるかも」


「それは面倒そうですね。避難します」


マリアロスさんにお礼を言ってクイナとミアを連れてテラスに避難した


「風が気持ちいいなぁ」


「えぇそうですねエル様」


「私はあの雰囲気から抜け出せてほっとしてます」


ミアは明らかに力が抜けたようになっている


「もう少し頑張ってくれミア」


「ふぁ~い」


ミアを励ましていると


「二曲とも上手く踊れていたじゃないか」


「どうにかなカーマイン」


カーマインが俺たちを見つけ近寄ってくる


「それにしてもお前とうとうやっちまったな」


「?、なにを?」


カーマインの言葉の意味がわからん


「やっぱその様子だと知らんかったみたいだな」


「だから何がだよ」


「ダンスにおいて1曲目を踊る相手は貴方を1番愛していますという意思表示で婚約を終えた者や踊った相手しか興味がないと周りに周知させるものだ」


「はぁ?マジ?」


「さらに婚約してないうえに女性の方が身分が上の場合、その女性は家から除名処分となる場合もある」


「な、なに!じゃあエリィは?!」


「落ち着け、あくまで可能性があるだけだ。エリィは皇女だからそう簡単に除名されたりしない」


「もしかして俺以外は皆グルだったのか?」


「まぁそういうことだ」


大きくため息が出た


「それだけエリィが本気だと言うことだ、だから……」


カーマインが肩を軽く叩いてきてテラスの入口の方を見ながら


「だからあまり()()だけを責めてやるなよ」


カーマインの視線の先、テラスの入口を見る、そこには


「………エリィ」


エリィが俯きながらこちらに歩いてくるのと同時にカーマインが席を外す


「……エルフィン様、騙すような形になってしまい申し訳ありませんでした」


俺の近くまで来ると頭を下げ謝ってくる


「エーデルリア皇女様……」


敬称をつけて呼ばれた事で身体が(こわ)ばってしまう。


「………はい」


「皇女様は私とダンスを踊った事を後悔しているのですか?」


「いいえ!」


エーデルリア皇女は顔を上げエルフィンの目を見ながらハッキリと否定した


「エルフィン様とダンスを踊るのは私が心から望んだ事、その後どうなるかもエルフィン様に非難される事も覚悟の上で申し込みました、そこに後悔などひとかけらもございません」


その言葉を聞いて


「だったら()()()謝らないでくれ、謝られたら何か悪い事をしているみたいだろう」


エリィに笑顔を向けながらそう声をかける


「ですが私はエルフィン様を……」

「エリィ右手を出してくれ」


エリィが何かを言う前に声を重ねて手を出すように言う。エリィは言われるがまま右手を出す、その手にポケットから出した物をつけてやる


「これは………ミスリルのブレスレット?」


自分の手首につけられた物を見てそうつぶやく


「これはうちの()()になった者に贈っている」


クイナとミアの方に顔を向けながら言うとエリィも2人の方に顔を向ける。クイナとミアは自分達がつけているブレスレットをエリィに見えるように見せる


「これはうちの家族の証、そしてそのブレスレットに施している白い花は俺の故郷にある花でエリィの名前に似ている。名はエーデルワイス、花言葉は『大切な思い出』そして『高潔な勇気』だそうだ。エリィにピッタリの花だ」


エリィの目じりに涙が溜まる


「エリィの気持ち、そしてどれだけ本気なのかよくわかった。なら俺は男としてその気持ちに応える、ただその前にもう一度だけ確認させてくれ」


ひと息置いて


「エリィ本当に俺が君の相手でいいかい?」


そう問いかけるとエリィは俺の胸元に飛び込んできて


「はい!エルフィン様がいいです。あなたの事を心からお慕いしております!」


「わかった、なら俺はエリィを精一杯守って見せよう。それから俺の事はエルと愛称で呼んでくれ、クイナ達もそう呼んでいるからな」


「はい!エルさんこれからもよろしくお願いします」


抱きつくエリィの頭を優しく撫でてやる


「………でっ!そこで覗いている国王陛下並びに王族二人、それと皇女様何やってんですか?」


「え?」


エリィが俺の胸元から離れテラスの入口付近を見る


「ぬ!バレたか!」


(バレたかっ!じゃないよ陛下、あんたそんなキャラだったか?)


陛下たちがこちらに歩いてくる


「まったく!覗きとはいい趣味ですね」


「違うぞエルフィン!余は預かっている皇女が心配だっただけだ」


「そうだ!私も将来の義理の妹が気になっただけだ」


「私は純粋に妹が心配だっただけです」


「私は面白そうだったから覗いてた」


陛下とカーマイン、ユーフォルディア皇女は必死に言い訳をしている、王妃様はもうちょっと本音を隠そうよ……


「もうユディ姉様!」


エリィが姉のユーフォルディア皇女に恥ずかしさのあまり詰め寄っている


「まぁとりあえずそれは置いといて」


陛下が話を無理やりぶった切る


「エルフィンとエーデルリア姫との仲の事は余の方からも皇王殿に一筆手紙をしたためよう、だが1番は本人の気持ちを伝える事それを忘れてはならんぞ」


「有難うございます!お父様は私が必ず説得してみせます!」


エリィは力強く言い放つ


「そしてエルフィン、お主はギルドランクSを目指せ」


「Sランクですか?」


「そうだ、Sランクになれば周りの者も認めざるを得なくなる。だからランクアップを心がけよ!」


「はい、承知しました」


話が一段落するとエリィがクイナに近づき


「クイナさんありがとうございました!」


「ふふっエリィさんよかったですね」


仲良く話す二人をジーッと見てから


「………今回の件、やっぱりクイナも1枚絡んでいたか」


「っ!」


クイナが少し焦り出す


「エル兄様、私は手を出してないので無罪を主張します」


ミアはそうそうに顔を逸らし逃げた


「いやっそのエル様、これはですね」


「俺ちゃんショックだわぁ〜」


わざとらしく大袈裟にショックを受けたように装う、その姿にクイナがワタワタと焦り出す


「うっ、その……ごめんなさい……エル様」


近づいて来たクイナの方を見て


「これは軽くOSHIOKIが必要だなぁ」


口角を上げてニヤッとしながら言う


「ひぅ?!お、お手柔らかにお願いします…」


「エルフィン……イチャついてる風にしか見えねぇぞ?」


そして、みんなで笑い出すのだった……

その後は問題もなくつつがなくパーティーは進み無事に終えることができました。各々自分達の部屋に戻りゆっくりと時間を過ごす。着替えをし普段着に戻ったクイナとミアなのだがソファーに座るなりミアは寝落ちした。


「ミアのやつよっぽど疲れたんだな」


「ふふっそうみたいですね」


クイナと一緒にミアの寝顔を見ながら笑う。このままソファーで寝かすのは可哀想なので抱えてベッドに寝かせてる。ソファーまで戻るとクイナがお茶を用意してくれてた


「エル様、どうぞ」


「ありがとう、……うん!うまい。クイナお茶の入れ方上手くなったよな」


「はい!いつも来てくれるメイドさんから美味しいお茶の入れ方を教わりましたから」


クイナは褒められてとても嬉しそうだ


「クイナも疲れたろ、座って一緒に飲もう」


そう言って自分の隣の所を叩く


「はい、失礼します」


クイナは自分の分のお茶を入れ隣に座る


「エル様、ひとつお知らせしとくことが」


「ん?」


「ミーちゃんの事なのですが、本人は気にしなくてもいいと言ってましたが5日後に誕生日でして成人を迎える事になります」


「そうなのか?なら祝ってやらないとな!」


「はい、ですがミーちゃんは今の立場上どうも遠慮しているようで」


「別に気にすることないのになぁ。と言っても気にするか」


俺はどうしようか考え込む


「だったらミアに内緒で誕生日パーティーを開いてやろう」


「それは良いですね!」


「家で準備するとバレるかもしれないからそうだな……前にクイナと行ったレストランなんてどうだ?」


「あそこですか?料理も美味しかったですしとてもいいと思います」


「あとはプレゼントだけど何にしよ?あまり高いものだと逆に萎縮しちまうだろうし、クイナはどうする?」


「私は手縫いの刺繍をしたハンカチを作ろうかと、エル様申し訳ないのですがいくつか布が欲しいです」


「なら明日、ワールさんの店によってみようか?どのみちギルドにも行かないといけないしミアには買い物があるといえば分からないだろう」


「はい、よろしくお願いします」


「他はそうだな……エリィも誘ってみるか?うちの一員になったわけだし」


「それはいい考えです!エリィさんも喜ぶと思います」


ただ問題は皇女であるエリィがすんなりお城から出してもらえるか、とりあえずお城からレストランまで正体がバレないようにしないとな


「残りの細かい所は家に帰ってからにするか」


ソファーに持たれているとクイナが俺の肩に頭を乗せてきた


「ん?どうした、今日は随分甘えん坊だな」


「ここのとこダンスの練習で離れていることが多かったので、それに今日はエリィさんに持ってかれたようでちょっと嫉妬してます」


(また、可愛いことを言ってくれる)


「心配しなくてもクイナの事も大切にしていくぞ」


「ふふっありがとうございます。ではひとつお聞きしたいのですが、私の奴隷の輪についている模様『サクラ』でしたか?これにも花言葉はあるのですか?」


「あるぞ『桜』の花言葉は『精神の美』それから『優美な女性』だ。心が綺麗で落ち着きのある女性って感じの意味かな。まさにクイナみたいな女性の事だな」


そう言うとクイナの顔が見る見る紅くなる


「そのような意味があったのですね」


「あったのだよ」


照れてるクイナを片手で抱きしめながら笑う


「さてと今日は疲れたし風呂入って寝るか」


「それでしたら私がお背中を流します」


「ならお願いしようかな、……ついでに」


ソファーから立つとクイナをお姫様抱っこする


「キャッ!エル様?!」


口角を上げて


「OSHIOKIもしちゃおう」


「え?!あれ本当に!」


「もちろん!本当にでございます!」


そのままクイナをお姫様抱っこしたまま風呂場に連れて行く。疲れを取るために風呂に入ったのに余計に体力を使いました。だが後悔はない!!!

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