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王城でダンスパーティー フラグP-2

クイナとエーデルリア皇女はエルフィンの練習が気になり部屋を訪れる、すると既に先客がいた


「カーマイン様、ユディ姉様二人も来られていたのですか?」


「あぁこちらも無事に水龍様への報告が終わりユディとの仲を認められた」


「エリィもクイナ様との話上手く言ったみたいね」


エーデルリア皇女とクイナは顔を見合せ


「はい!」


「ところで殿下、エル様はどんな様子ですか?」


クイナはエルフィンの練習について聞いてみた


「まだ2、3時間しか経ってないのに、やっぱりアイツおかしいと思う」


練習するエルフィンの方を見ながらそう呟いた、クイナとエーデルリア皇女も練習するエルフィンの方を見る


「素晴らしいですエルフィンさんこの短い時間で基本のステップを全てマスターされるとは!」


教えている講師の先生が絶賛していた


「この調子でいけば明日には全体の形は出来そうですね」


「先生の教え方が上手いからですよ」


「嬉しいことを言ってくださる、ですが無理は禁物少し休憩にしましょう」


休憩時間になったエルフィンがクイナ達の所に寄ってくる


「お疲れ様です、エル様」


クイナが水を手渡す


「ありがとう、クイナ」


水を受け取ると一気に飲み干す


「ふぅ、慣れん事すると意外と疲れるな」


「涼しい顔してよく言うぜ、てか普通は基本のステップだけでも覚えるのは大変なんだぞ」


「そうなのか?」

(まぁ俺の場合は希少能力(レアスキル)の全能力適性に記憶力強化、成長促進があるからだろうが)


「ほんとどういう構造してんだお前の身体」


「さぁ?まぁこの調子なら余裕で間に合うな」


するとエーデルリア皇女が胸の辺りで両手をパンッと合わせ


「でしたら2曲目も覚えてクイナさんと踊られてはいかがです?」


「ちょ、エリィさん!」


突然の提案にクイナが驚く


「2曲目は最初よりゆったりしたものですから大丈夫です!」


「でも私もダンスは初めてですよ」


「それなら私がお教えします」


エーデルリア皇女はやる気満々である


「先生、2曲目の指導もお願いできますか?」


「今の調子で行けばパーティーまでに間に合いますからいいですよ」


「ということみたいだからクイナがよければ俺も覚えるぞ」


「………わかりました。頑張ります!エリィさんよろしくお願いします」


「はい!任せて下さい」


クイナとエーデルリア皇女が盛り上がっている


「二人とも今日会ったばかりなのにえらい仲良くなったね」


そう言うとクイナとエーデルリア皇女はこちらを見た後、顔を合わせ笑うと


「意気投合しましたから」


「そうですわね」


「???」


俺は訳分からんかったが仲がいいのは良い事なので置いとく。ちなみにミアはというと


「あぁもう可愛い、癒されるわ」


少し離れたとこに座っている王妃様に抱きつかれ固まっていた


「ねぇエルフィン君、この子うちにちょうだい!ミアちゃん私の娘になろ」


「いや、さすがにそれはダメですよマーガレット王妃様」


「そうですよ母上」


「エルフィン君もカーマインもケチね」


王妃様も冗談で言ってるようだが当の本人であるミアは放心状態になっている


「クイナ、後でミアを労ってやろう」


「そうですね」


俺とクイナは心の中で頑張れと思うのだった。

その後、休憩時間が終わり練習を再開したら、カーマインとユーフォルディア皇女が婚姻パーティの準備に行き、クイナとエーデルリア皇女は早速ダンスの練習に、王妃様も公務に戻り開放されたミアは部屋の隅でぐったりするのだった。


練習は夕食前までおこない今日の所は終了となった。


「エルフィンさん!クイナさんも覚えが早いんですよ」


「エリィさんの教え方がわかりやすいからですよ」


「それじゃぁクイナもパーティーまでに間に合いそうか?」


「どうにかなると思います」


「クイナもダンス未経験者なのに凄いな」


俺が感心しているとミアが


「クイナお姉ちゃん村一番の踊り手だったからじゃないですか」


「踊り手?」


「はい、お姉ちゃんは村の豊穣祈願の祭りでいつも女神様に捧げる舞を踊っていましたから」


「ほほう、それは見てみたいな」


「ミーちゃん!エル様も、もう恥ずかしいです」


両手をほっぺたに持っていき顔を紅くする。


「それでリズム感がいいのですね。納得です」


エーデルリア皇女はクイナの覚えの良さに納得していた


「にしても料理も美味い、踊りも上手、その上美人という事は………」


「村では1番人気でした隣村にもお姉ちゃん目当てがいましたけど、今はエル兄様しか見えてないから心配ないです」


「ミ、ミーちゃん?!」


「ホントの事です。お姉ちゃんはエル兄様以外の男は眼中に無いです」


「う、うぅぅぅ」


(ミアのやつ王妃様に捕まったのを助けてくれなかったの根に持ってないか?)


そうこうしているうちに夕食の準備ができたらしくみんなで食べに行き明日の練習に備えて早めに休む


「前来た時の部屋だから少し懐かしいな」


「そうですね、ベッドはどうしますか?」


「ミア、一人で寝る?」


「こんな豪華なベッドだと寝れる気がしないので出来ればお姉ちゃん一緒に寝て下さい」


ミアは部屋の豪華さに緊張しながらどうしたらいいか戸惑っていた


「という事らしいから今日はクイナとミアが一緒のベッドで寝てくれ」


「はい」


クイナはクスクスと笑いながら応えていた、そして先にクイナとミアがお風呂に入りその後俺も入って早めに就寝するのだった。


そして翌朝それは起こった


「これはどういう事だ?」


なぜか俺が寝ているベッドに侵入者がいる


片側にはクイナが幸せそうに寝息を立てている。これはいつものポジションなので特に気にはならない、問題は反対側になぜかミアがいてこちらも気持ち良さそうに寝ている。確認するが俺が二人のベッドに潜り込んだ訳では断じてない


起きようにも起きれないこの状況をどうしようかと考えているとクイナが起きた


「う、ん…おはようございますエル様、あれ?エル様なんで私達のベッドに?」


「いや、こっち側が俺のベッドだからな」


「でもミーちゃんがそこにいますし」


「そうなんだよ、そこがわからん」


クイナと話しているとミアも起きた


「ふぁあ、おはようございますエル兄様、お姉ちゃん……?エル兄様なんでこっちのベッドに?」


「いや、よく見てくれ。こっち俺のベッド」


「へ?あ、あれ!ホントだ、なんで?」


「二人とも寝ぼけてこっちのベッドに入ったんじゃないのか?」


「ご、ごめんなさいエル兄様!」


自分が間違えて入ったことに気づき謝ってくる


「謝るほどのことじゃないよ、どちらかと言うとほど良く温かくて役得な気分だし」


するとミアの顔が紅くなる


「でしたら今晩からは三人で一緒に寝ませんか?」


「お、お姉ちゃん!」


「俺は構わないがどうするミア?」


「ミーちゃんも気持ち良さそうに寝ていたからその方が安心するでしょ」


「う、うん」


ミアは顔を紅くしたまま返事をする。

という事で今晩からは三人で一緒寝る事になった。身支度を整えるとメイドさんが来て王家の人達から朝食の誘いがあったのでみんなで行くと食堂には陛下や王妃様、カーマインに皇女様二人がいて一緒に食べる事になった。そしてパーティーの事など話しながら食事をし、食べ終わった頃だった。


タッタッタッ


廊下を小走りで走るような音が近づいくる。そしていきなり扉が開き


「へ、陛下ーー!エルフィン殿はこちらにいらっしゃいますか!」


「どうした宰相?そんなに慌てて」


宰相のグラントさんがものすごく焦った感じで喋り出す


「これが慌てずにいられますか!今、龍巫女長のアイレン様が来られています」


「………なんだと!!」


陛下まで慌てだした、


「なぁカーマイン、誰が来たって?」


「お前なぁ…まぁいい龍巫女長のアイレン様、水龍様の直近のお側仕えをされている方々の長だ」


「ふーんそう、でなんで俺を探してたんだ?」


そんな話をしていると


「ともかく!これ以上お待たせする訳にはいかんすぐに向かうぞ!エルフィンも着いてきてくれ」


陛下にそう言われついて行くことに


(水龍様って確か建国の時からいる守護聖獣だったよな?そんな人?の側近が俺に何の用だ?)


王城の入り口フロアに行くと水色の巫女服を着た綺麗なお姉さん系の秘書のような女性が待っていた


「アイレン殿、お待たせして申し訳ごさいません」


「お気になさらずに、突然訪れたこちらが悪いのですから」


そう言うと軽く会釈をする


「して本日はどのようなご要件で?貴方様が直接来られるとは余程のことでは……」


「いえ、そこまで大事なことでは」


アイレン様はエルフィンの方に向き直すと


「貴方様がエルフィン様で御座いますね。我らの主が貴方様との面会を御希望されております。私と共に水龍神殿にお越し頂けますか?」


「!!!!」


王家の面々から皇女様二人、更には様子を伺っていた警備の騎士や城で働くメイドさん達まで驚いてる。クイナとミアは驚くと言うより感動している


「俺ですか?」


「はい」


陛下の方を見ると、絶対に断るなよって感じでこちらを見ている


「わかりました。伺わせて頂きます」


「はい、よろしくお願いします。早速ですがこれから向かってよろしいですか?」


「はい、大丈夫です。クイナ、ミアちょっと行ってくる」


「行ってらっしゃいませ、エル様」


「エル兄様行ってらっしゃい」


カーマインに二人を任せ水龍様に会うために神殿専用の魔法具を使用した舟で湖の中心に位置する神殿に向かう。遠目で見た事はあるが近くで見るとその壮大な風景に感動すら感じる光景だった


「近くで見るのは初めてですが素晴らしいですね」


「お褒めいただきありがとうございます。こちらの神殿は建国当時から造られ王国の方々の手によって常に最善の状態を維持しております」


神殿の説明をしてくれながら湖を渡り神殿近くの桟橋に到着する。それと同時に近くにいるお祈りに来ていた人達から驚きとどよめきが起こる。それを気にしないアイレン様の後を追うように神殿の内に向かう。神殿の中に入るとより一層のどよめきが起こる。


「おい、あれアイレン様じゃないか?」

「龍巫女長様が祭事でもないのに御姿をお出しになられるなんて」

「後ろの奴誰だ?」


アイレン様について行くと壁に綺麗な絵が描かれた場所に着く


「えっとアイレン様、この絵は?」


「私に敬称は不要です。エルフィン様」


「でしたらアイレンさんここに何か?」


アイレンさんはニコッと笑うと壁に手をかざす、すると魔法陣が浮かび上がり壁の絵に光る切れ目が現れる。壁は開き扉のように開き奥には通路があった


「こちらです。エルフィン様」


「あ、はい」


一瞬呆気に取られたが気を取り直してアイレンさんについて行く。後ろではお祈りに来ていた人が


「あそこは水龍様の居られる所に通ずる道じゃないか?」

「じゃぁあの人水龍様と面会されるの!」

「水龍様にお会い出来るなんて何者だ」


案の定、慌ただしくなっていた。扉の中に入ると開いていた扉が閉まり何事も無かったように壁へと戻る、中には階段があり降りるとガラス張りの水中トンネルのような廊下を進んでいく。すると一際豪華な扉が見えてくる


「失礼します。エルフィン様をお連れしました」


「うむ、入るがよい」


中から若い女性の声がした。アイレンさんが扉を開け中に入るように促す


「よく来た、お主がエルフィンだな?」


清潔感漂う部屋の気品溢れるソファーにその女性は座っていた


「お初にお目に掛かります。私がエルフィンです」


一礼をして挨拶する。


「妾が王国の守護聖獣、水晶龍のシャロンじゃ、本当は長い名のじゃが言い難いからこっちでよい」


そう名乗った女性は若干幼さが残る若い女性だった、だが普通の人と明らかに違うのは流れるような銀髪の隙間、耳の上辺りから水晶でできた角が出ていた


「まぁ座るがよい」


そう言うと指をパチンっと鳴らす。するとソファーが現れる、俺はそのソファーに座る


「えぇと今日はおれ、…私にどう言ったご要件で?」


「無理にかしこまる必要は無い。普段通りでよいぞ」


シャロン様がアイレンさんに合図をする、アイレンさんはお茶を用意してくれた。アイレンさんにお礼を言い話を続ける


「ではお言葉に甘えて、俺を呼んだのは?」


「昨日、王太子がお前の事を大層自慢げに話しておって興味が湧いた」


「あいつが原因だったか!」


「というのもあるが実はお主の事はルナフレア様から頼まれておったのじゃ」


クスクスと笑いながらそう言った


「……ルナさんから?」


「うむ、渡り人を妾の近くに落としたから助けてやれとな」


「どうしてシャロン様に?」


「妾はルナフレア様の眷族だからである」


「………マジっすか」


「大マジじゃ、なのでなちょうど近い位置におったからとりあえず顔合わせをと思うてな」


「そうなんですかぁ」


一気に力が抜けた


「いきなり呼ばれて何しでかしたと思いましたよ」


「すまんすまん、にしてもルナフレア様から直接神託が来たのは数百年ぶりじゃな、お主はこの世界になぜ来たのじゃ?」


「実はですね―――――」


この世界に来ることになった経緯を説明した


「なんと言うか申し訳ない…………」


俺の死に方を聞いて頭を抑えどんな感じで飛ばされたか聞いてむっちゃ項垂れた


「決して悪い女神様ではないのだ、そのなんと言うか少し天然でな」


シャロン様がどうにかフォローしようとしているができてない気がする


「シャロン様が謝る必要ないですよ!それに俺は結構この世界楽しんでいますので!」


「そう言ってくれると救われる」


まだ少し気落ちしているが姿勢を正して座り直す


「詫びというわけではないがこれを受け取ってくれ」


シャロン様が手を広げると光だし水晶の指輪が現れた


「これは妾の角から作った指輪じゃ、妾の加護が宿っている。各種身体能力向上の作用がある」


「そのような物を貰って良いのですか?」


「構わぬ、それにこれは通行手形の役割があるから妾に会いたい時は見せればすぐに通れる。来る時の扉も開けられる」


俺は指輪を受け取りお礼を言う


「それにしてもお主は別の世界から来たにしては前の者とは少し違うな」


「前?俺の他にもいたのですか?」


「この国が建国された時だからかれこれ800年ほど前か」


「だいぶ前ですね」


「まぁその者はお主と違って転生者だったがの」


つまり赤ん坊から始めたと


「元はある国の王子でな、まだ世界が戦乱の激しい時代の時じゃった。この辺りもだいぶ治安が悪かったし当時あった国は今の帝国のように差別が酷かった」


シャロン様は昔を懐かしむように話し出す


「迫害にあっていた獣人や亜人、魔族等を解放しようと立ち上がったのがその王子じゃった」


「魔族もですか?」


「お主のいた世界で魔族がどういう認識かは知らぬがこの世界では一般的に魔法に秀でた種族を言う」


「なるほど」


「そしてこの一帯を平定しこの湖の近くで暮らしていた娘と結婚し国を起こしたのが今いるこの国の初代国王で妾の旦那様じゃ」


「…………今なんと?」


「妾の旦那様」


「という事は王家は……」


「皆、妾の子孫じゃな」


「そうすか……」


「そうじゃ!お主に聞きたかったのじゃが」


「はい、なんでしょう?」


「旦那様が当時まだ若かった妾を見て『イエスロリータ!ベリービューティフル!』と奇声をあげていたのじゃがどういう意味じゃ?」


今度は俺が項垂れてしまった


(オイ!初代国王…お前なぁ)


「えっと、大変綺麗な女性という意味ですね」


「なんと!旦那様はそんな事を言っていたのか」


(うん……間違ってはいない、詳しく言ってないだけ)


「これで長年の疑問が解けたぞ」


シャロン様は満足そうなので黙ってよ。


「と言うかその話俺にしていいんですか?」


「王太子が国王に即位する時に口伝しているらしいぞ」


「それ色々アウトでしょ」


「細かい事は気にするな」


ケラケラとシャロン様は笑いだした。


「それで元々どこの国の王子だったんですか?」


「皇国の第二王子じゃった。第一王子である皇太子と大変仲が良くてな、この国の建国も後押しておった。じゃから王国と皇国の絆は鉄より固い」


「その兄弟愛が今のふたつの国の強さなんですね」


こんな感じで他では聞けない話を聞かせてもらいお昼前になって帰ることにした


「何かあったらいつでも訪ねるがよい」


「はい、ありがとうございます」


こうして神殿を後にした。しかし、王城に戻ると朝別れた面々に包囲された


「エルフィンよ!なぜ呼ばれた!何かしたのか!?」


陛下にものすごい勢いで問いただされた


「大丈夫です。昨日カーマインが俺の事をシャロン様に話したから興味が湧いたそうです」


「そうか、よかった…シャロン様?」


「え?水龍様の名では?」


「もしや水龍様が名乗ったのか!」


「え、はい」


そう言って頭をかいていると


「エルフィン!その指についてあるのは……」


「これですか?シャロン様から頂きました」


王様めっちゃびっくりしている。そりゃもう他の人が引くくらいに。

見かねたカーマインが声をかける


「父上、大丈夫ですか?」


「う、うむ。大丈夫だ少し取り乱した。そこまでエルフィンの事を気に入られるとは、あの水晶の指輪は水龍様の角からできている物で水龍様が認めた者に与える物。余も初めて見たぞ」


「まぁエルフィンですので、深く考えると身体に悪いですよ」


「そうじゃな、エルフィンじゃしな」


(親子揃ってなんか馬鹿にしてない?)


なんかエルフィンだからという事で片付けられ国王含め皆考える事を放棄した。……理不尽だ。

その後、昼食を食べてダンスの練習を夕方までするのだった。そして夕食までの空き時間にワールさんが訪れて来た


「どうも、エルフィン殿」


「ワールさん、こんにちは今日はどうしたんですか?」


「はい、王城に用事があったのでエルフィン殿にもお会いして工事の進捗状況の報告をと思いまして」


家の改装の事を報告に来てくれた


「お部屋の方は明日にでも完了予定です。クイナさんからお庭の事を聞かれていたのでこちらの方で雑草や庭木の剪定をしておきました。」


「伸び放題だったからな」


クイナの方を見ながら頷く


「後はキッチン周りの設備も機能が古い物があったので新しい物に交換しときました」


「ありがとうございます。それで代金はどれぐらいになりましたか?」


「改装の方は当初の値段でそれにキッチン周りの交換がプラスされてこの位になります。庭の整備についてはサービスしときます」


「わかりました。今払った方がいいですか?」


「その事なんですが以前提供頂いた加熱パイプの方の売買が好調でしてエルフィン殿にお渡しする特許料から差し引いて改めて代金をお支払いしましょうか?」


「そうですね、その方が楽ですね。いっその事特許料はワールさんの所で預かってもら得ません?また何か頼むと思うんでそこから引いてもらった方が手間がかからないでしょ」


「私どもは構いませんが結構な金額ですよ」


「いくらですか?」


「ひとまず金貨五百枚ですね。ただまだまだ売れているので今後も増えるかと」


だいたい五千万くらいか


「でしたら尚のこと預かって貰った方がいいですね。増えた分持ってくるのは大変でしょうから」


「わかりました。そういう事でしたら私が責任を持って預からせていただきます」


「あ、そうだワールさんこの紙に書いてある物を揃えて欲しいのですが」


俺は紙にいくつか品目を書いて渡す


「これでしたら明日の夕方までには揃えられます。こちらにお持ちしたのでいいですか?」


「お願いします。カーマインのパーティーまではここに居ることになっているので」


ワールさんはまた明日来ますと言って帰って行った


「エル様何を頼まれたのですか?」


「カーマインから作って欲しいと頼まれたものがあったからその材料と他にも作るのにいる材料を頼んだ。ダンスの練習以外やることないからね。クイナも王城の調理場を見学できるように頼んでみようか?ミアも何かしたい事があれば言ってくれていいぞ」


「ではエル様、調理場のことお願いします。新しい料理を覚えて作ってみたいです」


「エル兄様私もお姉ちゃんと一緒に調理場見てみたいです」


「わかった、カーマインに頼んでみるよ」


「「ありがとうございます!」」


そして夕食を食べて少しのんびりした後、就寝するのだった。

だったんだけど……


「これはやばいです……」


朝の約束通り今日は三人で一緒に寝る事にしたのだが


「眠れん………」


今朝と同じく両脇にクイナとミアがいるのだが2人の体温と風呂上がりのいい匂いで非常にやばいです。クイナとミアは疲れたのかスヤスヤと寝息を立てている。しかもクイナはいつものように俺の腕を枕に、ミアはなぜか俺の腕を抱き枕の様にして寝ている。


(腕に柔らかい感触が………)


そんな事を考えていると、下の方でテントがはられてしまった


「どうしよ、これ」


色々と目が冴えてしまった状態になっていると


「エル様、眠れないのですか?」


先程まで俺の腕で寝ていたクイナが尋ねてきた


「すまん、起こしたか?」


「いえ、大丈夫です」


のそっと頭を起こした時にどうやらテントに気がついたようでしばし沈黙が流れる。そしてクイナが


「……えっと、私がお鎮めしましょうか?」


「………え……?」


クイナは布団の中に潜り込んで行き


「ちょっ!クイナ!」


ミアが寝ているのであくまで小声で


「お任せ下さい………ぁむっ」


こうしてクイナによってテントはたたまれて精神的に治まった俺はどうにか寝ることが出来たのだった。



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