間話2
湯浴みを終えた皇女様達は食事の準備が整うまで王妃と談笑をしていた
「ユディちゃんエリィちゃん今回は本当に大変だったわね」
「そうですね、あの時助けが入らなければどうなっていたやら…」
「はい、エルフィン様が来ていただけなかったらと思うと……」
ユーフォルディア皇女はあの時の恐怖を思い出しているようだが、エーデルリア皇女は何故か若干うっとりした顔になっている。それを見た王妃は
「ねぇエリィちゃん、もしかしてエルフィン君の事好きになっちゃった?」
「えっ!そんな……」
「あら、違うの?」
エーデルリア皇女は顔を紅くしながらも
「……ちが…わないです」
「やっぱりそうなの!ずっとエルフィン君の事、目で追ってたから……」
「私もエリィが好意を持っているんじゃないかなとは思ってた」
エーデルリア皇女の言葉にマーガレット王妃とユーフォルディア皇女は応える
「私そんなに分かりやすかったですか?」
「なんていうかエルフィン様を目で追いかけてるしエルフィン様の話になると機嫌良くなるから」
「でもどんなにお慕いしてもエルフィン様には女性の方がいらっしゃるのですよね?」
エーデルリア皇女は王妃様に問いかける
「確かにエルフィン君とクイナちゃんは仲睦まじい関係だけど、エリィちゃんはクイナちゃんを排除してでも一緒にいたいの?」
「そんな事は考えていません!私はあの方の近くにいたいというか、お話がしたいと言いますか……こんな感情初めてでどう表現していいのか」
その言葉に王妃は
「エリィちゃんそれが男性に恋をするということよ」
「恋?あぁこれが恋なんですね、でもダメですね初恋は実らないと聞きますし」
「あら!そんなの決めつけたらダメよ」
「ですがその女性が許してくれないでしょう」
エーデルリア皇女は気落ちした表情で応える
「それならクイナちゃんに直接聞いて見なさいな、その場を作ってあげるから」
「えっ?」
「クイナちゃんはとてもできた娘なの、あの子はエルフィン君の事をとても愛している。だからこそ一生懸命支えようとしている」
「でしてら尚のこと私が入る余地はないのでは」
王妃はエーデルリア皇女に微笑みながら
「前にクイナちゃんと話した時に聞いた事なのだけど、彼女はエルフィン君がとても凄い実力者である事を理解している。困っている人ほっとけない性格なのも知っているだからこそ好意を寄せる女性が出てくるだろうと」
「そのような事を…」
「えぇだからその女性の気持ちが本物なら私はその方と協力してエルフィン君を支えていきたい。私一人の力ではエルフィン君程の人物を支えきれない、でも同じ男性を好きになった者同士なら支えられるってね」
エーデルリア皇女はクイナの言葉を聞いて考え込む
「クイナ様は本当にエルフィン様の事を第一に考えておられるのですね」
「そうね、だからエリィちゃんがクイナちゃんに正直に想いを伝えれば、あなたがクイナちゃんと一緒にエルフィン君を支える意思があるのならしっかり伝えなさい」
「………はい、王妃様」
そこには真剣に想いを込める皇女の顔があった
「……で、少し話が変わるけどエルフィン君と一緒に居たいのならあなたからアプローチをかけないとダメよ」
「えっ?私からですか!」
真剣な表情から一変恥ずかしそうな顔になる
「それはそうよ!エルフィン君がいくら凄くても立場上は平民よ?たとえ本人達が気にしなくても皇女である貴女とは身分が違いすぎるからエルフィン君からあなたを誘う事はできないのよ」
「ですが私からアプローチをかけるなんていったい何をすれば!」
「そうね、クイナちゃんとの事は会ってからするとしてエルフィン君とエリィちゃんをくっつけるなら外堀から埋めた方がいいわよね。何がいいかしら?」
そこで静かに聞いていたユーフォルディア皇女が
「だったらエリィ、明日エルフィン様が来た時に―――――」
3人での作戦が始まる
「―――――えぇぇ!ユディ姉様それだと他の人達にも知られちゃいますよ!」
「それでいいのよ!エルフィン様は今後必ず有名になられるわよ。そうなってから言い寄っても名声目当てと勘違いされるかもしれない。だから早い段階で気持ちと覚悟を示すの、今から態度をハッキリさせとけばエルフィン様自身を慕っていると周りに示せて名声目当ての人達を牽制できる」
ユーフォルディア皇女は自信満々で力説した
「そうね、ちょっと強引かもしれないけど、これぐらいしないとダメかも」
王妃もこの話に乗ってきた
「わかりました!明日エルフィン様が来られた時に頼んでみます!」
「エリィ!勇気をだして」
「エリィちゃん私も応援するから」
3人は明日に向けて意気揚々としていた。だがこの作戦には1番初期の段階で大きな落とし穴がある事を3人はまだ気づいていない




