間話1
エルフィンを見送ったカーマインはある部屋に向かっていた
ノックをして入る
「おはようございます、父上」
「おはよう、カーマイン」
「たった今エルフィンが新しい住居に向かうため城を出立しました」
「そうか」
国王は見ていた書類を机に置き椅子にもたれる
「今回はあの者のおかげで窮地を抜ける事が出来た、カーマインの命を救い王国の膿を取り除く事が出来た」
「はい…エルフィンがいなければ私は今頃……」
まさに幸運だった、そうカーマインは思っていた
「ミハエル殿の身内と言うのも驚きではあったが治療における知識は素晴らしい物であった」
陛下は治療の様子を思い出し感心している
「今回の件の褒美に爵位を与えるつもりであったがあっさり断られてしまったからな」
「私も側近にならないかと聞きましたがいろいろとめんどくさそうっと言ってダメでした」
「ハッハッハッまさに先王から聞いたミハエル殿そっくりだな」
陛下は昔聞いた事を思い出し笑っている
「ところでカーマインよ、お前は彼奴のことをどう思っている」
「どう、っと言いますと?」
「そのままの意味だ、カーマインの印象だな」
「そうですね」
少し考えたあと
「年齢も近い事もあってか親しみやすいです。身分に関係なく話せます、貴族でないからか余計な勘ぐりもしなくて済む」
「うむ」
「まだ知り合って1ヶ月ほどですがこいつなら信用できると思いました、何より私に何かあったら助けてやると言われた時は嬉しかった」
「なるほどな」
そう言って国王は一枚の紙をカーマインに渡す
「それはギルドマスターから送られた報告書だ」
「一体何が……これはまた」
紙にはエルフィンの事が書かれており三つの職種において王級であると書かれていた
「どう思う?」
「驚きはしましたが逆に納得もしています、弓はわかりませんが回復術士と錬金術士は実際に確認してますから」
「それで彼奴への考えは変わるか?」
「いいえ何も、エルフィンが凄いのはわかってましたしこれからもアイツとは良き友でいたい……父上、私を試しましたね?」
「すまんな、だがその思い大切にしなさい。損得抜きで信用できる者はどんな物より貴重だ、先王にとってのミハエル殿、余にとってのグラントやマリアロスのように」
「はい!肝に銘じます」
「特にエルフィンは王国の今後を左右するほどの力がある、仮に彼が間違った方向に進みそうになったら正してやるのも友の務め、彼に頼りすぎずかつ支えてやるように」
その後いくつか公務の予定を話部屋を後にする
国王の言葉を思い出しながら考える
「やっぱり一応手配した方がいいよな…」
そうつぶやき近くの兵士に
「第三騎士団長を私の執務室に呼んでくれ」
「はっ!かしこまりました」
「悪く思うなよ、エルフィン」
カーマインはニヤッと笑う




