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69話 決着


 高速移動でゴーレムの元へ駆ける。

 そんなメルに、スティオラは付与解除魔法で援護した。


「【エンハンス・リジェクト】


 多重にかかるゴーレムのプロテクションを一枚一枚はがし、徐々に脆くなる装甲。


『守りを弱めたところでっ!』


 しかしイズリスはもはやガードなど考えず、見境なくゴーレムの指先から熱光線を乱射するが。

 触れれば即死の光線をスレスレで躱し、なおもメルは前進する。


 その様子を見ながら、ヴィクスは呟いた。


「俺と君との差はなんだ。力を得て、理に抗い、命を捨てる覚悟もあった。そしてようやくここまで来たのに、俺は間違えてしまった」


 取り返しのつかない失敗をした事の、どうしようもない後悔。


「なのに君は、無計画とも思える行動力一つで、滅びゆく世界を変えようとしている……この差はなんだ」


 ヴィクスの呟きを隣で聞くコマチは、溜息混じりでメルの代わりに答えた。


「アイツはお前と違って、世界なんてデカい事考えてねえよ」


 それは幼馴染だからこそ知っている、彼女の性格。


「いつだって真っ直ぐなだけだ。自分の感情に素直で、全力で、後先を考えねえからいつも俺を心配させる」


 愚痴という名の、称賛を。


「だけど、アイツは絶対諦めない奴だから……何度だって俺はアイツを守るんだ!」


 そう言いながら、コマチはワールドシフターへ向けて矢を放つ。


「【ミリアドコメット】」


 後方から援護するように、コマチは無数の矢を降らせゴーレムの動きを鈍らせた。

 続けてメヴィカも追い打ちをかける。


「殺傷能力高めの自信作、『スパイラルレールガン』。脳天に風穴開けちゃいます!」


 ライフル銃から放たれる電熱光線でワールドシフターの頭部を貫く。


 だが、それでも倒れぬゴーレムは、徐々に接近するメルに向け、熱光線を止め代わりに十本の腕を伸ばしながら掴みかかった。


「メルさんに触れるな!」


 しかし、そんなイズリスの行動を読んだスティオラは衝撃魔法を繰り出しそれを止める。


「【フィフス・ディストラクション】」


 詠唱と共にゴーレムの周囲から五つの小さな光が現れ、その直後、小さな光は一斉にして彼方まで轟く破裂音と共に強力な衝撃を引き起こした。

 直撃を受けた腕の数本は破壊され、ゴーレムに大きく隙が出来る。


 道が開けた直線状で、目前まで迫ったメルは【エリアルフェザー】を唱え、両足に透明な大気の翼を生やし宙へ駆け上がった。


 高く、もっと高く。

 確実に当てるため、もっと近くへ……。


「これでトドメ……っ!」


 剣を構え、ゴーレムの胸元に切っ先を向けた瞬間――。


『そう上手くいくわけないでしょ!』


 寸前のところで、残った巨大な腕がメルに平手打ちを食らわせる。

 脳が揺れ、視界が揺らぐ。その衝撃で【エリアルフェザー】が解除され、大きく宙を舞いながら下降した。


 身体強化スキルがなければ即死だった身体に激痛が走る。

 それでも剣は握ったまま、眼はゴーレムを、イズリスを捉えていた。

 ここまで来て引き下がるつもりはないと。

 絶対に諦めないと、強い意志をそのままに。



「まだだっ!」



 メルに呼応するように、コマチが叫んだ。


「メヴィカ、盾をメルに向けろ!」

「え……うぇ?」


 コマチの圧力に、メヴィカは自然と『リフレクトシールド』を言われるがままメルに向け。


「【ラピッドムーヴ】!」


 すると、コマチはメヴィカの元へ高速移動スキルを使いながら全速力でダッシュした。


「え……まさか」


 そのまま飛び蹴りでメヴィカの盾を蹴り飛ばし、盾の反射効果によりコマチは勢いをつけメルの元へと飛んで行く。


 風を切りながら、空から落ちるメルへ接近し、抱きかかえる形でキャッチした。


「うおっ? コマちゃん?」


 片手でメルを抱えながら、尚も二人は上空へ浮上する。

 そして――。


「【バインドチェイン】!」


 コマチはもう片方の手から魔法の鎖を飛ばし、ゴーレムの首へ巻き付けた。


「メルっ! 剣を構えろ!」


 巻き付けた鎖をしっかり握り、鎖が伸び切ると跳躍の勢いが止まる。


 そして、鎖は振り子のように上から下へと下降し。

 その先は丁度ゴーレムの胴体に直撃する位置となっており、メルはそのまま剣先を向けて、叫ぶ。


「【フレア・アクシズ】!」


 シュシュから受け継いだ、魔王をも滅する炎の剣技。


 その剣がゴーレムに触れると、持っていた剣が光り出し、剣先から閃光の柱が生み出される。




 それは、光の軌跡。

 天まで届く光の柱はゴーレムの胴体を貫き、巨大なトンネルを開通させた。


「あれは……あの剣技は……シュシュの! 何故?」


 遠くから見守るヴィクスは、突如メルから放たれた、赤く光る高熱の軌跡を目に焼き付け……。

 彼と共に、世界を救ったいつの日かを思い出し、自然と涙が零れた。


「シュシュ、君は……あの子に託したのかい?」


 穏やかな笑みを浮かべ、今は亡き友人にそう問いかける。




 そして。

 貫いたゴーレムの胴を潜り抜けると同時に鎖が消え、二人は共に落下した。





ご覧頂き有難うございます。

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