表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/72

68話 最終決戦


 朽ちた屍から息を吹き返した三人は、突然場面が変わった現状に困惑していた。


「はっ! ……なんだ、俺、どうなったんだ?」


 コマチの感覚ではわずか数秒。その間の記憶はなく、気づけば目の前でメルとリルテスタがゴーレムの上に乗り攻防を繰り広げている姿。


 三人の様子に気づいたリルテスタは、ゴーレムの魔力を吸収し続けるメルの肩をゆすり、コマチ達のほうへ指を差す。


「メル、もうよい、皆の意識が戻ったようじゃ」


 メヴィカも、スティオラも、そしてコマチも、元の姿に戻っている。

 ちゃんと生きている。

 それだけで、メルは嬉しさから涙が零れた。


「…………やった」


 純粋な笑顔を見せるメルに、リルテスタも釣られて微笑を浮かべた。


「わしらも一度撤退するぞ。掴まれ」


 と、メルを担いでゴーレムの頭部から飛び降りる。

 その瞬間――。


『鬱陶しいのよアンタ達はっ!』


 バチンと、二人の体を覆い尽くす程の巨大な手の平が彼女達に直撃した。

 二人は強烈な一撃により地面に強く叩きつけられる。


「メルっ!」


 青ざめた表情でコマチは二人の元へ駆け寄ると……。


「おい、大丈夫か二人共!」


「コマちゃん……アタシは大丈夫だけど、リルがっ…………」


 咄嗟にメルを庇いダメージを肩代わりしたリルテスタは、全身の骨が砕け、さらに身体強化魔法も解けた影響により、反動で筋線維も断裂、ボロボロの状態で二人を見つめる。


「わしは……問題ない……少し休めば回復するわい。メル、コマチ……後はお前達に任せるぞ」


 それだけ言うと、リルテスタはそのまま意識を失った。



 二人は一度態勢を立て直す為、尚も迫り来るイズリスの攻撃を躱しながら、リルテスタを担ぎヴィクスの防御壁の中へ避難した。


「くそっ、あの巨人、いつの間に腕が増えたんだよ。しかもフレキシブルに伸び縮みするし……あとすごい疑問に思ったんだけど……」


 と、コマチはヴィクスを見ながら。


「なんでナチュラルにお前がいるの? 敵、だったよね?」


 何故しれっと輪の中に加わっているのか甚だ疑問に思う。


 無反応でコマチから視線を逸らすヴィクスに、パルカはフォローを入れた。


「ヴィクスさんは皆様を蘇生させる為に尽力して下さったのですよ。今もこうして私達を守っているのですから、冷たい言い方したらダメです」


「めっ!」と、優しく叱咤するパルカに、コマチは動揺しながら再びヴィクスを窺うと。


「イズリスにいい様に丸め込まれた、愚かな俺の責任だからだ」


 感謝も謝罪も心の距離も、間違っても自分に向けてくるなよと、ヴィクスはそう言っているような冷めた物言いで返す。


 その言葉を汲み取ったコマチも理解し、それ以上何も言わなかった。




 一方、パルカの指揮で状況が一変した事に苛立ちを見せるイズリスは、残りの魔力を使い防御壁を破壊しようと熱光線を浴びせ続ける。

 ヴィクスも先程から魔力を消費し続け、精神の疲労が激しい。


「それより、俺のプロテクトは長くはもたない。……スティオラ」


 と、ヴィクスは不意にスティオラに話しを振る。


「もうすぐ俺の魔力は尽きる。俺の代わりに、お前の力でゴーレムに纏っているプロテクションを解除しろ。その後は残りの者で一気に叩くんだ。もうお前達しか戦える者はいない。だから……頼む」


 そう告げるヴィクスは、命を捨てる覚悟でいた。

 マナで構成されている自分の身体は、歳を取らない代わりに自身の魔力が尽きればその器は滅びる。


 すでにギリギリのマナを防御壁に消費しながら、ヴィクスは後の事をスティオラに託すのだ。


「兄さん…………」


 この場所が自分の墓場だと、彼はそう決めていた。

 死にゆく者の目をしていた彼を、スティオラは複雑そうに見つめる。


 しかし、そんなヴィクスの元にメルが近づき。


「ヴィクス、あなたはもう休んでて。あなたを含めて、アタシがみんなを守ってみせるから」


 そんな、覚悟を揺るがす事を言うのだ。


「…………何故? 俺は君を殺そうとした。守られる理由はないが」


 メルは首を振り、そして。


「あなたに一度助けられたから。あなたは覚えてないかもしれないけど、アタシとコマちゃんはあなたと出会ったからこうして生きてる。だから、その借りを返すだけ」


 初めて出会った日を思い出し、彼への恩返しをメルはずっと考えていた。


 当のヴィクスは未だに二人を助けた記憶はなく、何故二人は自分を知っているのか疑問に思うが。

 しかし、なんとなく予想はしていた。彼らの事を、そして自分の事を。


 深く考え込むヴィクスに、メヴィカは回復ポーションを渡した。


「……これは?」


「『アンブロシア』っていう果実を調合して作った回復ポーションです。巷で売っているものと比較にならない程の高品質ですよ」


 メルが守ると決めたから。

 メヴィカはメルを信じて、無表情に見つめる彼に「グイっとどうぞ」とポーションを勧める。


 そうこうしているうちに、メルは大剣を肩で持ち。


「【ドラゴン・フォース】【フォース・リベレーション】【エンハンス・アーマー】」


 身体強化、能力限定解除、身体硬化のスキルを付与し、特攻の準備を図る。


「それじゃあ、あいつに一発ブチかましてきますわ!」


 そう言ってメルは大きく踏み込み。


「【ラピッドムーヴ】!」


 コマチからコピーした高速移動スキルで、ビル程ある巨人へ単身駆け出した。





ご覧頂き有難うございます。

申し訳ありませんが、明日はお休みさせて頂きます。



本作もそろそろ最終回が近づいて参りました。

宜しければ最後までお付き合い頂けると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ