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66話 パルカとイズリス


『私は種族間の差別なく、皆が平等に生きれる世界を創る為動いているの。あなた達と一緒にしないでもらえる?』


「ですが、そのせいで数えきれない程の人族が犠牲となり、また、時空の歪みによって全世界は侵食されてしまいます。決して合理的とは言えません」


『効率よりも感情を優先するのよ私は。心の汚れた者は構わず消去、健気に生きる者達を私の創る楽園に集めればいいの。その選別は私がするわ』


「以前同じ事をしようとした結果が、あなたが奈落へ落とされた原因ではありませんか」


 そんなパルカとイズリスの相容れない問答が続いていると。

 ふと、この体では話し辛いと思ったイズリスは、突然ゴーレムの体から思念体を分離させ、人型の光はパルカの目の前まで飛んできた。


「……何か?」


『これ以上の不毛な言い合いは無意味よ。それよりパルカ、あなたには立場上、天上界の制約があるわよね?』


「それがどうかしましたか?」


『ならあなたは、この状況ですら手出しは出来ないはずよ。あなた程位の高い者は、地上の世界に深く干渉は出来ない。……何故ならそれが神の創った掟だから』


 パルカ達の世界にまつわる掟を掘り返し、彼女に無力さを訴える。


「たしかに私自身の手で、あなたの蛮行を止める事は叶いませんね」


『つまり今のあなたはなんの役にも立たない。世界の結末を見守るただの観測者でしかないのよ』


 だが――。


「そうでもありませんよ」


 突然、パルカは前方に立つゴーレムに手の平を向け、眩く光る波動を放った。


『っっ! あなた何を?』


 今のパルカには傍観する事しか出来ないと高を括っていたイズリスだったが、突如放った魔法に驚き眉をひそめる。


「一時的にアーティファクトの効果を消させて頂きました。ついでにあの機動兵の時空を操る能力も」


『何故? あなたは掟に背けないはず…………はっ!』


 困惑した表情を浮かべる思念体は、ふとある事を思い出し、パルカは微笑を浮かべた。


「背いてはいませんよ。私が干渉出来ないものは、地上の世界で生まれたもの。元は私達の世界にあったアーティファクトに手を出す分にはお咎めはありません。同様に、時空の管理も担っている私は、機動兵の空間能力も掌握する事を許されます」


『…………パルカっ!』


 イズリスに反撃の一手を加えたパルカは、くるりと背後へ歩きメルとリルテスタへ目を向ける。


「お二人共、私が機動兵の動きを制限しますので、今のうちに破壊して頂けますか? 申し上げた通り、私は直接世界へ干渉出来ない身ですので、未来を変える大仕事はあなた方にお任せしたいのです」


 その言葉を聞いたリルテスタは立ち上がり、メルの手を引っ張る。


「メル、最後の一仕事じゃ。行くぞ」


 しかし、メルの反応は消極的であった。


「でも、みんながいない……」


 未だ落ち込んだ様子で、コマチの亡骸を見つめるメル。

 能力を制限されたとはいえ、未だ圧倒的な力を持つゴーレム。

 加えて死んでいった皆の事もあり、ショックから立ち直れずに本調子が出ない。


「この戦いを終えた後、時を操るアーティファクトとやらで皆の時を戻せばよい」


 だが、そのリルテスタの言葉にパルカは否定する。


「残念ですが、それは出来ません。アーティファクトの、時を操作する対象を世界全体に設定した場合、その膨大さ故、他に対象を移す事が出来ないのです。つまり、世界かここにいる皆様か、酷ですが選ばねばならないのです」


 その言葉に、メルは落胆した。


 皆を見捨てなければ世界を救えない。

 世界を元に戻しても、そこに皆はいない。

 いずれにしても、メルにとってはバッドエンドでしかないのだ。


 そんな時、俯くメルの様子を窺っていたパルカは「……ですが」と付け加える。


「他の方法で、皆様を蘇生させる事は可能です」


 その一言に、メルは大きく目を見開いた。


「……出来るの?」


「ええ、メルさんなら。……それと、ヴィクスさん、あなたも協力して頂けますね?」


 と、パルカは離れた場所で倒れているヴィクスに呼び掛ける。

 すると彼はむくりと起き上がり、気まずそうにパルカに返す。


「……この状況を招いた責任を取れ、という事か?」


 ヴィクスの言葉に、パルカは静かに頷いた。


「あなたの時を戻す魔法が必要なのです」


「………………」


 ヴィクスは黙ったままパルカを見つめ、そんな彼にリルテスタは問う。


「……お前もペストレシアと同じ呪術の類を使ったのか?」


 同様に時を早められたヴィクスも姿形が変わらず生存している事から、自分やメルと同じ呪術を体に付与しているとではと、彼女は心配そうに見つめる。


 ヴィクスはリルテスタに顔を向けず。


「いくつも世界を巡った経緯で、俺達の世界には存在しない魔法も多少なり知っているだけです。もっとも、この体はゴーレムと同じ、体内のマナが無くなれば俺の身体は維持出来ないが」


 後ろめたさを残した寂しい表情を隠しながら答えた。


 そしてヴィクスは杖を持ちパルカに問う。


「やれる事はする。だが時を戻す魔法は魔力消費が激しい。アーティファクト無しでは戻せる時間は数分が限界だぞ?」


「構いません、後はメルさん次第ですから」


 そして、一同はパルカ指揮の下、皆の蘇生を実行する。




ご覧頂き有難うございます。

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