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61話 はじまりの白き巨人


 リルテスタから離れた場所で、未だコマチとメルの掃討戦は続いていた。


「突っ切るぞ、メル」


 コマチは合図と同時に上空から光弾の雨を降らせ、脱出経路を確保する。

 活路が見えたその道を二人は一直線に走り、討ち漏らした魔物をお互い左右から掃討しながらスティオラ達の元へ急ぐ。


 と、そんな時だった。


 二人が魔物の群れを駆け抜けるその横で、突如巨大な影が現れる。


 丁度リルテスタが戦っている場所から生まれたその影は……コマチとメルの瞳に深く焼き付いた、過去の恐怖が蘇る白い巨人の姿だった。


「あれは……あの時の!」


 自分達の町を破壊した化け物、異世界に行くきっかけとなった、はじまりの白き巨人。

 二人は同時に立ち止まり、ゴーレムを目にした身体は無意識に強張った。


 そんな二人の事など露知らず、ゴーレムは腕を大きく掲げ、バチバチと電流を纏ったような鉄槌をその場に振り下ろすのだ。


 その動作から周囲への影響を【サーチ】で予測したコマチは、その瞬間に生命の危機を感じた。


「くっ……!」


 大地に打ち付けた鉄槌から放たれる、広範囲の放電。


「まずい! メル、背中に乗れっ!」


 咄嗟にメルを担ぎ、少しでも遠くへ逃れようと全力で走る。


「【ラピッドムーヴ】」


 高速移動で距離を離そうとするも、大地から伝わる放電はみるみるうちに拡散していき二人の前まで差し迫る。


「くそがあああ!」


 叫びながら、コマチはスティオラの防御壁まで猛進し、ギリギリの刹那でダイブした。

 触れるか触れぬか、背後で高熱量を発せられる何かが通りすぎ、一気に二人の血の気が引く。


「いっ……つつ。メル大丈夫か?」


「バフかけてたから何とか……。もう効果切れたけど」


 どうにか二人はスティオラの防御壁の中に避難し、間一髪命と直結する攻撃を逃れた。


「二人共、無事ですか?」


 疲労困憊の二人を心配したスティオラは、駆け付け際に回復魔法を唱える。


「スティ男君、サンクス」


「大事に至らなくて何よりです。ですが、あの威力はまずいですね。僕の防御魔法でもどこまで耐えられるか……」


 スティオラは、白い巨人を見上げながら難しい顔を浮かべた。

 キロ単位で離れた位置にいながらも、ゴーレムから放たれる一撃は、自分達のいる場所まで十分な威力を残して届くのだ。


 あんなものを間近で食らったらひとたまりもない。コマチもスティオラもそんな恐怖を抱きながら遠くの巨人を窺っていると。


「……ねえ、リルは大丈夫なのかな?」


 ふと、メルの心配する声が聞こえた。


「あんなデタラメな力を持った化け物相手に、リルは無事でいるのかな?」


 遠目から見て、先程現れた三体の巨人を沈めた所までは視認出来たが、それ以降リルテスタの姿が見当たらない。


 不死身の彼女がやられるという事はありえるのか。

 そんな確証のない不安が押し寄せる。

 その時だった。


 白き巨人は再び鉄槌を振り上げ、今度は確実にこちら側を捉えた様子で思い切り槌を地面に叩きつける。

 すると、地割れと共に目に見える電流が地面を伝い、真っ直ぐスティオラの防御壁に向かって来るのだ。


 土を泳ぐ蛇の如く、電流は威力を増しながら近づき、周囲の魔物もろとも消し炭にしてゆく。

 スティオラは自身の防御壁を壊されないようありったけの魔力を込めて守りを固めた。


「ぐ……このままじゃ防ぎ切れない!」


 バチバチと、電流と魔法の壁がぶつかり合う。

 次第に防御壁に亀裂が入り、スティオラ自身も限界が近づいていた。


「すみません皆さん、逃げて下さい!」


 そして、スティオラが叫ぶと同時に防御壁が崩壊する。

 無防備となった彼らに襲い来る一本の巨大な放電。

 避ける暇もなく、大地を削る光線が皆の前を通過する――その刹那。


 メヴィカは電流に自ら近づき、手に持っていた盾を構え電撃を正面から受け止めた。


「メヴィー!」


 盾に直撃した瞬間、電撃は勢いのまま反射し。


「この程度で……」


 メヴィカは盾の向き調整しながら白い巨人に標準を合わせ、そのまま反射した。


「負けるかああああ!」


 そっくりそのまま攻撃を返し、戻ってきた電撃はゴーレムの体に直撃した。

 そして、巨人は怯みその場で動きを止める。


「すごいメヴィー! 何やったの?」


 力が抜け、その場にへたり込むメヴィカをメルが抱きかかえた。


「『リフレクトシールド』。あらゆる物理も魔法も反射する盾です」


 それはメヴィカが自作した魔法の盾。メヴィカのユニークスキル『高度錬金ハイクラフター』の力で作成した絶対防御の盾。


「すごいですメヴィカさん、薬剤の調合だけでなく鍛冶にも優れているとは」


 自分の魔法では防ぎきれなかった巨人の攻撃を一人で凌いだメヴィカに、スティオラは驚いた様子で称賛する。


「あの巨人の攻撃は私が防ぎます。だから、その間に出来るだけ攻撃を仕掛けて下さい」


 と、メヴィカは皆に指示を出した。


 皆の戦意はまだ喪失せず、むしろ先程よりも士気は向上していた。

 立ちはだかる白き巨人を前に、皆はそれぞれ武器を構える。




ご覧頂き有難うございます。


諸事情により明日はお休みさせて頂きます。申し訳ございません。

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