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58話 乱戦


 リルテスタがヴィクスと戦っている間、召喚された魔物の群れがコマチとメルの元へ向かってきた。


「うぁ~キモイ数の魔物が近づいて来やがる」


 コマチは【サーチ】で周囲に群がる魔物の把握と対策を練る。……しかし。


「メヴィカとスティオラは後方から援護してくれ。で、俺とメルで……あれ、待って、今思ったけどこのメンツって前衛で戦えるメインアタッカーいなくね?」


 今更ながら、リルテスタのいない状況で前衛を張れる者はいないと気付く。

 遠距離タイプの魔導士スティオラに、サポートメインのメヴィカ、そしてコマチ自身も後方支援が主な戦闘スタイルであった。


 唯一メルが剣を持つ前線タイプだが、他の騎士と比べると身体能力は高くない。

 だがしかし……。


「メインアタッカーならここにいるぜっ!」


 身体強化スキルをかけたメルはいきなり敵陣に向かって駆けて行った。


「おいっバカ! 一人で勝手に突っ込むな!」


 コマチの声を振り切り、禍々しいオーラを放つ魔物の群れへ颯爽と切り込むメルに、仕方なしにコマチも後に続く。


「メヴィカ、スティオラ、なんかもう俺達が特攻する流れになっちゃったから、あと頼むな!」


 と言って、コマチはメルの後を追った。

 そんな様子を見ながらメヴィカは。


「コマチさん、やっぱりメルちゃんの事になると、自分の戦闘スタイル無視して真正面から突っ込んじゃいますね」


 ぼそりと、呆れながら呟いた。

 すると、スティオラは隣で諭すようにメヴィカに伝える。


「良いじゃないですか、世の中には接近戦を好む魔導士もいらっしゃいますし。大事なのはマニュアルよりも自由なやり方ですよ」


 それを聞いたメヴィカはクスリと笑い。


「それは同感です。……じゃあ、そろそろ私達も役目を果たしますか」


 メヴィカは鞄からロケット花火のような砲台を幾つも取り出し、手元のリモコンで操作する。


「迎撃用小型ドローン『ドクバチ』、発射!」


 そしてスイッチを押すと、各砲台から手の平サイズのドローンが飛び出し、近づいてくる敵に殺傷能力の高い高熱レーザーを放ちながら散開した。


「面白い魔道具ですね。では僕は、皆のセーフティフィールドを張って守りを固めましょう」


 スティオラは杖を握り、広範囲に渡る結界を展開し。


「【フルプロテクト・エクステンション】」


 強力な防御結界を張り、戦場の安全地帯を作った。






 メルは敵陣の最前線で暴れ回る。


「【サウザント・アイシクルショット】!」


 無数の氷柱がメルの周囲に現れると、そのまま全方向へ氷柱は飛散した。

 貫かれた周囲の魔物はその場に倒れるが、メルの攻撃を凌いだ魔物は彼女に猛進する。


 するとメルは剣を横に振り回し、その場でコマのように回りだした。


「【パラライズ・スプラッシュ】!」


 それはシュシュとの修行の際にコピーした風魔法を付与した剣技と、以前人さらいからコピーした麻痺効果を与える魔法の複合技。


 これにより麻痺効果のある斬風を周囲に散布し、周りの魔物達はたちまち体が痺れ行動不能になる。


「【エリアルフェザー】」


 続けて、魔物が怯んだ隙にメルは浮遊魔法で上空へ駆け上り、剣を真下へ向け。


「【グラビティレイド】!」


 そして、重力を纏った剣の重さで急速落下し、地上にいた周囲の魔物を一掃した。



 この一撃でメルを囲っていた敵の一陣を掃討したが、未だ多くの魔物が向かい来る。

 何より、スキルを使い続けたメルの魔力は底を尽きていた。


「はあ……はあ……ヤバっ、もう魔力ない……」


 息を切らしながら立ち止まるメルに、シャドウウルフが襲い掛かる。

 その刹那――。


「【ミリアドコメット】!」


 メルを追ってきたコマチは上空から無数の光の矢を降らせ、メルに当たらないように計算した位置で周囲のシャドウウルフを射抜いた。


「【ヴァーティカルショット】!」


 続け様にコマチは地面に矢を放つと、それは光の柱のように垂直に光線が立ち上り、上空からメルを襲おうとしていたグリフォンに直撃する。


「【ラピッドムーヴ】」


 グリフォンが落下するのを確認した後、一体のオーガがメルの後方から襲い掛かる姿を捉えたコマチは、高速移動スキルでメルの背後まで近づき、オーガが振り下ろす鈍器を短剣で地面へ受け流した。


「コマちゃんっ!」


 地面に叩き付けられた鈍器を振り上げられないようにコマチは鈍器を足で押さえ付け、片手に短剣と、もう片手に『ガントレットボウガン』の矢を握る。


「メルに手え出してんじゃねえぞ!」


 コマチは魔力を込め、クロスさせた両手をオーガに向ける。


「【コンプレッション・クロスエッジ】!」


 そして圧縮された双方の刃でオーガを切り裂いた。


 呻き声を上げながらオーガはその場に倒れた事を確認すると、コマチとメルはお互い背中を合わせて辺りを窺う。


「んひひ、カッコいいねコマちゃん」


「バテバテのくせに余裕だな! だから一人で突っ込むなって言ったんだよ」


「えへへ、さーせん」


 軽く謝罪をするが、それよりもコマチが助けてくれた事が嬉しく思い、顔のニヤけが止まらないメル。


「とりあえずこの場所だとすぐに囲まれる。スティオラが防御結界みたいなの張ってるから一旦そっちに戻ろう」


 メルに魔力回復ポーションを渡し、未だ続くリルテスタとヴィクスの戦闘を遠目で窺いながら彼女の無事を願い、コマチはメルを連れて乱戦地帯を駆け抜けた。




 一方、リルテスタとヴィクスの戦いも激化し、二人は熾烈を極めた。





ご覧頂き有難うございます。

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