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12話 クエストで日銭稼ぎ


 翌朝、清々しい朝を迎えた二人は当初の予定通りメヴィカの捜索に向かう。

 宿屋を出る前にエーテラルからメヴィカについての情報がないか聞いてみると。


「彼女は町でも有名な薬師よ。彼女の営んでいる薬屋は、品質の高い回復ポーションや解毒剤を格安で売っているから常に客足が途絶える事のない繁盛店なの。……ええそりゃあもう私なんかとは比べものにならないくらい生活水準の高い暮らしをしているでしょうね」


 などと、実に羨ましそうに語る。

 その薬屋は城下町の北に位置する場所にあるらしいが。


「けど気をつけて、彼女の店に行くには貧民街を通るのが近道なんだけど、そこでたまに人さらいが起きているらしいから。メルちゃんみたいな若い子はすぐに目を付けられちゃうわ」


 エーテラルの話を聞き、貧民街や人さらいなどと、二人がいた場所ではあまり縁のない話をされコマチは一層不安になる。


「王が代替わりして昔よりだいぶ減ったようだけど、それでも未だに人身売買で生計を立てている者もいるから注意してね。もし薬屋に行くなら遠回りだけど、中央通りから迂回するほうが安全よ」


 と、エーテラルはこの町の地図を渡して念を押す。


「ありがとう。色々助かったよ」


 コマチは安全圏でメヴィカの元へ向かうと決め、世話になったエーテラルに礼を言い、その場を後にした。







 その道中、メルはある建物を見てコマチの袖を引っ張る。


「コマちゃん! あれ、冒険者ギルドってやつじゃない?」


 メルの言う通り、そこは冒険者達が張り紙に張られた様々仕事、クエストを受注出来る施設であり、成功に応じて報酬が受け取れる出稼ぎの場である。


「メヴィカさんの用事が終わったらちょっと見に行こうよ!」


「まあ、たしかに金は欲しいからな」


 メルの提案にコマチも賛成し、店前の掲示板を眺めた。

 パルカのスキルのおかげで異世界の文字も読めるようになったコマチは、店の外に張られているクエスト依頼を流し見すると。


「う~ん、よく分からないが、星マークが多いのは難しいクエストっぽいな。どうせなら簡単なやつがいいし……後で店の中の掲示板も見てみようか」


 と、コマチは何気なく店内の様子を窺うと……。


「おっ、おっ? あんたらも冒険者かい?」


 職員らしき人物とばったり目が合ってしまう。


「まあ、それっぽい感じです……」


 実際は違うが、ここは話しを合わせたほうが無難だと思いコマチは中年のギルド職員に答える。

 すると、男はコマチの腕をグイっと引っ張り強引に店の中へと招いた。


「いや~ちょうど人手が足りなかったところなんだ。悪いが君達もこの依頼を受けてはくれんかね?」


 と言って渡されたのが、一枚のクエスト依頼書。


「……レッサーデビルの討伐?」


 その名の通り、下級の悪魔を討伐する内容であった。


「近頃どういうわけか、町の外でレッサーデビルの被害が相次いでね。貿易の要である穀物も何ヵ所かダメにされているんだよ」


 職員の男は溜息を吐きながら詳細を説明する。


「目撃されているレッサーデビルは三体だ。そこで彼らと一緒に討伐を頼みたい」


 と、男が後ろを指差すと、そこには同業者らしき人物が十人程揃っていた。

 人が好さそうに手を振る者や、他人に興味ないと言った不愛想な者、緊張してるのか終始ソワソワしている者、様々だ。


 しかし、流れるように連れて来られた二人だが、先にメヴィカに届け物を渡したい気持ちのコマチはやんわり断ろうとする。


「いや~あの~、今はちょっと用事が……」


 と、そんな様子のコマチを他所に。


「うっわ、お兄さんの剣超カッコイイ! いかにも剣士って感じ~」

「え、あ……そう?」


「おお! そこのおじさんの持っているのはもしやバトルアックスでは?」

「おう、嬢ちゃんこいつの良さが分かるのかい?」


「うんうん良き良き。そして新人君、君のフルプレートメイル! あ~この色つや、まさしくファンタジー!」

「ちょっ、そんなすり寄らないで下さい……。あ、あと一応僕は中堅です……」


 コマチが断りの返事をしている最中にも、メルはお構いなしで他の冒険者達との交流を深める。


 もはやこのメンバーに溶け込んだメルによって、断るタイミングを逃すコマチだった。





ご覧頂き有難うございます。

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