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死にゆく中で 

短くてすみません

 勇者に殺され、死にゆく中で私は前世の記憶を思い出していた。

 私の名前は天草凛あまくさりんだった。そして今の名前はベリアルだ。

 前世の私は小さい頃から病気でとても体が弱かった。学校にもろくに通えず小中は数えるくらいしか学校に行ってはいなし、友達もいなかった。高校は通信制にした。けど私は卒業できなかった。17歳で死んでしまったからだ。もっと生きていたかったし、悔しかった。恋人も夢も友達も何も持っていなかったのに。あんまりだと思った。

 けど、悲しいことが全てではなかった。両親は体の弱い私を嫌っていたけど、唯一お姉ちゃんの天草楓あまくさかえでは違っていた。毎日お見舞いに来てくれた。姉でもあり友達でもあった。辛いけど幸せな日々だった。

 しかし、幸せな日々は長くは続かなかった。17歳になった途端に病気が悪化した。自分でもわかるほど日々に痩せ細り、皮だけになってゆき、呼吸をするのも辛かった。お姉ちゃんは毎日お見舞いに来るたび泣いていた。お姉ちゃんのせいでは無いのに「ごめんね、ごめんね、凛、ごめん」と泣いてる姿に悲しくなった。そして私の命が寸前、お姉ちゃんはお見舞いに来る途中でトラックにはねられる事故にあった。私たちの命の灯火は同時にあっけなく消えた。


* * *

そして目が覚めたら、見知らぬ天井があった。私は前世プレイしていたラブマジック(戦闘乙女ゲーム)のボスキャラ・ベリアルの3歳の時に転生していた。ベリアルは悪魔の名前だ。邪悪なもの、無価値なものという意味を持っている堕天使だ。

 なぜそんな名前がつけられたのか、館のメイド達の話を聞いて知った。ベリアルの母は女神と呼ばれるほど美しい容姿と金髪を持つファエル・ファーレン公爵婦人であり、父はこのセザーナ王国で一、二を争う美貌を持つハミエル・ファーレン公爵であった。

 しかし産まれたベリアルが2人に似ていたのは容姿だけであり、髪の色は2人のどちらでもない漆黒であった。そしてなりより、ベリアルは大量の闇属性の魔力を持っていたのだ。代々光属性の魔力を持つ者を出してきたファーレン公爵家では闇属性の魔力を持つベリアルはファーレン公爵家の汚点でしかなかった。

 そのため邪悪なもの、無価値なものという意味を持ち女神と呼ばれる母から悪魔が産まれた堕天使という意味でベリアルと名づけられたのだ。

 ゲームにも載ってないベリアルという名の事実を知り悲しくなったが、それより新たな人生が始まったことに喜んでいた。

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