009 スノウの嘘 ~ その1 ~
「よし時間だ、サービスイン」
意識が吸い込まれる、そしてゲームタイトルが現れ、初期処理が行われる。数秒で終了し、ゆっくり明るくなる。
軽快な音楽とともに、『ようこそ”Revolution World Online”』と迎えてくれる。
「ホーク、居るか?」
ホークを探すべく周りを見回したが、誰か居るような気配がない。どこかの村?街?に自分一人ポツンと降り立った、そんな感じだ。
NPCも見当たらない、目の前には大きい円形の建物、言ってみればコロッセオだっけな、そんな感じ。その周りにお店と思われる建物が並んでいる。看板に武器の絵が描いてあるからきっとそうなんだろう。
とりあえず、歩き出そうかと右足を出した瞬間、建物の扉が開いた。開始早々、いきなり戦闘は始まらないだろう。
ドキドキしながら見ていたら、NPCと思われるキャラクターがこちらに向かってきた。
「こんにちは。初めまして。スノウこと、前原雪之助さんでよろしいでしょうか?」
「はい」
「ようこそ”Revolution World Online”の世界へ。早速チュートリアルを始めますがよろしいでしょうか?」
「はい」
「これからは、プレイヤーネーム、スノウ様とお呼びさせていただきます、よろしくお願いします」
「はい」
「それでは、キャラクター登録を行いますので、私について来てください」
美人キャラにいきなり声をかけられ、「はい」しか答えられないスノウだった。
脳内の情報吸い取られたんじゃねってくらい、スノウには好みのタイプで声が出なかった。NPCについていくと、建物の扉に入って行くのでついていく。
中はかなり広く、カウンターや、扉がいたるところにあるが、誰もいない。テーブルの一つに着くよう促されたので椅子に座る。
「では早速ですが、キャラクター設定に入らせていただきます。事前入力された情報に間違い、変更はございませんか?」
「はい」
「もし著しく異なる場合、この先のキャラクター設定にペナルティが発生しますが、ご了解いただけますか?」
「はい」
「では、まず職業選択をお願いします」
~~ 職業とは ~~
・基本的に職業は自己申告制である
・ギルドで職業を登録変更ができる
・転職はいつでもOK
ただし一部条件により、転職不可になることがある
・各職業は、次の3つのカテゴリーに分類される
”戦士職(戦)”、”魔法職(魔)”、”生産職(生)”
・それぞれのカテゴリーによってステータスの成長やスキルの取得に差が生じる
・レア職業が存在し、複数のカテゴリーの性質をもった職業が存在する
ただし、レア職業に転職する場合には一定のレベルもしくはスキルを必要とする
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「弓関係の職業って何があるの?」
「弓士、射手、弓騎士、弓戦士、弓騎兵、アーチャーなどがございます」
「それぞれの違いは?」
「特に違いはございません。装備ができないということもありませんので、自分の思う職業で結構でございます。ただ、馬に乗って弓を扱うのであれば、弓騎兵とか、装備あった職業というのがよろしいかと思われます」
「なるほど。じゃあ初期装備の弓だと弓士ってことでいいのかな?」
「そうですね、最初の初期弓でしたら、弓士でいいのではないでしょうか。またお強くなられたり、武器を持ち換えたときに変更されてみてはいかがでしょう」
職業によって武具が変わるわけではないらしい。自分でコレと思うものに名乗ればそれが職業なのだ。
「じゃあ弓士で」
「かしこまりました、カテゴリーは”戦士職(戦)”でよろしいですね。…………………ひとつお伺いします、ご提出いただきました特技『インターハイ3位』の記録ですが、実際の結果と異なるようですが?」
「え……いや3位ですけど」
「こちらで確認致しました結果は8位となっております。これは虚偽申請という判断になりますが?」
「いや……」
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