019 ホークとスノウと美人姉妹
「さて、人が増える前にギルド巡りするか」
「俺、辞めたい」
落ち込むスノウにホークが声を掛ける。
「折角だから、いけるところまで頑張ろうぜ、パーティ組めばまだなんとかなるだろ」
「おまえに迷惑かけながらは辛いものがある」
「じゃあリアルで飯喰わせろ、それでチャラにしてやる」
「それでいいなら……ほんと迷惑かけるな」
「迷惑言うな。部活のことを考えればこれくらいたいしたことねーよ」
お金も少ないので装備も買い替えができない。今できることと言えば、ギルド登録をしてクエストをこなして金を貯めること、そしてレベリング。
一人で無理なことでも二人ならなんとかなるだろう。少し時間はかかるかもしれないが、一つづつ解決するしかない。
そういう意味でもまずは総合ギルドに行くことにする。
「おーい、そこの男前のおにーさん!」
後ろから声が聞こえた。が、自分たちじゃないなと振り向くことなく歩く。
「そこの、道着のおにーさんだよっ!」
ホークが周りを見た。道着って俺のこと?
「なんだ?」
「二人でどこに行くんだ?」
「……どこでもいいだろ」
先ほどスノウの恰好を見て笑っていた二人だ。いくら美人だろうが、人を笑う奴とまともに会話すらしたくない。
「なにか用事か?こっちは急いでるんだ」
「美人のおねーさんをそんなに邪険にするもんじゃないよ」
「だからなんだ。さっき人のこと笑ってたろ。相手にする気もないんだが」
「ごめんごめん。ちょっと見た目格差がツボってな……気を悪くしたなら謝る」
スノウが落ち込んでる?怒ってる?下を向いたまま震えてるんだが。
「どうでもいいけど、なんの用だ?」
「いやね、あなたの恰好がビシッと決まってるからさ。ちょっとお話がしたいな、と」
大剣を持った騎士風の女性が近寄ってくる。隣の魔導士風の女性とは瓜二つ。
双子で美人とか、最初の印象さえ悪くなければお友達になりたい逸材ではあるが……
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