016 ほくそ笑む斎藤 ~ その2 ~
「社長、掲示板見てる?」
「盛り上がってるぞー」
「ネタバレ関係はある?」
「"Liar"の話が多いな。Lv.10の解放条件ってバレたっけ?」
「いや、まだ誰も達成していないので大丈夫なはず」
「だよな、なんかLv.10狙うってやつが出てきてるからバレたのかと思ったわ」
「そう易々と看破されてたまるかって」
いきなりLv.10なんて出てもらっちゃ困る。でも、20万人もいれば一人くらい出るかもしれない。
とは言え、Lv.10が登場しちゃうと、今の状況がサクッと進んでイベントが前倒しになっちゃうんだよね。
せめて二日くらいは悩んで欲しいところだ。そして何人残るか、おまえらと我慢比べがしたいとも思ってる。
「しかしイーチマの街の混雑具合はすごいな」
「バレそう?」
「βテスター組がヒント探してる模様」
「β組なら気付くかな?それに加担できるプレイヤーを探せるかってところが肝なんだけど」
「キーマンは何人だ?」
「今のところ5000人少しかな」
「あー、その赤マーカーだな」
ここの監視モニターは全部で100台を超える。
違反行為の監視はもとより、全体の状況を把握できるよう、様々な状況が瞬時にわかるようになっている。
メインビジョンでは現在イーチマの街の全体マップが映されていて、その中に赤い点が5000ほど動いてる。
「これって絶対クエスト達成しない限りは外にでられないんですかぁー?」
「裏技はない。すべてチェック済み」
「でもこのままじゃ先に進まないから、みんな辞めちゃいますよぉー」
「上等だw」
「明日の”やっほニュース”のトップは貰ったな」
「そんな不名誉ニュースで喜ばないでくださいよぉー」
「取り上げられてナンボだ、”やっほニュース”のトップだとCM料数千万相当だぞ」
三人はモニターを見ながら、のんびりコーヒーを飲むのであった。
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