010 スノウの嘘 ~ その2 ~
おいおい、マジかよ。
大会結果と照合されるなんて思ってなかったぞ。嘘ついてたのバレたらペナなんだろ、ごまかせないものか……
雪之助は焦っていた、まさかそういう形でチェックされるとは思っていなかったのだ。
しかし、ヘッドセットをつけている以上頭の中を覗かれているようなものだ。ウソ発見器で言えば1000%嘘ついてます、って波長がダダ洩れしてる状況だろう。
「申し開きが無いようですので、虚偽申請確定となります。残念ですがキャラクター設定にペナルティが発生します」
「……はい、すみません」
「続きまして、体力測定、知力検査など行います。簡単な検査ですので気楽に受けてください」
体育の授業でやるような体力テストをもっと簡単にしたもの。主要5科目のテスト、最近やったものなのである程度できたとおもう。変わったことといえば、さいころ20回、じゃんけんを20回。これは運要素?なのかな。
そのあと、奥にある弓道場に連れていかれた。実際に試技を行い、ステータスに反映されるようだ。
「スノウ様、お待たせいたしました。続きましてアバターの設定を行いますか?」
写真を入力していたので、それをデフォルメした上で美形補正がかけてある。身長体重も自己申告だったが、こちらは正しい数値を入れておいた。もしかすると、先の体力テストの動きでバレてしまうのだろうか。
髪型や色、初期デザインを選ぶことができたので変更することにする。目の大きさや色まで変えられるらしい。雪だけに白髪、いや銀髪にしてみる。
なかなか恰好良くできあがったのではないか、姿見で確認し完了報告をする。
「スノウ様、これでよろしいでしょうか?」
「はい」
「それでは、初期装備をお渡しします」
壊れかけの弓、矢、Tシャツ、短パン、を渡された。今着てるのは仮の服装、ゲームスタート地点に転移されるときに替わるみたいだ。
「最後になりますが、称号"Liar"が付与されました。各種ステータスは後ほどご確認ください」
ん、称号"Liar"って?英語が苦手なスノウにはわからない。
「あの……装備がかなり貧相なんですが?」
「はい、先ほどのペナルティによる調整が入っております」
「そうですか……あ、この称号"Liar"って何?」
「はい、虚偽申請がございましたので、"Liar"の称号が付くことになります」
「意味は?」
「はい、"嘘つき"という意味合いになります」
なにっ、そんな称号いらないよ。なにそれ……
「この称号は無くなることはないの?」
「レベルアップやクエストをこなし、信用信頼を高めることにより、総合ギルドで再試験を受けていただけます。それに合格すれば削除されます」
「詳しい条件はわからない?」
「詳細は複雑な計算式になっており、非公表になります。総合ギルドをお尋ね頂き、再試験の受験資格が発生すれば条件クリアということになります」
「ちなみに職業を変えることは?」
「称号"Liar"になりますと、転職がほぼ不可能になります。特例はあるようですが、まず転職ができません」
ちょっとちょっと、ペナルティがきついな。
「その他ご質問はございませんでしょうか?無ければチュートリアル終了として、ゲーム開始となります」
「もう一度最初から、データを入力するところからやり直すことはできない?」
「現時点ではできません。このあと総合ギルドでデータ追加はできますが、既に入力されたものの訂正はできないことになっております」
「そうですか……」
「それでは転送を開始してよろしいですか?」
「……はい」
はあぁ、辞めたい……しかし翔を誘った手前辞めるわけにはいかないか。
『イーチマの街に到着です』
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