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何でも屋は何でもする  作者: 阿須野夢見
1.5章
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第1.5章第四話

「えーっとじゃあ今日からこのクラスに編入する天ノ河 結衣さんだー。えっと天ノ河。自己紹介よろしく。」

「は、はい。えーと。初めまして、天ノ河 結衣です。親の仕事の都合でここに来ました。これからみんなとは仲良くしていきたいと思ってます。よろしくお願いしましゅ。」

 赤面させもじもじし、しまいには噛んで顔から火が出そうなほど恥ずかしがっている彼女を見て男子一同はこう思った。

 こ、こいつ…かわいい!!

「はい、自己紹介ありがとー。ちなみに私は教田おしえだ るい。よろしくな。お前は窓側の1番後ろの席座ってねー。」

「はい。」

「よし、みんな座ったな。実はな、今日はこれだけじゃないんだぜ?」

「累ちゃん先生どう言うことー?あ!もしかしてついに累ちゃん先生にも春が来たのかー?」

一人の生徒が質問をする。

「おい黙れよガキが。お前らみたいにこっちは余裕がねーんだよ。下手すりゃ一生独身なんだよ!まぁいいクソガキども。今私は機嫌がいい。なんてったって副担任の先月から私より年下のくせに結婚、産休でお休みを取られやがっていらっしゃるさぞ幸せな新田先生の代わりに今日から新任の先生がいらしてくれたぞ!」

 結衣を除く一同は察した。あ、これ新しい先生独身男性だ…と。

「じゃあ先生!どうぞ!!」

「はい。」

 ん?どっかで聞いたことあるぞこの声このイケボ。

 教室前方のドアが開く。そしてその整った顔立ち、普通なら変人扱いされる男の後ろ結び+灰髪すら似合ってしまうルックス。それらにクラスの女子+先生が発狂するより一瞬前。結衣は理解した。このドアの向こうに誰がいるかを。

「電さー」

「キャァァァァ!!」

 女子、主に先生の黄色い声が結衣の声をかき消す。

「えーっと、もう喋っていいかな?天津 電と言います。担当は数学です。まだ入って間もない私ですがこのクラスの副担任として精一杯頑張らせていただきます。」

イケボ&超絶イケメンスマイルを見せられた女子主に先生はこう思った。

 数学、がんばろ。

 無事一二時限目の授業が終了し少し長めの休み時間になったのだがクラスの大半の生徒は結衣の席に集まり質問攻めをした。誰も他愛無い質問で、簡単に答えられたのだが一つだけ答えられないものがあった。

 お父さんは何をしている人なの?

「えっ、、と。」

 今までスムーズに質問に答えていた分静まり返ってしまった。

 どうすれば?秘密って言う?いやそれじゃあさらに聞かれるだけ…。そうだ!

「で、この天才である天馬 才ノ目様を父親にしたと。おいおいおい、ただでさえこの童顔美少年な俺が?16歳の子供持ち?ありえねー。馬鹿すぎる。」

「それについてはまぁ、悪かったと思ってます。でも、一つ聞きたいんですけど。なんでー」

「電がいるのか。か?」

「はい。」

「はぁー。馬鹿だ。お前なぁ、もうちょっと自分の能力を考えた方がいい。お前の能力はコツさえ掴めば奇跡を多発できる。世界を変えることだって出来る能力だってことを頭に入れておけ。いつ何時お前の親父みたいなやつが現れてもおかしく無いんだぞ。それにあれは俺がやらって言ったんじゃ無い。あいつがやりたいって言ったんだ。」

「なんか、ありがとうございます。」

「そう思うならあいつに言ってやれ。さてと、話しもひと段落ついたし仕事の話をしようか。」

「何か私でも出来る依頼が入ったんですか?」

「お前の頑張り次第だな。無限大陸から来た化け物の駆除。俺の新作武器を試すために受けた依頼だが、お前は頭が悪いから電が居ない時に代わりの戦闘員として使おうと思っている。俺のスーツを持ってすれば大抵のやつなら倒せるだろ。」

「前にくれたアレですか?」

「あぁ、あのスーツだ。」

「あれってそんなに強いんですね。」

「まぁとにかくだ。今週の日曜日に行く。ちなみに電は別件の用事があるのでこれには行けないし俺はお前なんぞを守ってる暇がないので自分の身は自分で守るように。以上。」

 気付けば私はここに入社してからほぼ毎回、いや入社する前からずっと電さんに守られている。

「ふっ、私もついに自立という奴ですか…」

「は?何言ってんだ?お前。」


「おぉ〜正解。」

 教室から聞こえる驚きの声に、私の鼻は天井を突き破りかける。

「天ノ河さんって頭いいんだねー。」

 隣の女子が話しかけてきた。

「ありがとう!!えぇっと…」

「あ!名前?私は迷原めいはら 朝日あさひ昨日も教えたよー?」

「ごめん、まだ全然覚えられなくて…」

「いいよ、全然気にしてないし!それよりこれからよろしくね!」

「うん!」

「おーいそこの女子二人ーうるせぇーぞー。」

「「すいませーん!」」

 あぁ、なんか日常って良いな。平和っていいな!


「はい、今から非日常です。」

「やだ…」

「ダメです。」

「やだやだやだやだやだやーだー‼︎なんでわたしこんな仕事しないといけないですか!学校終わって家帰って、休む間もなく今度は仕事って。おかしくないですか!?」

「知るか。お前の境遇を恨め。」

「でーもー!」

「結衣。」

「電さん…。」

 背後にいたイケメンは私の両肩を掴むとこう言った。

「結衣が今ここで頑張れば。結衣みたいな境遇の子を減らすことが出来るんだ。過去は変えることは出来ないけど、未来なら変えられる。実際結衣の能力が、そう言うものだろ?」

「才ノ目さん!」

「?」

「仕事下さい!」

「いいけど。」

「今なら私、依頼100件くらい行けそうです!」

「そ。じゃあ今から行ってこい。」

「はい!」

 この後受けた依頼は猫探しだったのだが。これが本当に見つからず。夜10時を過ぎたところで能力が発動したのか目の前にポツリと現れ、無事回収して何でも屋に戻ると、才ノ目さんが「お前さぁ、見つからない時は俺に聞けば探してやるのに…」とか言われて無茶苦茶腹が立ったので電さんに慰めてもらって無事眠った。


 日曜日

 電は喪服に身を包み、一つの墓の前に立つ。墓とは一種の封印である。墓石は封印石であり、異形の魂をこの世に入れない一線を引いている。そして魂は能力の根源である。電ほどのエネルギーの使い手となると墓跡から漏れる僅かなエネルギーからその能力を特定できる。

「なんか久しぶりだな。今綺麗にしてやるからな。」

 墓石を洗い。花を手向け、線香を焚き、合掌する。

「なぁ、最近何でも屋にな、お前に似た奴が入ったんだ。まだ子供だけど、あの子はきっと強くなる。」


「おい小娘、今日は妖怪ぬえの狩猟だ。幼体とはいえかなり危険な部類の妖怪。俺の装備で死ぬことはまずないと思うが気を抜くなよ。」

「わかってますよ。今日は電さんがいない、頑張らないと。」


「実はな、お前のエネルギーを感じれてないんだ。もう16年も前から。これは俺の腕が落ちたから感じれないんだよな。そうだよな。」


「行くぞ、」


「なぁ、」


「「『結衣』」」


『三日月 結衣』と書かれた墓石は、今はただの石でしかない。



ポケモンたのちい

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