第1.5章第一話
新人社員は努力する
「はぁ、、、。」
はい。どうも皆さんいかがお過ごしでしょうか。みんなの天才天馬 才ノ目様だぞー。今何をしてるかと言うとですね?この前の事件あるじゃないすか、今日はそれの後始末でしてね?今、、警視庁の前にいます。
「あ゛ー。」
「どうしたんですか?貴方なら「この天才を直接呼び止めるとはどういう了見だこの猿どもは。」みたいなこと言いそうじゃないですか。どうしたんですか?はぁ、全く。暑いったらありゃしない。さっさと入りますよ?」
なんだ?こいつ。あの日から2日、こいつはこの炎天下の中なぜ俺たちがここにいるのか分かって言ってるんだからこいつは、、どんだけ神経図太いんだよ。雌猿から雌ゴリラだな。
「あっつぅうー、、。」
「早く行きますよー!」
「ッぷ。」
「オイ、笑うなよ。」
「いやぁ、すまんすまん。それにしても、まさか君が僕の前でスーツを着るとは、これはまた、ははは。」
警視庁のとある会議室に呼ばれた俺たちは、というか俺は今警視庁長官に大爆笑されているのだが、全くもって不愉快である。
「それで、なんだい?いきなりここへ来て、今度は何をしでかした。」
「高速道路破壊。と十数人殺人。あと民家破壊かな?全部報告書に来てるだろ?それにニュースにもなってるし、これ、全部俺たちがやったから罪消しといて。」
「それでスーツか。まぁ君の頼みだ。飲まないと俺の首が飛んじゃうからね、いいよ。こちらで手は打っておく。でもさ?無条件っていうのもいい話すぎないかい?」
「何をやればいい。」
「殺人。」
全くこいつは、笑顔でぶっ飛んだ事言ってやがる。
「警察が言う事か?って思ったかい?でもさ、正義なんて所詮視点の違いだろ?だからこの殺人は仕方ない殺人だよ。成敗だよ。」
「まぁそんなどうでもいい言い訳は置いといてだ、そいつの名前、教えてくれよ。」
「周辺の状況は教えなくてもいいのかい?」
「問題ない。俺が調べた方が正確だしな。」
「確かに。じゃあ頼むよ。しっかりと、殺しておいてね?」
怖いねー、偉い人の考えることって
「何でも屋社長天馬 才ノ目。貴方の願いを叶えるとしましょう。」
帰り道、雌ゴリラが俺に聞いた。
「まさか本当に殺すんですか?」
「あぁ、依頼だからな。」
「でも、人を殺すなんてそんな事…。」
「それを悪行だと思うか?」
「えぇ、まぁ。」
「ならよし。」
「え?」
「いいか小娘。何かを殺すっていうのは正義、悪、関係無く罪なんだよ。でもそれは俺たちが生きる為だ。本当は誰も殺さず…なんていう綺麗事が叶えられたら良いんだけど。この世界はどれだけ頭が良かろうが武の才能があろうが『こっち側』ではそんな綺麗事を叶えさせてくれないみたいだからね。全くハードモードな世界だよ。」
「お帰り、結衣。社長。」
電が寝ているベッドに行くと、電はベッドに座って本を読んでいた。
「電さーん!体はもう痛みませんか?」
「うん、まだちょっと痛むけど結衣がずっと看てくれてたからかな。すごい元気出たよ。」
「えへへ。」
なんだ?このカップル。まぁいいや。
「電、起きて早々悪いんだが、仕事の話をしよう。だが動くのはゆっくりでいいからな。」
「あぁ、ありがとうな、才ノ目。助かるよ、実際問題まだ体が痛くてさ。困ってたんだよ。」
電はベッドに座ったまま傷のあった箇所を撫でながら言った。
「えー?社長がやれば良いじゃないですか。ねぇ電さん。電さんはここでゆっくり休んでれば良いんですよ。」
「まぁそれでも良いんだがな?これはお前もやるんだぞ?」
「へ?」
「この仕事がお前の初仕事だ。そう考えたとき、やっぱり武術面でカバー出来る電を採用した方がいいと思ってな。」
「へ?」
「社長、どっちみち俺が動けるようになるまであと数日かかる。それまで結衣に戦い方やこの世界の基礎的なことを教えてあげれば。」
「あぁ、そうだな。」
「へ?」
「よし、今から勉強の時間だ小娘。」
「…へ?」
食卓に来い。と、言われて来てみるとそこには巨大なホワイトボード、そしてノートと筆箱が机に一つづつ。そしてスーツ姿に伊達メガネといういかにもな先生のコスプレをした天才が1人いた。、ってかドヤ顔ウザ、、。
「なんでそんな格好してんですか?」
「先生。だからな。かっこいいだろ?」
「あーはいそーですねーかっこいいですかっこいい。」
「おいやめろよそんなゴミを見るような目で俺を見るな。」
「え?ゴミじゃなかったんですか?」
「そうです、私はただのゴミです生きててすいませんでした。って、違うわ!。はぁ、ったく。まぁいいや、さっさと始めるぞ。まずはエネルギーからだ。前に基礎は話したよな。だからすこしステップを上げて話すとしよう。エネルギーには量があり、それは人々が持つ魂の器に比例する。魂の器の大きさもまた人それぞれ、そしてそれは鍛錬を積もうが何をしようがそれに変化はなく、生まれた瞬間に人のエネルギー量は確定する。まぁ薬を使って一時的にエネルギー量を底上げすることも出来るが…まぁそれはいいだろ。何か質問は?」
「いえ、特には…」
「そうか、じゃあ次だ。次は能力について。能力とは一般的に願いの具現化と呼ばれている。能力にはまず生決型と付与型の二つの分類に分けられ、生決型は文字道理生まれた時から身につけている能力のこと、そして付与型は生まれたあとの自らの願いで手に入れた能力のこと。そしてこの大きな分類の中にもさらに分類が分られている。まずは生決型。生決型には親が持っていた能力を受け継ぐ形になる後継型。また生まれる前から多くの者に同じ願いを願われて母の体にいる時についた能力の受願型がある。ちなみに俺の『天才』はこの能力の型だ。じゃあ次は付与型の説明だ。付与型にはその能力の持ち主が特定のものに能力を受け渡す後継型。自らの強い願いで自ら能力を勝ち取る願叶型。そして周りの評価、期待でついた能力の受願型。まぁこんなもんだな。質問はあるかな?」
「いいえ、特にはないです。もともとそこら辺は学校の保健でも習ってますし。」
「じゃあ次はこの世界の話だ。この世界には三つの世界がある。一つ目、この壊れた地球で人々が安全に暮らす為、俺が設計した浮上都市。『フライベース』。そして俺たちが今いる『旧都市』。そしてこの地球ではないどこか、世界各地に存在するゲートを通ることで行くことの出来る世界、絶対の未開拓大陸こと『無限大陸』。ちなみにこの店の地下にもゲートはあるよ。危険度順に言うとフライベース<旧都市<無限大陸になる訳だが。一応何でも屋は無限大陸からの依頼も受け入れており、無限大陸に入ることもある。民間企業で唯一無限大陸に入ることの許された企業だ。」
「つまりこの店はその分危険と。」
「察しが良くて助かる。」
その後約1時間に渡って何でも屋について、私が何でも屋で何をするのかをレクチャーされた。
「さてと、あらかた説明したいことは説明したし。次は体育の授業だ。」
「体育?」
「あぁ、お前も前ので理解できてると思うがこの仕事は何でもする。だからこそ危険と常に隣り合わせなんだよ。その度に俺や電がお前を守ってやれるわけじゃない。だから今からお前に自分を守る方法を教える。俺としては暗殺術の一つや二つ覚えて欲しいんだが、電が防衛術だけにしろ。て言うからな。仕方ない。」
「今とんでもないことを教えようとしてたことは特に問い質したりたりはしませんけど。…そうだ!電さんのアレを教えてもらうことは出来ないんですか?」
「無理だよ。あれは特別な武術だ、そんじょそこらのJ Kが出来るものじゃない。いくら魂が大丈夫でもお前の体は大丈夫じゃない。」
「えー。私も電さんと一緒が良かったです。」
「無理なものは無理だ。諦めろ。」
「はい。じゃあ何をするんですか?」
「バリアを作る。」
「バリア?」
「あぁ、今からお前に教えるのは掌前で盾状にエネルギーを展開するバリアと自分の体に一枚のエネルギーの膜を作るバリアだ。エネルギーの操作の練習にもなるし、何より短期間で出来る防御技だからな。これを電の傷が完治するまでやるぞ。」
「はい!」
早速外へ出てやってみたが、エネルギーを外へ出す。つまり体内のものを無理やり外へ出しそれを操るという行為はなかなか苦戦するものだった。エネルギーが出なかったり、出ても水のように流れるだけで操作できなかったり、かなり苦戦し、早一日が経った。
「違う!もっとイメージしろ、頭の中で自分が盾を張っている姿を!そしてそれを望め!そうすりゃ自然とできるから!」
「いやでもやっぱり見てないものは無理ですってー!」
「なら今見せようか?」
社長と喧嘩していると店の入り口から電さんの声がした。
「いやいや電さんは休んでてください。まだ傷が治ってないんでしょ?」
「そうだぞ電。こいつを甘やかすなよ。」
「まぁまぁそう言わずに、それで結衣の力になるならいいじゃないか。じゃあ結衣。見ててね?」
そう言って電さんは手を前に出す。するとエネルギーが意思を持つように滑らかに、そして効率よく渦を描き掌から広がっていく。完成した盾は、それはそれは美しかった。
「綺麗…」
「そう?ありがとう。じゃあ今度は結衣の番だよ。さぁ、俺も手伝うから一緒に。」
「えぇ?あの、ちょっとまって、きゃっ⁉︎」
電さんの体が私の背中に当たる。あ、やばい、幸せ。え?何?まだ何かするの?しちゃうの?それはーやばいって、あ、腕。腕に腕を、、あーそうやってしっかりと、、あーそれはちょっとやばいです。てかあの天才心読んでねーか?さっきから笑い堪えてるよなぁ?あ、でももうキャパオーバーでーす。はい、さよーならー。
ガクッ
「ブフッ!」
「え?結衣?ゆーいー!!」
「アノテンサイ、コロス…ガクッ」
「ユーイー!!」
「あはははは!」