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何でも屋は何でもする  作者: 阿須野夢見
二章
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第2章第二話

「「「」」」「さてと、俺は仕事に戻りますか。」

 二人を見送り、一人になった天才こと天馬 才ノ目は、そっと受話器に手を添える。

 あと3秒、2、1。

「はいもしもし何でも屋です。依頼内容は分かってる。いいぜ、その依頼引き受けてやるよ。だが、代わりに一つお願いを聞いてもらうぞ?」

「あはは、この時代に金以外で契約を済まそうとする人なんて貴方くらいですよ。天馬さん。」

「そうかい?まぁでも断れば前に大号泣しながら人を撃ったの暴露しちゃうぞ?警視庁長官様。」

「それは恐ろしい。別に断りなんてしませんよ。なんですか?お願いって。」

「軽くあしらいやがって…別にいいや。お願いってのは市民を守って欲しいってことだ。多分明日の夜。遅くても明後日の夜あたり、ここ旧東京で戦闘が起きる。必ずだ。確かに旧都市にはそこまで人口はいない。上の方がいるからな。でもいないことはないだろ?だから頼む、守ってくれ。」

「出来る限りの事はしましょう。でもこういうのは軍に頼むのが先決かと思いますが。」

「俺が、いや俺たちがあそこに頼むとでも?」

「それは思いません。まぁ私もあそこは好きではありませんから。」

「まぁ取り敢えずこっちはそういう事だ。で、多分だが俺は謎解きでもすればいいのか?」

「えぇまぁ。というか今回はあやふやな事件でして。ものの十分もすればそちらに時間のことを疑って下さい。」

「『異形』関係か?」

「あくまで可能性の話です。」

「分かった。」

 異形。幽霊や妖怪、UFOや精霊などの総称。つまりは人智を超えた何かが起こした事件。本来こういうのは軍のやることだが。まぁ警察側が見栄張って自分たちが請け負う。とか言っちゃったんだろうな。はっきり言って高位の異形では手がつかないぞ。まぁその時は適当な嘘をつくか。どうせ高位の異形だ。電くらいしか見抜けない。

 手配された車に乗ると助手席に座っていた男が、事件の内容を説明してくれた。

「なるほどね、まぁでも取り敢えず現場を見てみないと分からないかなー。見落としてる証拠でもあるだろうし。」

 内容としてはこうだ。時間は先日の朝早く。1人の少女が首を吊って死んでいるという連絡を受け、自殺を考え調査をしたところ、どうやらその少女から別の人間の指紋が出た。名前を横山 美咲(よこやま みさき)という。彼女はそこから約一週間ほど前に姿を消し。誘拐として捜査していたが、ここで指紋が出てきたというところから犯人として抜擢された。が、それらの動機等々が見えない為、日本の全ての能力者を知り、かつ世界一の頭脳を持つ俺に頼んできたというわけ。

「着きました。」

 東京湾海岸線。沢山のクレーンの間のもの置き場が事件の場所。

 うん、だいたい理解した。

「このもの置き場ってさ、海見えたりする?」

「えぇ、見えるというか、ここの壁ドアになってて、こんなふうに開けられるんですよ。」

 警察官はボタンをおすと海岸側のドアが開いた。

「おー、結構開くねー。ここまで開けばまぁ出来るわな。」

「もしかして、分かったんですか?」

「うん、これ、自殺扱いでいいよ。無理だ。犯人は不明だ。」

「え?どうして、やはり異形が絡んでるからでしょうか。」

「違う。異形は絡んでない。異形が絡んでればその跡が必ずあるはずだ。でもそれがない。そしてここにいた少女片野 心恵(かたの ここえ)に横山の指紋があったという事は1人の自殺はまずあり得ない。1()()()()()()ね?そしてここはドアを開ける事で海に身投げできる。」

「あ⁉︎」

「気づいたかな?そう、つまり横山はここで片野の自殺を手伝った後、ここの海に飛んだんだよ。」

「なるほど!そういう事だったのか。」

「用事は済んだし俺は帰るよ。」

「はい!お疲れ様です!」

「はいはいー。」

 嘘だ。彼女、片野はおそらく自殺ではない。横山によって殺されている。理由としては横山 美咲という人間の能力にある。彼女の能力『情報抹消(じょうほうまっしょう)』は自らの右手で触れた物、者の情報を改竄できる。おそらく彼女は失踪していないのだろう。恐らく彼女の両親が住む家にいる。だがそこにいる彼女は少なくとも横山 美咲ではない。彼女の両親にはそこらへんの空気ほどにしか思えていないのだろう。だが情報は消しきれない者、このような指紋や個人情報等は能力を遮断するような場所に保管されている。よって世界には横山 美咲という人間がいるという情報と横山 美咲という人間なんていないという二つの情報が存在する事になる。この世界において情報があやふやな人物はとても強い力を持つ。それはダメだ。だからここで横山 美咲という人間を殺す必要がある。

「さてと、顔変えられる前に横山 美咲を見つけねーと。」

 下がり始める太陽を見ていると、一筋の電光が見えた。

「電。頼むぞ。」


「そろそろか。」

《なぁ。》

「ん?」

《ほんとに戦うのか?》

「あぁ。」

《悪いけど今のお前じゃ勝てないぞ。今のお前は全盛期に比べてとても弱い。能力の質が上がったとしてもお前という人間としての質が下がっている。最悪この能力に飲まれるぞ。》

「分かってるさ。だからどこかで昔の勘を取り戻す必要がある。今日だけじゃない。これからの為に。」

《そのための今日の戦いってことか、舐めてんなーお前。》

「お前がいるからだよ。タケノコ。」 

《タケノコじゃねーよ。》

 関東海岸線を一周し、各地にエネルギーのかけらをばら撒くことで広範囲のセンサーを設置すると結衣がいるホテルの屋上に着地した。

「『神薙』解除。」

 三日月流気流の構探の型『球』

 電は座禅を組み、自らのエネルギーを球場に広げる。

 センサーとしての密度は『水面』の方があるが、範囲等に関しては『球』の方がある、わかりやすく言えば雑な広範囲のセンサーだ。範囲としては半径10キロほど、ばら撒いたエネルギーも含めると体にかかる負荷は相当だ。だから座禅を組む。絶対に今の自らの状態を乱さないように、絶対に察知が遅れないように、集中する。深く。深く。

「それ、やってて楽しいか?」

「…どうやって入った。」

「ワープだよ、緯度と経度を何かに記してそこに飛ぶ能力。盗んだのさ。」

「そんなのはだいたい理解できるからいいんだ、俺が聞きたいのはどうやってここが分かったかってことだよ。」

「それも盗んだのさ。その人の名前をノートに記すとそいつの個人情報、そして居場所が分かる能力。ククッ、ここまで来るのに一体どれだけの人間を殺したか、はぁあ、気持ちいぃなぁ。」

 若干興奮した顔を見せる彼は、以前戦ったキャラではなく。完全な殺人快楽者だ。

「はっ、能力の奪いすぎでついに狂ったか。それとも、そこのローブの真似をしている高位な異形にでも人格を喰われたか?」

「どっちもだよぉお?あはっ!あははははははっ…はぁ。殺すか。」

「やってみろ。」

 男は電に迫る。

 三日月流基礎の構第一の型『受け流し』

 彼の拳を受け流すとコピーワールドをローブにつけ、起動した。

 途端機械から白黒の世界が生成されそこに2人は吸い込まれた。

「お?なんだここ?」

「ぐっ、」

 脇腹に切り傷。

「そのローブ、いいな、相当高位の異形だろ。」

「へへ、まぁな。でもこれくらいでくたばってくれるなよお?天津 電。」

「『神薙』こい、軻遇突智!」

あー頭痛い。

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