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何でも屋は何でもする  作者: 阿須野夢見
二章
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第2章第一話

空中監獄スカイリバースヘブン 屋上。

「警告!警告!ランクSの囚人1名が脱獄!看守は直ちに屋上へ向かい、確保せよ!」

「フン、今更警告とは、遅いねぇ。それにしてもすげぇ豪雨。確かここら辺は常に嵐なんだっけか?」

「見つけたぞ!囚人番号56668!殺されたくなければ即刻ここに直れ!」

「死を覚悟せずにこの世界一の監獄から脱獄する奴がいるか?馬鹿だなぁあんたら。この手錠がある限り俺は能力が使えないから大丈夫とか思ってんだろ。」

「あぁ!その通りだ!その手錠がついている限りお前が我々に勝てる手段はない!それにここは巨大な積乱雲の中、外から助けに来ることなどまず不可能だ!分かったらさっさとこちらへ来い。」

「確かにこの雲の中じゃあ入ることは困難だ。それにここ、結構高い場所にあるだろ。万が一この雲を切り抜けられたとしても、出たら最後、死ぬだろうな。まぁそれは、一人での話だが…」

「⁉︎…あれは?鳥?」

「来たか。」

「撃て!鳥がこの中に入ってくるわけがない!あれを打ち抜け!」

彼らの頭上を飛ぶ黒い鳥の体に何発もの銃弾が刺さる。しかし鳥はそんなものはお構いなしに男の元に近寄る。

「殺せぇ!囚人ごとで構わない!殺せぇ!」

「蛇よ、喰ってしまえ。」

 鳥は大きなくらい盾となると十数人の看守から放たれる銃弾を全て吸収した。

「蛇よ、この手錠も喰ってくれるか?」

 男は両手を差し出すと、対エネルギー物質で作られた手錠を黒い何かに差し出した。すると黒い何かは男の両手ごと手錠を飲み込み、そして手錠を喰った。

「しまった!」

「よし、これで俺が負ける要素が無くなった。取り敢えずお前らは能力者だな?じゃあその能力。俺がもらう。恨むなよ?『神成かみなり』」


 脱獄と再来

 

「ーあぁ、分かった。それで?被害はどれくらいだ?…なるほど。いいか?このことは俺が片付ける。いいか?スカイリバースヘブンは誰も脱獄を許さなかった。被害にあった看守達の家族関係を調べ、喋るようなら速やかに処理しろ。分かったな?じゃあ、こっちのことは任せておけ、あくまで今回のことは極秘だ。」

 ふぅ、まさかあの雌餓鬼の親が脱獄とはねぇ、スカイリバースヘブンに送らず無限大陸に追放した方がよかっかなぁ。いや、そうするとあっちの世界が壊れる、それは避けたいからな。まぁ仕方ないか。

「どうしたの?社長。」 

「あぁ電。仕事だ。でもこれはあくまでー」

「結衣には内緒?」

「あぁ。」

「で、今度は誰を殺せばいい。」

「あの餓鬼の父親だ。」

「脱獄ですか…まぁでも彼ほどの力の持ち主ならばそれも可能か。」

「それマジで言ってる?あれは一応お前でも脱獄できないようにしてるんだけど。」

「まぁ一人だと無理だろうけど、外部から何かできれば可能ではあるね。」

「でもあいつの外部には俺のような優秀な奴はいないぜ?」

「いや、居ないこともない。実はこの前の戦いの最中、なんか中から変なエネルギーを感じたんだよ。多分怪異の違い。もしその怪異が相当高位な怪異で、あいつの命令をよく聞く奴であれば、恐らくは。」

「なるほどねぇ、それは予想外だわ。となるとお前、勝てるのか?前の戦いでもキツかったじゃん。」

「うーんどうだろう。一応俺の『神薙かんなぎ』のレベルも上がって強くはなってるんだけど。その怪異によるかなぁ。あとはあいつがどれだけの能力を手に入れたか。」

「そっか、お前の神薙はレベル制か。今は一つ上がったんだからレベル3だっけ?何が出来るようになったの?」

「同時に二体の神様を使役できるようになったのと。九十九神程度なら武器等に宿らせることができるようになった。あとはある程度の神様なら俺の体を奪われないようになった。これくらいかな?」

「だいぶ強くなったなお前。それにしてもいいなぁまだ成長できるっていうのは。俺なんてもうレベルも何もカンストしてるからねぇ。」

「何の話ですかー?」

「あぁ帰ったかクソ餓鬼。今ちょうどお前のその髪のことでクラスの友達に虐められてないか心配してたんだよ。」

「嘘つけ三十路のおっさん。それにしてもこの髪どうしたんでしょうねー?不思議。」

 この餓鬼の髪は例の一件以降一筋の線が通ったように一部分だけ銀髪になっている。これは恐らく結衣姉と混ざったせいだろう。どっかの雪の女王の映画の妹みたいだなって言ったら電に怒られるかなぁ、怒られるだろうなぁ。言いたいけどやめとこ。

「で、何の話ししてたんですか!私だけ仲間外れとかおかしくないですか!?」

「いやー、そのなんだ?お前が倒れてからもう一週間ちょい経つわけじゃん?それで俺も気にしてこの一週間軽めの仕事しかやらせてないんだけど。なんかクレームが止まんなくてさぁ。」

「ゔっ。」

「このままだとお前いる意味ないなぁ、むしろ害だなぁ、とか思ったりして。」

「いや、私だって頑張っては居ますよ。なんか実力が脳に追いついてないっていうか。まだ私の時代じゃないっていうか。」

「クビにしちゃおっかなー」

「はい!すいませんでした!今すぐにでも仕事に行って稼いできます!だからクビだけわぁ〜!」

「はいじゃあこれと、あとこれやってきてー。」

「えぇっと水道管工事の手伝いと、猫探し。あの、これ1日じゃ終わらない気が…」

「そこら辺は大丈夫。仕事終わるまで帰らなくていいから。今お前の持ってる所持金全て尽きるのが先か、猫見つけるのが先か、楽しみだな!」

「笑ってんじゃねーぞオッサン。」

「あ゛?」

「はい、行ってきまーす。」

 クソ餓鬼は荷物の整理をすると足早に店を出た。

「結衣を1人にしたのは周りに被害を出さないためかい?」

「まぁな、恐らくあの親が出てくるところはあの餓鬼の場所のはずだ、それに今日あいつに渡した弁当の中にエネルギー防止剤を混ぜ込んどいた。まぁ3日は帰ってこないだろうな。問題はあいつがどれだけ強くなってるかだよ。全く『神成』だけでも厄介なのに…と、そんなところにこの天才様が新たな天才的発明品を作ってしまった。」

「なにこれ、ダイヤルと、ボタン?」

「そいつの名は『コピーワールド』。そのダイヤルで距離を設定し、ボタンを押すことで、この機械を中心にその距離を半径とした巨大な半球場の複製世界世界を作ることができる機械。それに触れているものでないと絶対にその世界に入らないと言うところもあるが、逆に言えば触れていない一般人を巻き込まず伸び伸び暴れられるという素晴らしい機械、ちなみに元の世界に戻るにはそのボタンを複製世界で押せば戻れる。だがまぁあくまでそれは複製した世界に閉じ込めてるだけで、別次元に入れてるってわけじゃないから内側から壊して出てくるってやり方もあるけど、まぁ大体は出れないと思うぞ。どうだ?すげーだろ。」

「これはすごいよ社長。でも、これをあと20年早く作ってれば。」

「あぁ、それは悪かったよ。俺ながら馬鹿だった。すまない。」

「俺こそごめん、社長のせいじゃないのに。」

「お前が優しくて助かるよ、全く。」

「あとなんだが、さっきも言ったがそれはあくまでー」

「別次元の新しい世界を作る機械ではない。だから『灰』を使えない。でしょ。うん、さっきの説明で一番最初に理解してる。」

「ならばよし。じゃあ。」

「あぁ、ちょっくらあのおっさん探してくる。」

 そう言って背中を向け、ドアへ向かう彼の姿を俺は眺めることしかできない。これから起こる戦いはあくまで人以上の者達の戦い。人間が入っていい次元ではない。自分の賢さに嫌気が立つのはこれで何度目だろうか。俺では力になれない。俺では邪魔なだけ。そんな現実しか俺の頭の中には流れない。頼むからもう少しだけ、馬鹿で痛かった。

投稿すいません!!これから頑張って上げていくのでよろしくお願いします!

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