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何でも屋は何でもする  作者: 阿須野夢見
1章
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第1章第一話

始まりの詩

その日はやけに晴れた日だった、雲一つなく、空は吸い込まれるほどに青だった。ただ、この目には、この愛する人を抱いた、この冷たい体に触れたこの体には、灰色にしか、いや黒色しか感じることが出来なかった。

10年前のこの日、当時起きていた戦争を止めるほどの大厄災は、たった1人の少年の、悲痛な叫びが起こしたと言われている。


家出少女は助けを求める

1人の天才が戦争で荒れてしまった世界をたった四年足らずで元どおりにしてから約6年。

「ハァッハァッ」少女は走る。旧首都の中野駅周辺を、ただひたすらに。捕まってしまえば、死んでしまう。そんな恐怖から逃げるように。

なぜ彼女が逃げているかを簡単に説明すると、彼女の家は世間で言うところのヤクザである。彼女はそのボスの実子なのだが、彼のDVは度が過ぎており、ついに彼女の命に危険が迫ってきたため、彼女はそれを野生の勘、というか生物の勘で、命からがら家出しているわけだ。

不味い、もう足が、もたない、お腹もすいた、ねむい、ねたい、チカラが、入らない。彼女の足取りは重くなり、走っていた足は今はもう沼の中を歩く足のようになっている。今にも手が付きそうだ。と、そんな時、ぼやける視界の中に1人の人の影を見た。彼が私を絶対助けてくれるとは限らない。最悪の場合父親の関係者かもしれない、でも、もう限界だ、誰かに助けてもらわないと、支えてもらわないと、私は、死んでしまう。

「おね、がい、わた、しを、た、すけ、て」人の影にしがみ付き、飛びそうな意識を必死で耐えながら声を出す。すると落ちていく意識の中で声が聞こえた。

「、はい、約束しましょう。」

眼が覚めると私はベッドの上に寝そべっていた。そして気づいた、重りをいくつも付けている感覚がした私の足は、今は重りどころか本来の足の重さも忘れるほどに軽くなっていた。それに足だけじゃ無い、体全体が軽い、体が羽根にでもなったようだ。って、こんなことしてる場合じゃ無い!急いで体を持ち上げるとそこには1人の男の人がいた、すると彼はこちらに近づいてきて「起きたな、どうだ?調子は、まぁこの俺が看病したからには人生史上最も調子が良いだろうが。」そんなことを言ってからはニヤリと笑った。「はい、おかげさまで、助けて下さり有難うございます。貴方が外でお会いした方ですか?」「いや違うよ、俺じゃ無い、俺は君の言う彼に頼まれて君を見ているだけさ。そろそろ戻ってくると思うよ。」と言って彼は立ち上がると私に言った。「寝て汗かいたろ、風呂沸かしといたけど、入るかい?」「いえ、すいませんこんなにお世話になっててあれなんですがまだあなたを信用できないといいますか、なんと言いますか。」「まぁそーだよねー、でも俺としてはその汗だくで下着が若干見えてる変態をこの店から出したく無いんだよねー。」「えっ?」私は慌てて自分の姿を見ると、バッチリ下着が見えていた。「あ、あのー、すいません、断っておいてなんですが、お風呂貸していただけませんか?」「いーよ。じゃあ風呂場に案内するね。」風呂場に着くとそこにはTシャツと長ズボンが置いてあった。サイズは少し大きいくらいのサイズ、おそらくお古なのだろう。今来ている服は洗うから洗濯カゴに入れといてくれと言われたので、近くにあった洗濯カゴに入れておいた。というか下着はどうすれば良いのだろう。うーん、とりあえず下着だけは着替え用の服の下に入れることにしよ。

風呂から上がると私は驚きの光景を目にする。「え゛っ」元々私が置いてあった下着の場所そこには私の下着、では無い女性用の下着が置いてあったのだ。しかもサイズぴったり。私はその下着と元々用意してあった服を急いで着て、さっきいた場所に向かったが、彼の姿はない、そういえば風呂に入る前、廊下に出て左にまっすぐ進んだ所にいると言っていた気がする。私は急いでそこへ向かい大量のディスプレイに囲まれている彼に問いただした。「なんで貴方が女性用下着持ってるんですか!しかもサイズぴったりのやつ!」「それはー、俺が女装するからだよ。サイズがたまたまだったからね、置いといたわけ。」「見たんですか、女子の下着。」「別に君の下着みたところで俺はロリコンじゃないから興奮しねーよ。」「ロリコンって、何歳なんですか?」「25歳」えっうそ、これで25歳?まだ20歳かと思った。若っ。「ありがと。若いなんて思ってもらえるとお兄さん嬉しいなー。」「あれ?今私声に出しましたっけ。」「出してないよ、俺が君の心を読んだだけ。」読んだ?心を?私の?へ?「そんな?四つも出されても困るんだけど。」「えっあぁ、すいません。」あれ?下着の話、流されてる?そんなことを考えてると、目の前にあったドアの開く音がした。「社長ー?帰ったぞー。」その声を聞いて気づいた、この人だ、私を救ってくれた人は。え、ていうかこの人社長なの?

「あれ?起きたんですか?良かったー。怪我もありましたし、心配しました。元気そうで何よりです。」灰色の髪をした彼はとても暖かい雰囲気をまとい、私を見てとても幸せそうな顔をしていた。良い人なのだろう。「その節はありがとうございます。でもさすがにこれ以上お二人に迷惑をかけるわけにはいきません。そろそろお暇させて頂きます。」ここから逃げなければ、親切にも私を助けてくれた2人に迷惑がかかる。そんなこと、させたく無い。私はその場で2人に頭を下げて、立ち去ろうとした。が、灰色の髪をした彼に止められた。「貴女は誰かに追われている身なんでしょう?それで俺たちに迷惑をかけまいとここを立ち去ろうとしている。まぁこんな旧日本列島の旧首都に来るような人はそういう人が多いですから、けどこの近辺はあまり治安がいいとも言えない場所なんですよ。そんなところで少女1人は危険なのもわかってますよね。まぁだからこそここに逃げ込んだんでしょうが、、、で、提案なんですが、私達に貴女を守らせてはいただけないでしょうか。」「へ?」唐突すぎる提案に私は疑問を唱える。と、その反応を知ってたかのように先ほど社長と呼ばれていた彼が立ち上がり、こちらに近づいてきた。「さっきポロっと言ったけど、ここはお店なんだよ、その店の名は『何でも屋』家事全般から化け物退治まで報酬と少しの良心をくれれば何でもする。そんなお店、そして今俺たちは君に、俺たちに『依頼』してみないかと聞いている。まぁ断るのも一つの手だが、俺たち的には君に是非依頼してほしい。」「その場合、私は貴方に何か渡さないとならないんですよね、報酬を。」「もちろん。」「何がほしいんですか?言っときますけど金ならー」

「君だ。君が欲しい。君の持つ力、奇跡の『能力』こと『固有能力』の一つ、『奇跡の子供』、本人の意思に関係なく本人の周りに奇跡を連発させる能力。そして『汎用能力』の一つ、『道導』、自身の能力効果を一つに集中、操る効果。この二つの能力から発生する、『奇跡の操作』、これが欲しい。」「私の『能力』に、、、能力?え?私が?」「あぁ。やっぱり知らなかったか、まぁそれはお前の親が問題だろうな、なんたってこのことを知ってるのは俺とお前の父親、それとそいつの幹部くらいだから、まぁ仕方ないだろ。それよりお前はこの条件で依頼するか?悪いが他の条件は受けられない。」彼は淡々と話を進めているが、なぜ自分の親とその周りしか知らない情報を彼は知っているのだろうか。まさかストーカー?「ふざけんな、俺はロリコンじゃねぇ。で?どうする。急かすつもりはないがもうここら辺まで来てるぞ。」っ!そうだ何でもっと危機感を持たない。決めないと。彼らが父さんと変わらないとは限らない、でもここで私が依頼しなければ、私は捕まってしまうだろう。彼の話が本当ならば私の『能力』は効果を制御できても発動のタイミングを制御できるわけじゃない。今は逃げられていても、いつかは捕まってしまう。考えろ、考えろ、考えろ、どちらが良い、どちらが正解だ、いったいどっちがー

「大丈夫」

塾考の私の脳に、一瞬の緩みができた、声のする後ろの方へ振り返ると、そこには灰色の髪の彼がいた。「大丈夫、落ち着いて、ここは安全だから、ね、君の選択がどちらが正しいかなんて誰にもわからない。だから正しい正しくないじゃなくて、自分が今何をしたいかを選べば良いんだよ。だから、焦らないでゆっくりじっくり考えれば良いよ。」

彼の言葉は、私の心に安定と落ち着きをくれた。そして、ほんの少しの覚悟を。

「スゥー、ハァー。」私は目をつぶり、大きく深呼吸をした、その後に2人は反応し、私を見る。そして私も前を見る。現実を、今を。「依頼します。私を父親の魔の手から救ってください。報酬は私の能力。どうか、お願いします。」私の決死の覚悟は、彼らに届いただろうか、私の依頼を、ちゃんと受けてくれるだろうか、まさか、騙されていたりしないだろうか。そんな不安は次の瞬間に消え去った。「よく言った。貴女のその救いを求める声、我々が救いになることはできないがその救いを待つまでの間、貴女の盾となり、救い紛れの幸福を与えよう。天ノ河 結衣(あまのがわ ゆい)さんの願い。何でも屋店長こと天馬 才ノ目(てんま さいのめ)が、何でも屋として引き受けた。」天馬さんはそう言って笑った。そして灰色の髪の彼が暖かい顔でこう言うのだ。「約束しましたからね。俺は貴女を何があっても助けます。」

ー続くー

いやー始まったは良いけど、まだストーリー全然進んでませんねー、自分でもびっくりしちゃうくらいに、まぁでもここでからないと少しキリが悪いので、ご勘弁ください、次の話くらいからはちゃんとストーリーが進むと思うので、まだ謎要素満載のこのお話、ぜひ最後までご拝読していただけると幸いです。

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