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ピンチを打開するため足掻いてみましょう

 蹴り飛ばされて転がった陽菜に『蛙の女王』がゆっくりと歩み寄っている。

「ミイとメイの、いや、お前に殺された、殺されてからもまた殺された、みんなの分、苦しんでもらう!」

 誰かと間違えているのか?

 陽菜は回復力強化で少しづつでも回復してる筈だけど、まだ立ち上がっていない。

 力が欲しい。

 力が。

 力が無ければ、このまま2人とも嬲り殺されるだけだ。

 陽菜を失いたくない。

 力を。

 ボクに力を。

 何に代えても陽菜を守らないと!

 ボクは再び、スキル『献饌』を発動する。「力を!力をボクに!陽菜を助ける力をボクにくれよ!」


《『付与魔法師』のジョブは攻撃に使用できるスキルは取得できません》


「どうすりゃいいんだよ!」


《取得済みのスキルのリソースを代償に新たなスキルを取得することを推奨します》


 今回はやけに丁寧だな。

「何だって良い!アイツを倒して陽菜を助けられるなら!」


《魔法強化系付与魔法スキルをエネルギー伝送リソースを物理系付与魔法スキルで使用するよう構築を試みます》


《魔法系付与魔法スキルのエネルギー伝達リソース化に成功しました》


《続けて物理系付与魔法スキルの効率化及び強化を行います》


《物理系付与スキルを統合し、付与魔法【身体強化】を創造しました》


《次に付与魔法【身体強化】の強化を実行します》


《実行に失敗しました》


《原因はシステムからのエネルギー伝送リソースの不足です》


《装備系付与魔法スキルのリソースを使用することによりリソース問題は解決できると推測されます》


《装備系付与魔法スキルの解体を実行しますか?》


「イエスだ!早くしてくれ!」

 頭の中にしつこく天の声が話しかけてくる。

 『蛙の女王』はゆっくりと陽菜に近づいているが、もうあと数歩の距離だ。


《重ねがけ能力を実現するため『魔力操作』スキルのコマンド内機能を流用する必要があります》


《『魔力操作』スキルの解体を実行しますか?》


「うるさいよ!実行するに決まってるだろ!」

 ボクは立ち上がって、『蛙の女王』に向かって足を踏み出す。

 陽菜を失いたくない。

「陽菜ぁ!」

 思わず声が漏れる。


《新たな付与魔法の創造に成功しました》


「できたかっ!スキル名は!?」


《スキル名を指定してください》


「何でもいいから、早く!」


《個体における全能力の上昇という効果に鑑み【スケールアップ】と命名します》


「『スケールアッ…』」


《警告。【身体能力強化】に付与魔法を統合した時点で自身に適用可能となりましたが、重ねがけする場合、指数で使用魔力が増加するため、個体名「優」に【スケールアップ】を使用し個体名「カメリア」のステータスを超えることのできるだけの魔力容量がありません》


 この『スケールアップ』は総合的に身体能力のステータスを向上させるが、一回の実行により1.2倍強化される。

 『蛙の女王』のステータスを超えるには、元々、身体能力の低いボクだと3倍は必要になる。

 そのためには『スケールアップ』を6回はかける必要がある。

 そうなると魔力量は元の64倍必要となり、6回目にボクの最大魔力量を超えるというわけだ。

「陽菜ぁ!ごめん!任せる!」

 陽菜に『スケールアップ』をかける。

 3回目で魔力が底をつく。

 既に用意していた魔力回復薬を流し込みながら4回目の『スケールアップ』をかける。

 回復薬だけで魔力が回復しきっていないのもあって、残る魔力は半分を切っている。

 懐から最後の魔石を3個を握り締める。

 魔力の吸出しはスキルを使わない方法で充分に慣れているからスキルが無くなっても問題なかった。

 魔石から魔力を吸い出しながら5回目の『スケールアップ』を陽菜にかけた。

 もう、魔石もボクの魔力も空っぽになった。

「優くん。大丈夫。任されるよ。」

 立ち上がった陽菜と目が合ったところで、ボクは割れるような頭痛とともに意識を手放してしまった。

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『親父に巻き込まれて異世界に転移しましたが、何故か肉屋をやっています。』を同時に掲載しています。
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