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パーティーの掟を決めておこう

 最後に、全員が集まって別れの言葉を交わす。

 ガルディア帝国へ向かう蓮達とは神殿で別れることになったが、ボク達は一旦、パンティア王国の首都、パンティアに寄り、そこから船に乗り換えるとのことだ。

 パンティアまでは3日馬車に揺られる、カレン連合王国へはそこから更に2日かけて船で移動するらしい。

 今からお尻の心配をしておこう。

 本当の別れ際になって、蓮さんがボクのところにくる。

「さっき言ったのは本気だ。」

 ああ、そう言えば、プロポーズみたいなことを宣っていたな。

「何故かロタール皇帝もお前のことを気にかけてたみたいで、困ったらガルディアを訪ねてくるようにと言っていた。」

 この際、別れ際だから、一つだけ聞いておこう。

「そういえば、蓮さんは妹さんとは仲が良かったんですか?」

「いや、まぁ、ふ、普通かな。」

 思った以上の反応だったな。

「無理はするなよ。こっちも落ち着いたら会いに行くからな。」

「それじゃ、蓮さんもお元気で。」



 馬車の中で、今後の話し合いをした。

 パーティーでの決まりごとを決めておくことにしたのだ。

 ボクはあんまり話してなかったけど。

 1つ目は、下の名前で呼び合うこと。

 これは、苗字を思い出せないこころがいるからだ。

 でも、ちょっと嬉しいかも。

 2つ目は、レベルが15になるまでは、パーティーで冒険を続けること。

 ジョブやスキルを充実させ、二流程度の職人になるまで最低限必要なレベルだということだ。

 裏返すと、それ以降はパーティーを解散するかも知れないという宣言でもある。

 3つ目は、レベル15までは、恋愛ご法度だ。

 どうも、ボク自身が怪しまれてるような感じではなく、他の男を連れ込むなということらしい。

 いつか警戒しなかった事を後悔させてやるぜ。

 順当にレベル上げをすれば、早けれは、半年ぐらいでレベル15までは辿り着けるらしい。

 執事のハメリンさん曰く、そこからが本格的な冒険者になるか否かの分かれ目らしい。

 まあ、女子主体のパーティーだし、魔王国との戦いに駆り出さないと言ってくれているし、生産系ジョブの皆んなは街に残って技術を磨く方が国のためにもなるのだろう。

 それに、美羽とこころもそれぐらいまで、レベルを上げて、スキルを手にしないと、安定した生活も難しいと判断したからだ。

 あの、陰険姫は信用なんか出来ないというより、興味が無くて放置という風なので、あまり気にしないでおこう。

 しきたりに従って、嫌々引き取ってるって憚らずに言ってたし。


 王族との旅になるので、侍女や下男、それに護衛の騎士を引き連れており、パンティアとカレンの2家分の団体は50人は軽く超えている。

 馬車は8台もあり、洋風参勤交代でも言うような感じだ。


 さて、ここで困ったことが一つある。

 ウチのパーティーは、ボク以外は女子だ。

 でも、一行として、一つの馬車に詰められている。

 寝る時もだ。

 美少女と巨乳二人もいれば、視線のやり場に困るし。

 そのうえ、ホームシックどころか帰る場所も思い出せない彼女らのぐずる声まで聞こえてくる。

 何て声を掛けたら良いのか皆目検討もつかないので、毛布を被り、じっとするしかなかった。

 あのイケメン達なら何か気の利いたことでも言えるんだろうかな?


 気が早いようだけど、パンティアに向かう遥人のパーティーは、宿のチェックインが済むと騎士たちから剣術や魔法の手解きを受けているみたいだ。

 パーティーも遥人を中心に纏まっている、いや、まとわりついているって方が正しいか?

 こころも、隙きあらば、向こうに行っているし、美羽も向こうの方が気になるみたいだ。

 遥人に王子に騎士達とイケメン揃いだしな。

 ウチの陣営は陰険姫は美系だが、男衆の年齢層が高すぎる。

 十代の美羽達には、受けは悪いだろう。

 ウチは陽菜が美羽やこころの間をウロウロしており、ボクは馬車や宿の窓際で終始ボーっとしているといった次第だ。


 各王族の王都に着いてからだが、ガルディア帝国は騎士団の一部隊として取り扱われるようになり、きちんと訓練も受けさせてくれるらしい。

 パンティア王国については、騎士のパーティーとともに、冒険を始めるということだ。

 ウチの方はは当初に軍資金だけ渡され、後は自由にとのことだ。


 山地にあった神殿から、山を下り、果てしなく続く草原を進んで行くうちに、農地が増え、荘厳な城壁が見えてきた。

 城門には人の列ができており、外からでも活気に溢れているのが伺える。

 人の列をそのままパスして、城門を潜ろうというところで、人々が騒ぎ出す。

「新たな勇者様が来たぞ!」

 この国じゃ、転移者は英雄として扱われるのか。

 馬車の両側に人の群れができる。

 その中をボクらは王城に向って進んでいくうち、遥人が馬車から手を振り始めた。

 ボクらはカレン王国の所属となるし、何だか肩身が狭いので、黙ってじっとしていた。

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『親父に巻き込まれて異世界に転移しましたが、何故か肉屋をやっています。』を同時に掲載しています。
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