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援軍に期待してみよう

 不意に砦の外側から爆発音が聞こえてきた。

「何があった!?」

「魔法だ!魔法が飛んできたぞ!」

 魔法を使うような魔物がいるなんて想定してなかった。

 しかも、音からすると相当強力な魔法だろう。

 そんな魔法を当てられれば、老朽化しているここの城壁は耐えられないと思う。

 再び爆発音が響く。

「何が起こってるのか確認してくれ!」

「分かってる!」

 返事をしたのは、ニコライか。

 確認できたところで、魔物に包囲された状態で打てる手があるとは思えないけど。

 ひっきりなし来る人に付与魔術をかけながら、城壁に被害が出た場合の対策を考えるが、考えがまとまらない。

 しかし、時間は無情に過ぎてゆく。

 城壁に組んだ足場の上から、ニコライのそんな言葉が聞こえてくる。

 早く報告してくれよ!

「坊や!援軍かも知れねぇ!」

「かもって何だよ!」

「姿が見えないんだが、魔物を攻撃してるみたいなんだよ!」

「どういう事?!」

「分かんねぇ。人影がねぇんだよ!たが、もうすぐこっちに来るぞ!」

 見に行けないし、見に行っても見えないのがもどかしい。

「何だありゃ!?」

 驚いてないて、早く教えてくれ。

「やっぱり、援軍か?」

 この急な事態の中、誰が援軍なんか出せたんだ?

 領主が要請したのか?

 領主はかなり早くから知っていて、街の人間には遅く伝えでもしたのか?

「何人かしかいねぇのに、魔物がどんどん倒されていくぞ!」

「遥人たちか?!」

「ハルトって確か、この国の使徒だったか?!」

「うん!」

 この混乱の中、離れているのでわざわざ叫ばないといけないのにやっと気が付いて、ニコライがこちらに戻ってくる。

「この国に使徒以外にそんな突出した力を持ったのがいるんですか?」

「王室直属の宮廷魔術師はいるがこんな少人数で動くことはないだろうな。」

「なるほど。じゃ、こちらが生きてることを知らせるために足場から松明を振ってください。」

「ああ、分かったぜ。」



 再び、来る人たちの付与に集中する。

 魔石は魔力が尽きると、砂のように崩れ去る。

 そのため、口の中がジャリジャリになっているが、少しずつ馴れてきたので、少し前からは崩れ去る前に吐き出す事に成功している。

 しかし、もう既に口の中はジャリジャリなんだけど。


「坊や!来たぞ!」

 松明を目指して来てくれたんだろうけど、よく考えれば松明を振っている場所は城壁が最も高く厚い場所だ。

 城門に行くとしても、そこは最も魔物が週している。

「おい!誰かロープを持って来い!」

 ニコライが叫んでいる。

 なるほど、ロープで引き上げるのか。

 そのうち、足場の辺りが騒がしくなった。

「フンッ!」

「おお!すげぇ力だな!」

 遥人たちが引き上げられたようだ。

「おう、こっちだ!」

 ニコライが遥人たちを連れてこちらに来た。

「おう、この坊やが強化の魔法で頑張ってくれてんだ。」

「お前、優か?!」

 その声は遥人じゃなかった。

「蓮さん?!」

 魔石からの魔力抽出に集中しないといけないので、ステータス鑑定もしていなかったので驚いた。

「蓮さんですか?何でこんな所に?!」

「頑張ってたみたいだな。」

 蓮さんのパーティーの構成を思い出しながら、助けてもらうべきところを考える。

「町田さんは僧侶でしたよね。怪我人の治療をお願いできますか?」

「大輝、頼めるか?」

「おう。優、オレはもうパラディンだぜ。間違えるなよ。」

 そう言いながら、町田は拠点の方に足を向ける。

「木村さんには足場から魔法で攻撃をしてほしいんですけど、魔力の残りは?」

「かなり上級魔法を使ったからな。」

「若干なら魔石がありますけど?」

「はぁ?魔石?」

「使いませんか?」

「魔力回復薬は持ってる。魔道具なんて使ってないぞ?」

「それじゃ、攻撃をお願いします。」

「俺はどうしたら良い?」

 蓮さんだ。

「予備の剣とか持ってたりしますか?陽菜さんの剣が保たないかも知れないんです。」

「分かった。確か片手剣で良かったよな?」

「はい。蓮さんには陽菜さんが付与魔術の効果が切れた時に交代をお願いします。」

「加勢は良いのか?というか、あの子独りで魔物の群れを押さえてるのか?」

 そうか、加勢という考えは今までしてきていなかったな。

「はい。集団戦は馴れてないと思いますし、もうすぐ付与魔術が切れる頃なんで。蓮さんにも付与魔術をかけますので、剣の柄を手に触れさせてもらえますか?」

「いや、いい。感覚が狂うのが怖い。」

「武器と防具の強化だけなら大丈夫でしょう?」

「そうだな。なら、それで頼む。」

 蓮さんが差し出した剣の柄に触れ、武器と防具の強化をかける。

「随分と成長したみたいだな。心も身体もな。良い男になった。」

「そ、そうですかね?まぁ、それなりに修羅場をくぐってきましたし。」

 どうも、褒められるのは苦手だな。

「じゃあ、交代ついでに届けに行ってくる。」

「お願いします。付与魔法の効果は10分で、その時間になると他の人が交代に来ます。」

「ひとまずは交代して戻ってくるよ。」

「お願いします。」

「あれ?独りで行くんですか?」

「この辺りの魔物ならな。この砦ならなんとか対応できるだろうしな。」

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『親父に巻き込まれて異世界に転移しましたが、何故か肉屋をやっています。』を同時に掲載しています。
こちらもご覧ください。


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