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魔石の販売交渉をしてみよう

「いやいや、早速お越しいただきまして、ありがとうございます。先程は相棒の方を寄越すと仰ってられましたが、そちらの女性がユウ様の相棒の方なんですね。」

「ええ。同じ使徒の陽菜と言います。」

「王室への先触れは、ジャンさんにお任せしようと思いまして。それと、この荷についてもジャンさんの所で交渉したいと思いまして。」

「交渉はヒナさんがするということですね。了解しました。立ち話はなんでしょうから、奥でお話をお伺いしましょう。」

 店の奥の応接に通され、若い女性の店員がお茶を出してくる。

 茶葉のお茶だ。

 カレンはお茶の輸入が盛んで意外とあるんだけど、パンティアで飲むのは初めてだ。

 店員と思っていた女性はジャンさんの隣に腰を下ろした。

 店員じゃなくて身内なのかな?

「お泊りはどちらで?」

「ボクらはカレン王室付の使徒だから、この街に来るのは初めてなんです。王室からの伝令を迎えられる最低限の宿を紹介していただきたいんです。」

「なるほど。」

 身なりは良くないけど王室には顔を出さないといけないっていう面倒な状態を察してくれたようだ。

「それと、着る物もですかね。」

「流石にウチでも王城に登るのに相応しいような衣服の取り扱いはしておりませんので、紹介となりますが、よろしいですか?」

「ええ。それと、魔石の買い取りができる所も紹介いただきたいのですが。」

「魔石の方なら、ウチでも取り扱っておりますので、私どもで買い取りさせていただけませんでしょうか?」

「構いません。」

「荷の具体的な商談は陽菜の方でさせていただきますが、魔石の方はボクの方でさせてもらっても良いでしょうか。」

「ええ。了解いたしました。私どもの方も商談は娘に任せております。商品の改もありますので、ヒナ様と別室でお願いしてもよろしいですか?」

「分かりました。」

 陽菜が答えると、ジャンさんの隣に座った娘に促されて別室へ向かう。



「いや、相棒と申されておられたので、男性と思い込んでいたのですが…」

「期待させたのであれば、申し訳ありません。」

「上手く行けば、うちの娘をと淡い期待をしておったのですが、仕方ありませんな。器量も悪くないうえ聡い自慢の娘だったのですが。」

 何やら紙に書きながら話しかけてくる。

「まぁ、あの方には敵わなさそうですな。」

「この国に来た使徒は女性ばかりで、勇者候補は取り合いみたいですしね。」

「姫殿下がご執心という噂もあるぐらいですから。」

「そうですか。カレンでは王室と極力距離を置くようになっていたのもあって、他国の使徒とも連絡を取り合ってませんでしたから。」

 さて、ボクらに旨みが無いのはこれで分かったかな?

「そう言えば、魔石なんですが、どのぐらいの数を売ってくださるお積りですか?」

「その前に相場を聞いておきたいんですが。」

「ちなみに、カレンではどれぐらいで売られておられたのですか?」

「概ね金貨1枚くらいですかね?」

「ほう。こちらでは金貨2枚が相場なのです。魔物を狩るのもほとんどが使徒か各領主の私兵ですので、なかなか市場に出回らないんですよ。地方に行けば需要が少ないので安くはなるんですが、供給も少ないので仕入れても儲けにならないんですよ。」

「そのうえ、魔核を魔石に変えるのにも、魔力操作ができる人材が要りますから、市場に出回りにくいですね。カレンでは冒険者ギルドというものがありまして、そこからも多少は流通しますから、それぐらいで落ち着いているんでしょう。」

「民間からも多少と言うことは、王室がほとんどを取り仕切ってるということでしょうか?」

「いや、商人ギルドが魔術師ギルドと協力しているといったところでしょうね。両方とも王室寄りですけどね。それなりの数量なら、まだ値は下げてくれるみたいですが。」

 魔石なら金貨よりも嵩張らないことを考えると、なかなか良い商売になりそうだな。

「それと、1つ確認をしたいのですか…」

「ああ、魔石はボクが魔力操作で作ってる。」

「もしかして、まとまった数の魔石を売っていただけるということでしょうか?」

「まぁ、100ぐらいまでかな?」

「いやいや、この辺りでそれだけの数が揃うことはありませんから、充分と言って良い数です。」

 カレンから輸入する前に市場に入れるのは大きいか。

 あとは陽菜が戻ってくるまで他愛のない世間話で時間を潰した。

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『親父に巻き込まれて異世界に転移しましたが、何故か肉屋をやっています。』を同時に掲載しています。
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