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また次の行き先を考えよう

 ちょうど遺跡に着きそうな頃ぐらいでゴブリンたちがゴロツキに接触しそうになっている。

「村長。向こうの方角からゴブリンが22体近づいて来てます。同じ方向に誰だか分かりませんが、人がいます。襲われそうですね。どうします?」

 そう言いながら森を指差す。

「お前!分かってて!?」

「何をですか?」

「このガキっ!」

 村長が胸ぐらを掴もうとしてくるのを避ける。

「本当は見えてるんじゃねぇのか!?」

 視覚を失ってから、目を布で覆うことにしている。

 見えなくても眼球は動いてしまうし、死んだ魚のような色になってるらしく、他人を怖がらせてしまうからだ。

 森の奥から男たちの怒声が響き始めた。

「そんな事はどうでも良いでしょう。あそこにいるのは村の人ですか?」

「ああ!そうだよ!」

「何で村長があそこに村の人間がいることを知ってるんでしょうね?」

「俺が悪かった!弟が!弟がいるんだ!助けてくれ!」

「何をするためにあそこにいたんですか?」

「アンタらを襲わせようとしたんだよ!」

「じゃ、助けなければ、ボクらが襲われることも無い訳だ。」

「そんなこと言わないでくれ!頼む!」

「まぁ、この事はギルドには報告しておきますね。後から賠償と助けた報酬の請求があると思いますんで、よろしくお願いしますね。」

 そう言って、俺は森の方に踏み出した。



「優くん、やってくれたね。」

 陽菜が少しだけスッとした顔で耳打ちしてきた。

「あんまり余裕は無いかな。急がないと人死がでるよ。」

 そう言いながら、陽菜の前を走る。

「優くん。ちゃんと走れてるね。やっと、本当に目の代わりになるスキルが手に入ったんだね。」

「うん。」

 そう、走ることができている。

 『魔力反響感知』は視覚ではないため、色は分からなくても、構造や性質は読み取ることができる。

 生活に不自由はしなくなるが、やはり視覚が恋しくなるのは仕方がないよね。

 逆に、視覚が無いから『魔力反響感知』を使っても違和感が少ないのかも知れないな。



「500メートル先でゴブリンと交戦中。こちらから見て、左を前にして斜めに6人が展開してます。交戦している右翼から攻めてく。ボクが前に出て、動きを止めるから、雛さんは最右翼から囲むように攻めてください。ボクの前に立って少し時間を稼いでくれますか?」

「了解!」

「『魔力反響感知』を使って、弱体化魔法をかけてみる。」

「任せるよ!」

 ゴロツキたちに追い付き、右翼側につく。

 陽菜が敵を食い止める後でボクは準備を進める。

 『手順化』スキルで『アクティブ・ソナー』で特定した敵に今回は『行動遅滞』をかけ続けるようにする。

 俺の使う補助魔法はパーティー単位で使用できるものもあるが、基本的には個々にターゲットを指定する必要がある。

 しかし、『魔力反響感知』のスキルで得た位置情報はターゲット特定に使用することができるのだ。

 離れた相手に対して使用するだけでなく、『手順化』スキルを利用することにより、複数のターゲットに対して補助魔法を行使することができるのだ。

 別に『アクティブ・ソナー』でなくても良かったんだけど、ヘイトを集めてゴロツキの負担を軽減する意味もある。

「『手順化』!」

 徐々に近くのゴブリンから動きが鈍ってくる。

「ボクを陽菜さんの左側に入れて、右翼から囲んで殲滅するよ!」

「さすが、優くん!」

 ボク自身もレベルアップによりステータスが向上しており、『付与魔法師』でもゴブリン程度には打ち負けない。

 杖を左手に持ち替えて攻撃を逸しながら、強化をかけたナイフでゴブリンを刺してゆく。

 しかし、陽菜の戦闘能力は恐ろしいレベルに仕上がっている。

 半端じゃない実戦経験を積んだうえに、バフとデバフにより、敵とのステータス差を拡げている。

 ゴブリンは蹂躙されるがままであった。



 このあと、他の村人が村長の頭を掴んで下げさせて謝らせた後は、しっかり依頼料と迷惑料を受け取り、無事にケアールドまで帰ってきた。

「ベンさん。良い討伐依頼は来てない?」

 陽菜が冒険者ギルドの窓口でベンさんに聞いている。

 討伐依頼でも、規模が大きいものや、かなり強力な魔物のものは、依頼書は張り出しされていない。

 無謀な挑戦に失敗されて、無駄な犠牲を減らすとともに、対象の成長を防ぐためだ。

 魔物だって同じように戦闘を経て成長するのだから。

「しかし、たった2人だけで、これだけの魔物を無傷で狩ってこれるようになってるとはな。しかも、嬢ちゃんのジョブは『商人』なんだろ?」

「ええ。」

「これでまだレベルが20ってのも驚きだな。」

 言われてみれば、補助魔法、強化バフ弱体化デバフを併用しているおかげで、実力以上の成果をあげれているのは確かだろう。

 いや、それでも釣り合わない気がしないでもない。

 陽菜が強すぎる?

 後で陽菜のステータスを見ておこうかな?

 いや、それとも元々の才能もあるのかな?

 そんなに最初から剣の才能があるんなら、剣士とかジョブが与えられてもおかしくなかったんじゃ?

「で、どうすんだ?カレンじゃ、もうお前らの満足できるような依頼は無いぜ。」

「優くん。次は海の向こうかな?」

 新年の暇潰しにはなりましたでしょうか?

 しばらく充電期間が必要になってしまいました。

 エタらないように頑張りますので、またしばらく後にお会いしましょう。

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『親父に巻き込まれて異世界に転移しましたが、何故か肉屋をやっています。』を同時に掲載しています。
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