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新しいスキルを活用してみよう

 30体程いたバグベアも残りも両手で足りるぐらいになっていた。

 もう少しでこの依頼も終わりかと気を抜きかけた時、強烈な魔力を感じる。

 この場所なら、囲まれることもないだろうから、思い切って『アクティブ・ソナー』を使ってみる。

「グギャー!」

 魔力によるピングを受け、バグベアたちが興奮して叫び始める。

「ちょっと、っ優くん!何したの?」

「魔力を放出して、辺りを探ったんです。」

「っ!どうして?」

 剣を振るいながら切れ切れに陽菜が聞いてくる。

「やっぱりいたよ。デカいのが。気配はずっとしてたんだ。」

 『遠隔鑑定』で大きな気配の魔物を鑑定する。

「陽菜さん、ファハンっていう魔物が来る!魔法は使えなさそうだけど強い!」

 有利に戦えそうな地形を探る。

 魔力反響感知では三次元で空間を把握することができるため、視覚では捉えられない隠された部分を把握できる。

「右前方の小山の裏側に、広い穴がある。そこで迎え撃つよ!」

「うん!」

「飛び降りて!」

 ボクが先に飛び降りて、穴まで先導する。

 ファハンは右側から迫って来てるため、左側から回ってゆく。

「ちょっと優くん!」

 ファハンは片足の魔物なので飛び跳ねるように移動している。

 大質量で飛び跳ねて攻撃されるのは危険だ。

 だから、それを封じる。

 陽菜はちゃんとボクの後を付いてきてくれている。

 『パッシブ・ソナー』はスキル取得からずっと起動し続けており、周囲360度を把握可能なため、振り返らずとも背後を把握できる。

 小山に空けられた穴はなんとか人ひとりが立って歩けるぐらいの高さで、奥行きは5メートル程度だ。

 もう少し奥行きがあれば良かったんだけど、ファハンに追い付かれない場所となると、ここしかなかったのだ。

 どうも、元々人間の住居として作られたもののようである。

「ちょっと、優くん!こんな所に入って大丈夫なの?」

 陽菜も心配になったようで、穴に入るのを躊躇っている。

「アレは飛び跳ねるから、ここが良いんだ。もう来てる!早く!」


ドンッ!


 陽菜が立っていた位置に大きな物が落ちてくる。

「アレがファハンだ。」

 身長は2メートル半程度、単眼、単腕、単脚の魔物で、髭を生やしたゴブリンのような頭を載せている。

 その腕は胸の辺りから真っ直ぐ前を向いている。

 ただ、その全ては太い。

 その巨体を屈ませて穴に入ろうとしている。

 頭を天井に擦りながら、抉るように侵入してくる。

 片足ヤツにとって高さの無い穴の中なら飛び跳ねられないため、かなり動きを制限することができる。

「ここなら、ヤツは自由に動けない。」

 陽菜に声をかけながら、筋力強化と武器強化をかけなおすとともに、ファハンに対して防御弱体化をかける。

「ありがとう、優くん。片付けてくるよ。」

 そう言って陽菜はファハンに向けて剣を振った。


「オレラ、ニンゲンクワナイ!ナノニ、ナゼコロス!」

 体中を斬られ、血溜まりの中のファハンが最後の力を振り絞って叫んだ。

「お前らは家畜を襲うだろ。家畜を奪われた人間は生活できなくなる。命を奪うのとそう変わらないんだよ。」

「モリ、アラスカラ!ニンゲンガ!」

 そうなのかもな。

 これだけの騒ぎになる前なら、対話で解決できたのかもな。

「ノロウ、ニクイ、ニンゲン、ノロウ…」

 ファハンの言葉もすぐに途切れ、天の声が聞こえてきた。

《レベルが21に上がりました。》

 いや、繁殖のために、人間の女性が必要だし、結局は争うことにしかならないんだろうな。

 そんな言葉で自分を納得させ、残りを片付けるため穴を出る。


 『アクティブ・ソナー』でピングを打ち、残っていたバグベアを集めるとともに、巣に残る幼体を探す。

 と言っても、残った成体は3体しか残っていなかったが。

 『アクティブ・ソナー』で発見した巣に残る幼体を片付け、依頼を完了した。


 バグベアの魔核はゴブリンのものとほぼ同じだったが、ファハンからは魔石が出た。

 天然の魔石を見るのは初めてだな。

 陽菜によると大振りだが、見た目は普通の魔石と変わらないらしい。

 こりゃ、期待できるかな?



 依頼を終え、一旦村に戻り、村長を現場確認へ連れ出す。

 前村長だけでなく、村の狩人ももしもの時のためにと何人か同行させることに成功した。

 この世界に来た初っ端から騙されていることもあり、陽菜も当然の対策だと思っているようだ。

「あの、森のところから覗いてる男が居るの分かる?」

 陽菜に耳打ちする

「ううん。」

「武器を持ったのが6人。村長が嫌がらせに報酬の話を漏らしたんじゃないかな?」

「せっかく武器を持って来てるんだから、少し役に立って貰おう。」

「何をするの?」

 『アクティブ・ソナー』を連発する。

「ゴブリンを呼び寄せてる。」

 村に着いた時に村長が要らないことをしていないか辺りを探るために『アクティブ・ソナー』をした時に1キロぐらい離れたところにゴブリンの群れがいるのを発見したのだ。

 ギリギリの距離なのでゴブリンたちも反応は薄かったが、しつこく何度も『アクティブ・ソナー』で魔力を発していると、ゴブリンたちも苛立ってこちらに向かってきた。

「おっ。掛かった。」

 ゴロツキの背後にゴブリンが来るように方角を気にしながら、遺跡に向かう。

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『親父に巻き込まれて異世界に転移しましたが、何故か肉屋をやっています。』を同時に掲載しています。
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