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やっと目的のスキルを手に入れました。

明けましておめでとうございます。

気がついたら年を越してしまいました。

このところネタ切れが近づいてきてます…

新年から頑張ってきますので、宜しくお願いします。

 依頼主である町長の屋敷にある納屋で2人横になった。

「ごめんね。陽菜さん。」

「良いわよ。私も腹が立ったし。」

 もう雪は降らないもののまだ寒いため、敷いた藁の上で自然と身体を寄せている。

 また、陽菜の匂いでドキドキしてしまう。

 とは言うものの、明日は戦闘だ。

 必死で頭から煩悩を追い出して眠る努力をするが、なかなか難しい。

 陽菜もまだ眠りに落ちている様子もなかったので、少し話をしてみることにする。

「陽菜さん、起きてる?」

「うん。」

 背中を向けたまま陽菜が応える。

「バグベアって一応ゴブリンより強いんだよね?」

「うん。でも、トロールとかとは比べるまでもないぐらいみたい。」

「そっか。後は…」

「群れを率いる強い魔物がいるかってところよね。心配してるのは。」

「うん。」

「その可能性は否定できないと思ってるの。」

 用心深い陽菜らしくないな。

「強い魔物がいるなら、率先して戦わないとレベルが上がらないから。覚悟はしてる。」

 何故今までボクに言わなかったんだ?

「戦うのは私だから、最初から言うと優くんが反対しそうだったから、黙ってたの。」

 確かに陽菜の言うとおりだと思うが、少しでも早くレベルアップをするためには必要なんだろうけど。

「反対はしないけど、対策は考えておきたいな。」

 とは言ったものの、何も対策など考えつかず、睡魔に負けてしまった。



 翌朝、面倒ながらも依頼の遂行確認のため、町長を呼び出し、一緒にバグベアの巣に向かう。

「陽菜さん、どんな地形をしているの?」

「うーん。説明しづらいね。一見、丘陵に見える場所に溝を掘ってその中に石積みが見える。石積みのような、洞穴のような…」

 全くイメージが湧かないぞ。

「その溝はどれぐらいの幅なの?」

「まちまちたけど、広いところで2人が並べるぐらい。狭いところだと、1人でいっぱいかな?」

「溝のような通路の高さは?いや、基本的に掘ってあるんだよね?」

「うん。高さは深いところと浅いところがある。」

 高さのバラツキがあるということは、頭上から攻撃されたり、挟み撃ちができるようにしてあるということか。

 誘い出して撃破が良いだろうけど、草原で囲まれると厄介だな。

「バグヘア!来たっ!」

 陽菜の声とともに踏み込む音が聞こえる。

 骨を断つ音とともに、天の声が聞こえた。

《レベルが20に上がりました。基礎スキル【魔力反響感知】を取得しました。スキル【鑑定】と合わせ、【遠隔鑑定】を使用できるようになりました。》

 スキル欄を確認すると、『魔力反響感知』に連なるスキルとして、『パッシブ・ソナー』、『アクティブ・ソナー』及び『遠隔鑑定』が追加されている。

 『パッシブ・ソナー』はその名のとおり、常時発動型のようで、魔力の流れを探知するだけでなく、その魔力の流れを読み、索敵や罠の発見などが可能らしい。

 対する『アクティブ・ソナー』は魔力を周囲に向けて発射し、その反響で詳しい状況や遠方だけでなく、隠れたものまで発見することが可能となるとのことだ。

 ただし、魔力を周囲に向けて発射することから、こちらの居場所も相手に教えることとなるが。

 とりあえず、『パッシブ・ソナー』を発動する。


 見ると言うより感じるというのが正しいんだろうが、見えた。

 周囲の地形などが輪郭がぼやけた白黒写真のように見える。

 そして、高い魔力、陽菜やバグベアたちは明るい塊として認識できた。

 少し離れた場所に一際明るくて大きな塊が見える。

「陽菜さん!【魔力反響感知】のスキルが手に入った!見えるよ!」

 陽菜は目の前の3体のバグベアと交戦中である。

 ゴブリンとそう変わらない体格ではあるが、若干素早い動きをしている。

 詳しく地形や状況を知るために、『パッシブ・ソナー』でじっくり周囲を観察する。

 すると、見えていた地形の輪郭が見える。

 いや、見えるというより感じるのであるが、言葉では説明しにくい。

 モノクロ映像をぼやかしたようでありながら、距離などは明確に把握できるのだ。

 地形などは把握できるものの、顔の造形などになるとぼやけた感じがする。

 それと、障害物の向こうも感じることができるが、かなりぼやけたように感じ、障害物が厚ければそのぼやけ具合が顕著になる。

 また、魔力を含むものは明るく感じられ、生命体や魔石は輝いているように見える。

 使用感の把握はこれぐらいにしておき、取り急ぎ地形を確認すると、前方に少し小高くなっている場所があり、そこに続く溝が幾つも掘られ、小高くなっている部分の崖やその溝の中に横穴だけでなく、扉が付いているところもある。

 もしかすると、昔に人間が住んでいた遺跡か何かなのかも知れない。

 陽菜の立つ場所は小高くなっている場所に続く溝に挟まれた高い場所だ。

 ただ、『アクティブ・ソナー』を使えば、さらに遠方まで詳細を把握できるが、一つ欠点がある。

 魔力を周囲に撒き散らすため、魔力に反応して魔物のヘイトを集めてしまうのだ。

 『遠隔鑑定』なんて使うと対象にすぐに相手にバレるんだろうな。

「後にさがらないと囲まれる!左手の崖まで移動しよう!」

「了解!」

 左手の崖肌には遺跡の奥に続く人間が一人通れる幅の道がが刻まれている。

 崖底からの高さは3メートル程で、下からは攻撃されない。

 集団を迎撃するには、格好の場所だ。

 奴らは右利きが多い。

 山側を右手側に持ってきてやれば、動きは自然と制限される。

 左利きが多かったとしても、一対一の状況に持ち込めれば、充分こちらに分がある。

 ステータスはゴブリンたちよりも圧倒的に高いものの、知能と器用さが低く飛び道具は投石以外は無い。

 腕が太くて長く、ゴリラに近く肩が前にせり出している構造上、肩が真上に上がらないため、投石は上手くないうえ、上方には投げ辛く、ほとんどがあさっての方向に着弾している。

「流石、優くん。」

 陽菜は一列に並ぶバグベアを蹴散らしてゆく。

 俺は背後を長い仕込み杖で守る。

 突くだけだから、意外と左手でも使えるんだよね。

 しかし、数が多い。

 30は軽く超えているか。

 まぁ、今回は報告以上の数を見込んだ金貨25枚の大仕事だからな。

 時間の経過とともに着実にその数は減ってきていた。

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『親父に巻き込まれて異世界に転移しましたが、何故か肉屋をやっています。』を同時に掲載しています。
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