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別の島に依頼を受けにいこう

 いつもどおり冒険者ギルドに行くと、やや高額な依頼が目に付いた。

 カレン王国の本島であるブリューニ島の東側に浮かぶハイベル島でゴブリンを含めた魔物が大発生しているとのことで、その原因を調べるという依頼だった。

 気になった美羽がベンに詳細を聞き始める。

「この依頼って、原因を調べるだけで良いの?」

「ああ。最終的な処理は国軍がする。原因を突き止めるのに、国軍も動いているらしいが、僻地で長期間活動のできる部隊は少ないからな。まさに冒険者向きの依頼だな。今は取り敢えず何でも良いから情報が欲しい段階なんだよ。」

「作戦本部の指揮下に入らないといけないけど、日当が出るんだ。」

「ああ。成果を上げれば有力な情報を得られれば報酬もあるぞ。」

「良いんじゃない。生活費にも困らないし、魔物がたくさん出るならそれなりにレベルも上げられるわよ。」

 全員が美羽の言葉に頷いた。

「そういや、お前らレベルを上げたいって言ってたな。でも、無理はすんじゃねぇぞ。」



 ハイベル島の南端の港町、ウィズポートに着くとと、カレン王国軍と冒険者で活気づいていた。

「あれ?何でカレン王国軍がいるの?」

 美羽が不思議そうにみんなに向けて言うが、全員ピンときていない。

「ここは、カレン連邦王国の中のハイベル王国の筈よね。何でカレン王国軍が来てるのかしら?」

 言われてみればそうだ。

「援軍要請なんかじゃないのかな?」

 陽菜が返すものの、答えは出ない。

「とりあえず、情報収集しよう。」

 一旦、ボクは話題を切った。

 港に近い宿で、同業者から情報を集めることにした。

「最近、魔物の様子はどうなのかな?」

「ああ、北からゴブリンがひっきりなしにきてる。」

「畑は大丈夫?」

「もう今年は駄目だな。まだ青い穂も喰われてる。今年はうちの家族も冬が無事に越せるか怪しいよ。口減らしが沢山でそうだな。」

「北の方で砦のない村はもうほとんどが餌食になったらしいな。」

「トロールも現れったって噂だぜ。」

 依頼を受けたものに支給された地図を開き、魔物の目撃情報を書き込みながら、捜索をする場所を話し合っていく。

「これって?」

 美羽の呟きにこころが反応する。

「美羽、何?」

「ちょっとね。なんだか、無計画には見えないんだよね。」

「誰かが裏で糸を引いてるのか?」

「そんなの分かんないけど、魔物の出現地域が進路になってるような気がするの。」

「進路?」

「まるで、軍の侵略みたい。魔物だけなら出現地域が拡散しそうなんだけど。三方からトルコットに向かってるように見えない?」

「街道沿いに町や村があるから、自然とそうなるのかも。優くんはどう思う?」

 陽菜がボクに話を振ってくる。

 確かに、陽菜が言うとおり、街道に沿うように目撃情報が書き込まれている。

「どっちの言うことも正しく思えるんだけど。港町のカレン王国軍の人に聞いてみる?」

 とは言うものの、基本的に王族と転生者たちとは仲が悪いのもあって、聞きにくい。

「明日、ギルドの人に聞く。」

「そうしようか。」


 ギルドの臨時窓口になっている宿屋に向かうと、新たな冒険者を迎え入れていた。

「ねぇ、何でカレン王国軍が来てるの?」

 美羽が軽い感じで聞いてみる。

「ああ、今回来られた使徒様ですよね。この国のことはあんまりご存知ありませんか。」

 そう言って、この国の状況を掻い摘んで説明してくれた。

 連合王国とはいうものの、ハイベルの王はカレン王国の国王が兼務している。

 このハイベルは、元々は言葉も文化も異なる。

 カレン王国からの侵攻と内戦、独立が繰り返され、今の状態で折り合いがついたらしい。

 ただ、王を兼務しているものの、強権は無く中途半端な立ち位置らしく、平時は王国軍も港にある砦に幾ばくか常駐しているとのことだ。


 この依頼用に貰った地図を見ながら魔物が少ない道を選んで北上してから探索をすることにした。

 ウィズポートから放射線状に伸びる街道から東回りの道を選び、北東のキリッシュという街を目指す事にした。

 馬を借りても、世話の仕方が分からないため、徒歩でしか移動できない。

 キリッシュまでは2日、以降の方針は街に着いてから考えることにした。


 街道を進んでいくと、今日3回目の魔物との遭遇だ。

「ゴブリンがまた出てきたわね。」

 現れたゴブリンは6匹で、5匹が前衛で1匹が後衛で弓を持っている。

 後衛の弓にさえ気を付ければ、今の二人なら問題ない。

「すみませんけど、お二人ともお願いします。」

 そう言ってボクは前衛の二人に筋力強化と武器に炎属性付与をかけ、後衛のこころに防御強化と武器への炎属性付与をかける。

 属性付与は今回初めて試してみた。

 ゴブリンに対して弱点かどうかは分からないが、とりあえずはダメージが上がっているようだったが、武器強化の方が効果があるみたいだった。

 最初のうちはボクが指示を出していたものの、慣れてきた二人にはもう必要ない。

 後は、周囲の警戒と討ち漏らした場合の処理だけだ。

 前衛の二人は既に危なげなく1匹ずつ片付けている。

「すぐ終わりそう。」

 こころも余り心配してなさそうな表情で二人を眺めていた。

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『親父に巻き込まれて異世界に転移しましたが、何故か肉屋をやっています。』を同時に掲載しています。
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