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装備を強化してみよう

 金貨も8枚を超え、ホクホク顔で宿を目指す。

「やったねぇ。しばらくはこれで楽ができるんじゃない?」

「しかし、装備を整える必要もありますから。」

 陽菜がボクの方を見ながら返す。

「そうだね、優の鎧もそろそろ買ってあげないとダメだね。」

「2人の武器や鎧を新しくしたら、そのお下がりでいいです。」

 魔法も攻撃に使うわけではないので、威力もスピードも必要ないし、前衛でもないため防具もそれなりで十分なので、特に何か欲しいと思うことはない。

「お下がりって最近聞かないわね。お兄さんでもいたの?」

「いないと思う。」

 まだ記憶が戻りきっている訳でなはいので、歯切れの悪い返しになってしまう。

「陽菜の武器ならもう少ししたら、私が作ってあげれるから、鎧だけでも見に行きましょう。」

 美羽の提案で武器屋に向う。


 貧民街から少し出たような場所にある武器屋に足を向ける。

 貴族街に近いところは、明らかに値の張りそうなきらびやかな装飾の付いたものしかなかったからだ。

「順当にいけば、あのチェインメイルぐらいなのよね。ちょっと陽菜、試着してみてよ。」

 そう言って指差したのは、標準的なチェインメイルで、どう頑張っても恰好よくは見えない代物だった。

 しかし、陽菜が試着してみると、なかなかの破壊力がある。

 でろーんとした印象のチェインメイルが陽菜が着ると、体のラインが強調されてしまい、別の物に見える。

 厚着のはずが、微妙な長さの丈もあり、体にピッタリとしたワンピースに見えてしまう。

「なるほど。これなら上手いこと着こなせそうな気がする。」

「おいおい。その薄手のやつは今着てる革鎧の下に着込むもんだ。」

 髭面の店主が話しかけてくる。

「えっ、そうなの?」

 陽菜がそのまま革鎧を着てみる。

「ステータスが下るみたいです。」

「お嬢ちゃん、ジョブは?」

「商人です。」

「なら、仕方ないな。」

「仕方ないって?」

「筋力のステータスを超える重量の防具を着ければ、動けなくなるからだよ。そっちの姉ちゃんは筋力のステータスが高いから問題ないみたいだけどな。」

 結局、陽菜はチェインメイル一枚を装備することにし、お下がりの革鎧をボクが装備することになった。

 美羽は革鎧の下にチェインメイルを装備することになったが、陽菜は片手盾を使えるようなので、防御力全体でみると、遜色ないような気がする。

「陽菜。任せといて!」

 何をする気なんだか。

「優。まだ陽菜と買い物してるから、こころの道具を一緒に見てあげてよ。回復薬を作るための材料も必要なんでしょ?」

「うん。」

 そう返事するとこころと一緒に職人街に足を向けた。


 まずは気になっていた回復薬の材料を買い揃えにいく。

「材料はほとんど揃ってる。あと酢酸と瓶だけ。」

「そうなんだ。その割には随分値が張るんだね。」

「魔石が要るし、特殊な手順が必要。」

「なるほど。」

 確かに魔石が要るとなると、値が張るのは仕方がないな。

 まぁ、今の所、買い取り量を超えて魔石を作ってるから、まだ在庫はある。

 酢酸を買ってから、まだ出来上がりには早いが、こころの薬入れを頼んでいる工房に顔を見せに行く。

「おう、お嬢ちゃん。実はもう出来上がってるぜ。」

 こころの姿を見とめた工房の店主が声をかけてきた。

「いま、金があるなら渡せるぜ。」

「大丈夫。」

「じゃあ、具合を見てくれ。」

 頼んでいた薬入れは藤のかごだが、たくさんの引き出しが付いている。

 背中側は大きな空間になっており、そこに大量の荷物が入る。

 また、左右の底に近い部分の手の届く部分にも引き出しがあり、そこからすぐに取り出す必要のある物を入れられる。

 また、角は金具で補強されており、丈夫そうに仕上がっている。

「どうたい。中々の仕上がりだろ?」

「うん。」

 こころが陽菜から預かった金貨をおじさんに渡そうとすると、おじさんが聞いてくる。

「今使ってるかごはどうする?」

「要らない。」

「なら、ウチで買い取りさせてもらうぜ。ついでに嬢ちゃんのアイデアを売らせて貰いたいんだが、構わんか?」

「うん。」

「こいつなら、安くて色んな種類の物を入れられるからな。売れるかもと思ってな。」

 戦闘することがないのであれば、富山式の方が使い勝手が良いと思う。

「それ、便利。」

「だから、お代はいいよ。」

「ありがとう。」

 結局、こころの収納はタダで手に入ることになった。

 因みに、後日、『こころ式荷物かご』は薬売りを中心にヒットすることになる。

 次に、薬瓶を買いに出かける。

 前にも買いにいってはいるが、なかなか思うような瓶が見つからなかったのだ。

 調味料を入れたりする瓶も見て回る。

 ガラスがまだ普及していないため、金属か焼き物のものが必要になるが、なかなか手頃なサイズでフタ付きのものが見当たらず、見つけ次第買ってはいるが、数が揃わない。

「オーダーメイドする?」

 こころに聞いてみる。

「そんなたくさん要らない。」

「そっか。もう少し探す?」

 コクリとこころが頷いたので、もう少し周辺の店を回ってみることにした。

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 同じ世界を舞台としたもう一つの物語、『親父に巻き込まれて異世界に転移しましたが、何故か肉屋をやっています。』を同時に掲載しています。
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